【英語】2022年1月大学入学共通テストを徹底解説 リーディング・リスニング、昨年度との違いと今後の対策

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1月15日、第2回となる大学入学共通テスト(以下、共通テスト)が実施されました。英語は昨年度から、全大問が読解形式となり、日常的なコミュニケーションの場面を題材とした問題が中心の出題となりました。
今年の出題内容を踏まえ、2022年共通テスト「英語」についての分析と次年度以降に向けての対策についてお伝えします。

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この記事のポイント

リーディング:語数はやや増加。昨年に引き続き全大問で読解問題が出題された

まず、リーディングについてお伝えします。リーディングについて、特筆すべき内容は主に以下の3点です。

  • ・出題は読解問題のみ、語数はやや増加
  • ・日常生活を意識した文章や説明文
  • ・情報を整理する力が問われる

出題は読解問題のみ、語数はやや増加

昨年度と同様、全6大問すべてで読解問題が出題されました。リード文・問題文・選択肢すべてが英語で記載されているため、本文だけでなく読解に必要な場面設定を読み取る際にも英語力が問われる問題でした。

また、英語の語数は昨年度の共通テスト英語(リーディング)と比較して約300語の増加となり、合計約4500語の出題となりました。

日常生活を意識した文章や説明文

出題テーマは多岐に渡り、さまざまな場面設定の記事の読み取りや、説明文が出題されました。
第4問では、2つのブログ記事を読み、掲載されている情報から「自分が必要とする家電をどこで購入するか」を検討する問題が出題されました。家電購入にあたり、値段や保証などを比較し、家電ごとに購入する店舗を検討するという内容で、受験生にとって身近な場面設定だったと言えます。

また、第2問Aでは、大学の図書館の利用案内を読む内容がイギリス英語で出題されるなど、アメリカ英語に偏重しない出題が見られました。全体を通して、日常的なコミュニケーションの場面を題材とした出題が多く、実践的な英語力が求められる傾向がうかがえました。

情報を整理する力が問われる

昨年度に引き続き、英文で書かれた資料や図表を活用しながら、英文に記載された情報を整理し、解答する問題が多く出題されました。
第6問Bでは、英文を読み取り、プレゼンテーションの骨子を作成する問題が出題され、英文の内容を踏まえたうえで、自分のグループのプレゼンテーションの方向性に合った情報を取捨選択する形で解答を進める必要がありました。

複数解答の問題も1問出題され、読み取った情報を正しく精査する力も求められました。 共通テストは単なる英文の読み取りではなく、英文の内容は理解した上でその情報を精査して解答する必要がある点が特徴と言えます。

リスニング:昨年よりやや易化。ネイティブ以外の話者の発話での出題も

次に、リスニングについてお伝えします。

  • ・昨年度より取り組みやすい問題となり、やや易化
  • ・非ネイティブ話者の発話での出題あり

昨年度より取り組みやすい問題となり、やや易化

昨年度同様、第1・2問は音声が流れる回数が2回、第3問~第6問は音声が流れる回数が1回の問題でした。
出題形式に大きな変更はありませんでしたが、共通テスト実施前の試行調査で出題されていたイラストを時系列に並べる問題が出題されるなど、細かな変更が見られました。
リーディングと同じく、図表・ワークシートといった視覚情報の読み取りが必要な問題が出題の中心となっています。

第5問では「新しい働き方(ギグワーク)」についての講義を受けているという場面設定の中で、授業のワークシートを完成させる問題や、与えられたグラフを参考に講義全体の内容と一致するものを選ぶ問題などが出題されました。

聞き取った情報をもとに、その内容に合う選択肢を判断する力が求められました。
英文の要点を言い換えた選択肢を選ぶには、大意をすばやくつかむ力が必要となりましたが、全体的に昨年度に比べて取り組みやすい内容で、やや易化したと言えます。

非ネイティブ話者の発話での出題あり

昨年度に引き続き、アメリカ英語・イギリス英語の話者による発話のほか、日本人と思われる非ネイティブ話者による発話での出題がありました。

第6問Bでは、4人の話者による会話文の聞き取り問題が出題され、議論をしたうえでそれぞれの話者のテーマに対する賛否を判断する必要がありました。
しかし、4名の話者が声の違いに加えて発話の違いがそれぞれに特徴的であったため、それぞれの人物を識別するのに有用でした。次年度以降も、アメリカ英語・イギリス英語以外の話者による発話や、非ネイティブ話者の発話による出題が予想されます。

次年度以降に向けてどのような対策が必要か?

今年度の共通テストを経て、次年度以降にどのような対策が必要かを、リーディング・リスニングそれぞれの観点で以下のようにまとめました。

  • ・リーディング:英文全体の要旨や論理展開を素早く把握する速読力と、図表・グラフと英文の内容を整理して解答を導く情報処理力が求められる
  • ・リスニング:与えられた情報から聞き取るべき内容を推測する、柔軟な思考を養う必要がある

リーディングは、センター試験から大幅増加した昨年度の語数よりもさらに語数が増加していることからも、英文全体の内容をすばやく理解する速読力が引き続き求められます。

また、文法問題は単独での出題はありませんが、文意を理解するための基礎力として基本的な文法力を身につける必要があります。語彙・文法といった英文読解の基礎力を鍛えたうえで、複数の資料を統合して解答する問題の演習を多く取り入れ、迅速に対応する情報処理力を養成することが大切になっていきます。

リスニングは、場面の詳細な設定や、資料・図表を読み取ったうえで解答する問題が多く出題されているため、与えられた情報を放送前に読み取り、事前に聞き取るべき内容を推測しておく必要があります。

複数の情報を統合して答えを導き出すというプロセスはリーディングに求められている力と共通しているため、リーディングの演習がリスニングの対策につながる部分も大いにあると言えます。また、リスニングは聞き取った情報が他の表現に言い換えられて設問に関連する出題も見受けられますので、言い換え表現に気づけるよう、様々な英語表現に触れる演習も対策として挙げられます。

リーディング・リスニングともに、ギグワークや環境問題といった現代社会の実情に即したテーマを扱っている問題が見られるため、現代社会における諸問題やトピックを日常生活で押さえておくことは対策として非常に有効です。

まとめ & 実践 TIPS

大学入学共通テストの英語では、リーディング・リスニングともに日常的なコミュニケーションの場面が想定された問題が出題されます。英語本来の言語としての機能を意識した出題は、今後も続くことが想定されます。また、社会的なトピックの出題が目立つため、日ごろからニュースなどを通して意識的に知識を蓄えることをおすすめします。

株式会社プランディット 英語課 堀内(ほりうち)
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの英語教材の編集を担当。

プロフィール



1988年創業のベネッセ・グループの編集プロダクションで,教材編集と著作権権利処理の代行を行う。特に教材編集では,幼児向け教材から大学入試教材までの幅広い年齢を対象とした教材・アセスメントの企画・編集を行う。

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