【PR】「悩む時間は財産になる」杉野遥亮が語る映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』と高校時代の意味
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「令和イチ泣ける」と反響を呼んだベストセラー小説を映画化した『ストロベリームーン 余命半年の恋』。
病弱な少女・桜井萌は、医師から余命半年を告げられながらも「好きな人とストロベリームーンを見たい」という夢を叶えるため、高校に通うことを決意。出会ったばかりの佐藤日向に思いを伝え、2人は初めての恋をぎこちなくもいとおしく育んでいきます。やがて「一緒に見れば永遠に結ばれる」と言われる「ストロベリームーン」を見上げる夢を叶えますが、その直後、萌は音信不通に。萌を思い続けた日向に、13年後に明かされる萌の本当の思いとは——。
この作品で大人になった日向を演じたのは俳優・杉野遥亮さん。13年という時の重みをどう表現したのか、そして自身の高校時代を振り返りながら語った「青春の意味」とは。今を生きる中高生とその保護者のかたに向けたメッセージもお聞きしました。
13年抱え続ける思いは浄化されるのか
ーー 日向は、13年の時を経て萌の本当の思いを知ります。日向を演じるうえで、13年という時の重みをどうとらえて演じましたか。
長い期間、誰かを思い続けたり、何かに執着したりする経験って誰にでもあると思うんです。僕自身も学生時代に心が交流できないまま別れてしまった人への後悔や、「あの時、ああ言えばよかったな」と痛みが残ったまま月日がたってしまった経験があります。
だからこそ、日向が13年間抱えた思いや痛みもわからなくないな、と思いました。13年間、日向なりに一生懸命生きてきたけれど、もしかしたら、無理して生きていた部分もあるかもしれない。そんなふうに考えました。
その日向の気持ちが本当に浄化されるのか、それともこの先に浄化されていくのか。この作品の中で伝えていきたいと思いました。
キラキラしていなかった高校時代
ーー 演じるうえで、ご自身の高校時代と照らし合わせて考えることはありましたか。
この作品中で自分を重ねてとらえることはありませんでした。自分の高校時代は、こんなふうにキラキラしていなかったと思います。
ーー杉野さんの高校時代が気になります。
少女漫画やドラマで描かれているような高校生活にあこがれてはいたんですけど、実際は進学校で勉強ばかりでした。いい大学、いい就職先に行くことが正義という雰囲気があって、そういう価値観に流されて、楽しいことをやり逃した感じがします。
周りに流されることも多かったですね。文理選択では、理系科目が苦手なのに「友達がいっぱいいるから」という理由だけで理系を選びました。当然、数Ⅲも物理も全然わからなくて、授業はちんぷんかんぷん、テストも散々でしたね。中学時代は成績がよかったのですが、高校では赤点を取ることもありました。がんばることにも疲れてしまっていましたね。「自分はダメな人間なんだ」と思って、本当に苦しかったです。
大学受験も思うようにいきませんでした。唯一合格したのが、学校に内緒で受けた大学で、何を勉強する学部かもよくわからないまま入学していました。大学に入っても、苦しさは続きました。
流されることがしんどさの原因
ーー 映画では、萌が余命宣告をきっかけに家にこもりがちだった自分を変え、学校に通うようになります。杉野さんにとっては、苦しんでいた自分を変えるきっかけはありましたか。
流されていることのしんどさに気付いたことです。高校時代からずっと勉強に苦しんでいましたが、それは周りの価値観や意見に流されて「勉強しなければ」となっていたからかもしれません。今思えば、勉強で競って1位を取ってほめられることは好きだったのですが、勉強そのものを好きにはなれていませんでした。
結局、どんなことも自分の意思で選ばず、流されてばかりいたからこそ苦しさがつきまとっていたんだと思います。自分の気持ちに向き合うこともできていませんでした。そんな状態が心底嫌になり「もうそういうのはいい加減やめよう」と感じたことがターニングポイントとなりました。
ーーやりたいことも見えてきたのでしょうか。
その当時は、そこまでは行き着いていませんでした。「好きじゃないこと」には気付きましたが、明確なやりたいこと、好きなことは見えていませんでした。今思えばすごく苦しかったと思います。
ただ、子どものころからなんとなく芸能界へのあこがれはありました。強い思いで「これをやりたい」と意識していたというよりは、「華やかでいいな」と気になる程度ではありました。それでも、興味はある。だったら、その気持ちに正直になって、勇気を出して飛び込んでみようと思ったんです。流されるんじゃなくて、自分の意思で興味のあることをやってみる。初めてそうやってかじを切れた経験でした。
悩んだ時間こそが財産になる
ーー 苦しんだからこそたどり着いた気付きがあったんですね。そのうえで、学生時代の苦しい経験を今、どうとらえていますか。
悩んだことは結局、自分の財産になると思います。小中高大と「自分ってなんなんだろう」「何が好きなんだろう」「なんでうまくいかないんだろう」と自分を見つめる時間がずいぶん長くありました。だからこそ、ものの見方や思考の幅が広がったり、人への理解が深まったりしました。それは、今の仕事にも生きていると思います。
こんなふうにプラスにとらえ直せるようになったのは、周りに感謝できるようになったからだと思います。昔は「感謝しないと嫌な人間だ」と無理に思い込んでいた部分もありましたが、今は自然に感謝できるようになりました。自己理解が進んだからだと思います。学生時代から悩み続けて、自分のことを知って、自分の価値観を発見してきたからこそ、落ち着いてきたのかもしれません。
だからこそ、今、悩みを抱えている中高生にはその経験は無駄にはならない。それどころか財産になることを伝えたいです。
大事な人ほどぶつかり合うことが必要
ーー 最後に、中高生の保護者のかたへのメッセージをお願いします。
僕が言うのもおこがましいですが、子どもはいろんなことを感じているし、親が思う以上に親のことをよく見ています。親に愛されたいからがんばっている子も多いと思います。だからこそ、頭ごなしに「NO」と言われるのはつらい。僕自身も親とぶつかることは多かったのですが、「NO」と言われるのは嫌だったので、子どものやりたいことを否定しないであげてほしいです。周りに流されて選択することから生まれる苦しさは僕も身をもって実感しています。
ーー 親御さんとぶつかることも多かったんですね。
毎日のようにけんかしていました。でも振り返ると、それは必要なことだったと思います。人と人だからこそ、感情をぶつけ合わないと何も進まないし、関係も深まらない。大事な人ほど、遠慮せずにぶつかることが大切だと思います。
衝突は一見マイナスに見えるけど、実は自分や相手を理解するための大切なプロセスです。気持ちを理解してもらえないと諦めたり、自分が我慢すればいいと感じてしまうこともあるかもしれません。でも、それでは何も生まれない。ぶつかることでお互いの理解が深まるし、自分の気持ちにも気付きます。その積み重ねで関係は深くなり、新たに見えてくるものがあるのではないでしょうか。
映画の現場でも、よいものを作ろうと思ったら、表面上の仲良しだけでは達成しないと感じています。
ーー 今回の撮影でもぶつかり合う場面はあったのでしょうか。
今回の撮影中に録音技師さんから注意を受けたことがありました。最初は正直「なんで?」と少し頭にきたんです。でも時間がたって、自分におごっていた部分があったと気付きました。怒られる経験は決して気持ちのいいものではないけれど、振り返ればすごく貴重なこと。そのかたに感謝を伝えに行きました。人と人との関わりは、そうやって衝突や対話を通じて深まっていくんだと思います。
保護者のかたにも、お子さんと本音でぶつかり合ってほしいですね。
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映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』では、高校時代の恋を思い続け、痛みを抱えたまま大人になった日向を演じた杉野遥亮さん。周囲に合わせることを手放して「本当にやりたいこと」に向かってかじを切った杉野さんからの「悩むことは財産になる」との言葉は、中高生への力強いエールとなるのではないでしょうか。
取材・文/岡聡子 撮影/加藤武
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