目標3 すべての人に健康と福祉を

目標3 すべての人に健康と福祉を 『未来』と向き合う夏にしよう SDGs×自由研究

どんな目標?

世界では適切な医りょうサービスを受けることができずに多くの命が失われています。 子供から高れい者まで、あらゆる世代のすべての人々が健康的な生活を送るために、病院などの施設はもちろん、医りょう制度やサービスを世界中で整えていくことが必要です。

150年前の大発見を再現!?
微生物を培養(ばいよう)してみよう!

現代では、細菌やウィルスによって病気が感染していくことは広く知られています。しかし、この当たり前の事実が発見されたのは実は今から150年ほど前。それまでは細菌やウィルスは目に見えないので、病気の原因だとは考えられていませんでした。その発見のきっかけになったのがロベルト・コッホという人が考え出した、培養法。ぜひ150年前の大発見のきっかけとなった実験をやってみて、この世界には目に見える生き物以外にもたくさんの生命がいることを実感しましょう。

やってみよう!

用意するもの

  • なべ
  • 小さな密閉容器を数個(シャーレやビーカーであればなお良い。)
  • 消毒用アルコール
  • 綿棒やつまようじ
  • 粉寒天
  • 砂糖(10g)
  • 片栗粉(2.5g)
  • お湯(500ml)
  • 発酵食品(ヨーグルト、味噌、納豆、塩麹、ドライイーストなど)

培地(ばいち)をつくろう

培養(ばいよう)とは、微生物などを人工的に育てて増やすことです。そのためには、微生物の住みかを用意してあげないといけません。微生物の住みかのことを培地(ばいち)といいます。
ここでは、ロベルト・コッホも行った寒天(かんてん)を使った培地づくりをしてみましょう。寒天に、微生物の栄養となる砂糖や片栗粉を入れておくことで、微生物を培養しやすくなります。

  • 器具はすべて消毒用アルコールでふいておきましょう。

  • なべに、粉寒天、砂糖と片栗粉を入れ、お湯を注ぎ、こげつかないようにゆっくりまぜながら加熱しましょう。  ※粉寒天は購入した商品に書かれている分量にしたがい、500mlのお湯に合った量を入れましょう。

  • お湯が透明になってきたら火を消し、少し冷ましましょう。

  • 少し冷めたら、固まる前に容器にそそぎましょう。各容器に1〜2cmを目安に注ぐと良いです。

  • 室温で自然に固まるまで放置し、固まったら1時間ほど容器を逆さにして余分な水分を取りのぞきましょう。

微生物を培養しよう!

  • 発酵食品をつまようじや綿棒の先で少しとり、先ほど作った寒天培地の表面に軽くこすりつけましょう。1つの容器に1種類ずつこすりつけていきましょう。

  • 蓋をして密閉し、容器ごとにラベルを貼りましょう。

  • 容器は温かい場所に置きます。発酵の温度は30〜37℃くらいが最適です。気温が低い場合は発泡スチロールなどの断熱箱にお湯を入れたペットボトルと一緒に入れておくことをおすすめします。

  • 2〜3日たつと、変化があらわれます。1週間ほど、変化を観察していきましょう。

    • ※実験前後は必ず石けんでしっかり手を洗うようにしましょう。
    • ※実験中は目元、口元に手をもっていかないようにしましょう。
    • ※実験が終わったら、培地は直接さわらず、ビニール袋に入れて各地域の分別ルールにしたがって捨てましょう。
    • ※必ず、おうちの人と実験するようにしましょう。

まとめよう!

実験結果をふり返ってみよう!

1週間ほど経ったら、実験結果をふり返りましょう。

  • ・日が経つにつれてどのように変化したかな?
  • ・発酵食品ごとの違いはどのようなものだったかな?
  • ・他にどのような食品から微生物を培養できそうかな?

また、あらたに生まれた疑問は、さらに調べていってください。

わたしのアクション(やること)を宣言しよう!

やってみよう!を通して感じたことと、SDGs の目標「12:つくる責任 つかう責任」を踏まえて、自分ができることを宣言しましょう。

例) 実験をして、目に見えない世界にもたくさん生き物がいることがわかりました。家から帰ってきたら手がよごれていないように見えても必ず手を洗うようにします。また、微生物の中には人間の健康によいものもあるので、そういった微生物についても調べて健康な生活を送るようにします。

まとめよう

例)

さらに深める!

さらに研究を深めたい場合は、以下のようなステップで研究してから「わたしのアクション宣言」をしてみよう。

世界について調べよう!

コッホやパスツール、北里柴三郎など感染症の研究を推進した偉人の功績を調べよう!

世界の医療問題について調べよう!

<参考サイト> 外務省 世界の医療事情 https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/index.html

厚生労働省 公衆衛生分野の国際協力 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000065196.html

参考になる本

北里柴三郎 (コミック版世界の伝記)

監修:森 孝之 漫画:竹林月 出版社:ポプラ社

参考

微生物についての豆知識

「そもそも微生物ってなに?」

自由研究で微生物実験を始める前に微生物のことを知っておくと、よりたくさんのことに気づくかもしれません。

1.微生物とは

「微生物」とは、私たちの目では細かい構造が見えないくらい小さな生物のこと。ミジンコやミドリムシのほか、「細菌」も微生物です。

微生物にはさまざまな種類があり、「単細胞生物(たんさいぼうせいぶつ)」と呼ばれるような、1つの細胞だけでできている生物も多く見られます。

2.微生物の働き

微生物には、人間にとってよい影響を与えるものもいれば、悪い影響を与えるものもいます。

発酵食品に含まれる「乳酸菌」や「納豆菌」は、よい影響を与えてくれる例。浄水場では汚れた水をきれいにするために、汚れをエサにして育つ微生物を利用しています。

しかし、一部の大腸菌、「サルモネラ」や「カンピロバクター」などは、私たちの体に入ると病気や食中毒引き起こしてしまいます。

大腸菌にはとても多くの種類があり、人間によい影響を与えるものを「善玉菌」、悪い影響を与えるものを「悪玉菌」と呼ぶことも。スーパーマーケットやテレビで「善玉菌を増やす」という言葉を見たことがある人もいるかもしれませんね。

3.微生物の大きさと種類

ほとんどの微生物の大きさは1mm以下です。1000分の1mmを「μm(マイクロメートル)」と呼びますが、微生物の多くはμmを使って大きさを表します。

1つだけでは小さすぎて見えないことが多いものの、いくつかが集まって「コロニー」をつくると、私たちの目にも見えるようになります。

ここで、代表的な微生物4種類と具体的な生物の例を見ていきましょう。

【細菌】

  • ・例:乳酸菌、納豆菌、枯草菌、大腸菌
  • ・大きさ:0.5〜5μm

【菌類】(カビやキノコの仲間)

  • ・例:酵母、糸状菌(しじょうきん)
  • ・大きさ:2〜150μm

【微細藻類(びさいそうるい)】

  • ・例:ケイ藻、ボルボックス、アオミドロ
  • ・大きさ:数μm〜数十μm
  • ※ボルボックスはたくさん集まって1mmくらいになることもあります。
  • ※アオミドロは細長い形。幅は20〜60μmですが、長さが1mmほどになるものもあります。

【原生動物(げんせいどうぶつ)】

  • ・例:ミドリムシ、ゾウリムシ、アメーバ
  • ・大きさ:10〜250μm
4.微生物はどこにいる?

微生物は、ありとあらゆるところにいます。

今回の実験で使った発酵食品の中はもちろん、私たちの体の中(腸の中など)、肌の表面、他の動物や植物の中や表面、水の中、土の中…。特に土の中にはたくさんいて、1gの土の中には10億ほどの微生物がいると言われています。

菌類は腐った木や落ち葉のあるところで見つけやすいでしょう。私たちの生活している場所では、お風呂場の壁や排水溝のオレンジ色や黒色に汚れている部分などにも微生物がいます。

他の動物が生きていけないような雪山などの非常に温度の低い環境や、深海の海底熱水孔という高圧・高温の環境で生きている微生物だっているんですよ。

SDGsの
自由研究テーマを見てみよう!

SDGsの
他のテーマも見てみよう!