2022年首都圏私立中学受験者動向分析・女子校編

2022年2月18日に森上教育研究所が主催する「2022年入試　首都圏中学入試の結果と分析」セミナーがオンラインで行われました。今回は、早稲田アカデミー教務本部長・中学受験部長竹中孝二氏の発表をもとに、女子校の今年の中学入試の入試日別の実受験者数の上位校、難関校の主な併願校といった動向を詳しくお伝えします。

入試日別入試動向

1月校

1月は前半に埼玉、後半に千葉で入試が行われました。例年であれば2月1日以降の本命入試の前に、埼玉、千葉の学校を受験するかたが多くいらっしゃいます。しかし今年はコロナウイルス感染症の濃厚接触者や陽性者になるリスクを避けるため、1月後半の受験を取りやめるかたが一定数いたとみられ、1月前半の埼玉の受験者は減らなかったものの、千葉の受験者は減少しました。

学校別に見ると、浦和明の星女子は2,001人、淑徳与野は1,679人と昨年に引き続き多くの受験者を集め、それぞれ受験者数が増加しています。こちらの2校は大学進学実績がしっかりと出ていることも大きな要因でしょう。

受験者が全体に減少傾向であった千葉で多くの受験者数をキープした学校としては、国府台女子学院と和洋国府台女子が挙げられます。国府台女子学院は「生きるスキル」「本質を見極める力」を伸ばすといった理念、また和洋国府台女子は設備面の充実、伝統にそれぞれ魅力を感じる保護者のかたが多かったと考えられます。

2月1日午前

2月1日午前入試においては、昨年受験者を減らした女子学院が今年は予想通り増加に転じ、709名が受験しました。一方鴎友学園女子は隔年で受験者が増減する現象によって今年は減少するかと思われましたが573人とほぼ昨年並みで人気を維持しています。2校とも大学進学実績への期待、校風や校舎、伝統校としての魅力などが要因となっているとみられます。

吉祥女子も同様に大学進学実績や伝統校としての安心感もあって多くの受験者数を維持しています。フェリス女学院、山脇学園、富士見、学習院女子、実践女子学園、三輪田学園についても、この3年間受験者数を伸ばし続けており、要注目です。

2月1日午後

1日午後入試で注目したいのは、山脇学園の受験者数の増加です。山脇学園は伝統校であり立地の良さや綺麗な校舎、充実したサポートなどの魅力もありますが、国語や算数の単科入試など受験形態の多様化への取り組みも受験者数の増加につながっていると考えられます。

同様に受験者が増加している横浜女学院についても、2科目入試の選択肢の多さが受験生にとって受験しやすいととらえられたのでしょう。実践女子学園も受験者数を伸ばしており、伝統校の安心感、立地の良さに加えて午前入試も合わせた場合の入試の選択肢の広さが評価されたと考えられ、受験形態の多様化が今年の受験者の動きを考える一つのキーワードといえます。

2月2日午前

2日午前入試においては、豊島岡女子学園が999人、吉祥女子が696人と昨年に引き続き、多くの受験者を集めました。どちらも進学校としての大学進学実績への期待から人気を維持していると考えられます。また、洗足学園、大妻についても受験者数を維持していますが、この2校についてはそれぞれの学校の取り組みが評価されているのでしょう。

洗足学園は面倒見よく生徒一人ひとりをしっかりと見て指導する学校の姿勢を見て受験を決めたという保護者のかたの声も聞いています。また実際に通学する生徒の満足度の高さも受験者を引き付ける大きな要因になっていると思われます。

大妻も伝統校としての良さに加えて、コロナ禍によってさまざまな対応が迫られる中での柔軟な対応や行動力が多くの保護者に支持されたのでしょう。コロナ下での学校の対応については保護者の関心も高く、きちんと対応している学校への評価は高くなっています。

2月2日午後

2日午後入試では1日午後入試と同様、受験形態の多様化への取り組みが評価された山脇学園が受験者を大幅に増加させています。香蘭女学校は昨年からは減少傾向にありますが、472人と多くの受験者数を維持しています。その他の学校は、ほぼ1日の午後入試で挙がっている学校と同じ顔ぶれとなっています。

2月3日

3日に行われた入試では、豊島岡女子学園が513人、鴎友学園女子が482人と昨年同様の多くの受験者数を維持しています。この2校は、2日午前入試、1日午前入試でも多くの受験者を集めており、全入試日程を通じて高い人気となっています。横浜女学院、大妻についても同様です。

2月4日以降

4日以降に行われた入試では、豊島岡女子学園が557人とここでも多くの受験者が集まりました。頌栄女子学院は461人でこの3年で着実に受験者を増やしています。その他の洗足学園、山脇学園なども全入試日程を通じて高い人気となっています。

難関校の主な併願校

女子難関校ではどのような学校が併願校として選ばれているのかという観点で、桜蔭、女子学院、雙葉、吉祥女子、鴎友学園女子の集計結果※を挙げています。併願先を選ぶ際の参考にしていただければと思います。（※早稲田アカデミーの塾生を対象とした調査）