大学受験には「志望動機」が大切。さて、どう作る?

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学校推薦型・総合型選抜の定員が増加傾向にあるなかで、多くの受験生が「志望理由書」の提出を求められるようになりました。
「どのように志望理由書を書くか」は、ある意味、志望校を決めてから志望の大学のフォームに合わせて考えればよいことですが、「何を書くか」つまり、志望動機は何なのか、については、一朝一夕に決められるものではありません。
志望動機を形成していく過程において、保護者としてできることを考えましょう。

この記事のポイント

志望動機を明確にすることがなぜ大切なのか

ベネッセで2022年1~3月に全国の国公私立大学を対象に行った「学校推薦型選抜・総合型選抜に関するアンケート」によると、学校推薦型選抜においても総合型選抜においても、大学が受験生に求めるものの第1位は「明確な志望動機」でした。それぞれの大学で学びたい理由、その学部・学科で学びたい理由を重視していることがわかります。

受験の場面では、面接で志望動機を聞かれることが多いのですが、相手はその大学で何人もの受験生を見てきたプロ。付け焼刃なもので合格できることはありません。
受験生本人が自分の言葉でしっかり語れる志望動機をもっておきたいところです。

さらには、志望理由書を求められない一般選抜で受験する場合でも、志望動機を明確にもっておくことはとても大切です。目標があるからこそがんばって勉強できるというのは周知のことです。一方で、大学の知名度で志望校を決めてしまっているなど、十分に検討した志望動機をもたないまま第1志望の大学に入学できても、「自分に合わない」と感じて転学部や退学をしてしまうこともありえます。志望動機は、勉強に向かう気持ちを高めるためにも、入学後、充実した大学生活を送るためにも大事なことなのです。
では、その志望動機はどのように形作られていくのでしょうか。

志望動機のベースになるのは体験と自分との対話

何かをやりたい! と思うのは、それが自分にとって楽しかったり、充実感を得たりメリットを感じたりするときです。楽しい、メリットがあると感じられるのは、過去にそう思うだけの何らかの経験があるということです。
実体験からなのか、読書などを通じた仮想体験からなのか、いずれにしても体験がモノを言います

しかし、この数年、コロナ禍の影響により、子どもたちの非日常の体験の幅や頻度は極端に縮小してしまいました。そのようななかで、今の高校生たちが進路を考えるに当たって、「自分は何が好きなのか」「自分は何に向いているのか」と自分との対話のなかで掘り下げていくのはとても苦しいものだと思います。

高校生にもなって、休日に保護者と一緒に出かけるの? という見方もあるかもしれませんが、本人が体験の幅を広げられているか、しっかり見ていただき、そうでない場合には、中学生時代にできなかった分、体験の幅を広げられるよう、保護者のかたから、ぜひ働きかけていただけたらと思います。旅行やキャンプ、地域行事、美術館・博物館といった実体験、読書や映像等の仮想体験のどちらでもよいと思います。初めての体験を通して視野を広げ、「これが好き」と言えることを見つけられるように応援しましょう。また、その体験を保護者と共有していることで、「あなたはこういうことが好きなんだね」というような会話ができ、高校生自身が自分自身と対話をするきっかけや視点を与えてあげることができます。中学生時代にやってあげたかったのにできなかったことを取り戻しましょう。
受験勉強期に入るとなかなかこういうことはできませんので、高校1・2年生のうちにぜひやってみてください。

対象を知る

志望を考えるためには、どのような学問が存在しているのか、どのような学部・学科があるのか、どのような大学があるのかを知らなければなりません。
大学をどう調べるか、オープンキャンパスで何を見てくるのか、などは別の記事がありますので、ぜひそちらをご覧ください。

ここでは、大学生の研究テーマはとても自由である、ということを保護者として理解していただけたらと思います。
大学での研究はお堅いものだけが求められるわけではありません。実際に、大学のゼミでカフェを経営してその経営状況を元に論文が書かれたり、好きなアニメやプロ野球チーム、ラーメン店などが卒業論文のテーマになったりしています。
保護者のかたから見たら「そんなの大学でやっていいの?」と思いかねないものも大学での研究になりえています。高校生本人の「やりたいことがある」「好きなことがある」という思い自体をぜひ後押ししてあげてください。ゲームは遊び、と思っていた時代が長く続きましたが、今やゲームはeスポーツとしてビッグビジネスになり、オリンピック種目の候補として検討されています。

「やりたいこと」が見つかれば、どういう学部・学科でそのことやそれに近いことが扱われているかを結び付けます。大学のホームページで見ることができる教授・准教授の研究テーマや論文ですと少し遠い話になるので、気になる大学・学部の「卒業論文一覧」が公開されていればぜひ検索してみるように勧めてください。等身大の大学生の状況が垣間見え、ここで学んでみたい、という気持ちが高まっていくのではないでしょうか。

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まとめ & 実践 TIPS

「やりたいこと」を追求するための科学的、研究的プロセスを学ぶのが大学である、とも言えます。「大学=お堅い研究テーマ」という先入観があれば捨てて、志望動機の形成を後押ししましょう。

プロフィール


西島 一博(にしじま かずひろ)

ベネッセ文教総研所長。株式会社ベネッセコーポレーションで、高校、中学校、小学校対象のさまざまな教材開発に携わる。2016年度より高校用教材・生徒手帳などの制作・販売を行うグループ会社、株式会社ラーンズの代表取締役社長を務め、2021年度より現職。ベネッセ文教総研では、主として中高接続、高校教育、高大接続の領域での研究、情報発信を行っている。

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