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はじめての子ども保険(学資保険)の選び方徹底ガイド

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はじめての子ども保険(学資保険)の選び方徹底ガイド

子どもの教育費を準備するための保険には、学資保険と子ども保険があります。学資保険は比較的よく知られていますが、子ども保険はどのような保険なのでしょうか?ここでは、子ども保険について、その内容やはじめて保険を考えるときのポイントを解説します。

子ども保険(学資保険)とは?

子どもの教育費は人生の3大支出といわれるだけあり、家計の中で大きな割合を占める出費になります。そんな教育費を貯めるための保険として知られているのが「学資保険」ですが、もう一つ、「子ども保険」というものをご存じでしょうか?
子ども保険とは、教育費を準備しながら、子どもが病気やケガをしたときの医療保障にも対応した保険です。教育費に特化した学資保険に比べて、子どもの日常生活に密着した保障を受けられる保険といえるでしょう。

学資保険と子ども保険の違い

子どもの教育費を準備するために加入する学資保険と子ども保険ですが、この2つの保険にはどのような違いかあるのでしょうか?それぞれの主な特徴を見ていきましょう。

学資保険とは

学資保険とは、子どもの教育費を準備するための保険のこと。毎月保険料を払い込むことで、教育費を貯めていくことができる、貯蓄型の保険です。父親あるいは母親が契約者となり、満期を17歳や18歳、22歳など最適なタイミングで設定し、満期時に「満期保険金」を受け取ることができます。保険によっては、子どもが成長して小学校・中学校・高校・大学に入学するタイミングで「祝い金」を受け取れるものもあります。

また、大きな特徴として、契約者が不慮の事故や病気で亡くなった場合、あるいは、高度障害状態になった場合に、その後の保険料の払い込みが免除されます。加えて、満期保険金も受け取ることができます。さらに、残された子どものために、満期までは育英年金が支払われるものもあります。

子ども保険とは

子ども保険も学資保険と同様に、子どもの教育費を準備するための貯蓄型保険です。保険料を払い込んでいき、あらかじめ設定した満期になれば、「満期保険金」を受け取ることができます。また、子どもが進学するタイミングで「祝い金」を受け取れるものもあります。
さらに、学資保険と同様に契約者となった父親もしくは母親が万が一亡くなったり、高度障害状態になったりした場合、それ以降の保険料の払い込みは免除され、加えて満期保険金も受け取ることができます。保険によっては、満期になるまで育英年金を受け取れるものもあります。
つまり、保険料を滞ることなく払い込んでいけば、子どもの教育費を準備することができるのです。

以上は、学資保険の内容と何ら変わりはありません。ただ、子ども保険は学資保険とは異なる保障がついてきます。それは子どもの医療保障です。子どもがケガをしたり、病気になったりして入院や手術、通院することになった際、治療費などを保障してくれます。また、もし保険対象となっている子どもが死亡した場合、少額ではありますが、死亡給付金が支払われます。

子どもの学費はいくらくらい必要?

子どもの学費はいくらくらい必要?

子ども保険を考えるきっかけにもなる教育費。子どもの教育費として、いったいどれくらいのお金を準備しておけばいいのでしょうか?
ここでは、文部科学省が2018年に実施した「子どもの学習費調査」などの統計から、幼稚園(保育園)から大学までの平均的な学費を見ていきます。(※1)
※表示は年間での金額で、文部科学省での調査結果の数値を掲載しています。

幼稚園 / 保育園の学費

幼稚園および保育園での学費はどれくらいになるのでしょうか?
※表示は年間での金額です。

公立の場合 私立の場合
学校教育費 120,738円 331,378円
学校給食費 19,014円 30,880円
学校外活動費 83,895円 165,658円
合計 223,647円 527,916円

※学校教育費:利用料や制服、行事での費用など。
※学校外活動費:習い事や家庭用学習教材など。

幼稚園や保育園では意外と費用がかかりますが、2019年10月1日から「幼児教育・保育の無償化」が始まりました。3歳から5歳児クラスの子育て支援新制度の対象となる幼稚園と認可保育園、認可こども園などと、0歳から2歳児クラスまでの住民税非課税世帯の場合は、利用料が無料となります。また、新制度の対象外となる幼稚園の場合は月額25,700円までが無償となります。送迎バス代や行事費など対象外のものもありますが、実質幼稚園や保育園の利用料が無償になるのはうれしいですね。(※2)

小学校の学費

次に、小学校での学費を見ていきましょう。
※表示は年間での金額です。

公立の場合 私立の場合
学校教育費 63,102円 904,164円
学校給食費 43,728円 47,638円
学校外活動費 214,451円 646,889円
合計 321,281円 1,598,691円

※学校教育費:遠足や修学旅行など行事費、備品、私立の場合は授業料など。
※学校外活動費:習い事や学習塾、家庭用学習教材など。

私立小学校では学費が公立小学校の約5倍にもなります。けれども、公立小学校に通うのであれば、月々の収入から賄える範囲内なのではないでしょうか。

中学校の学費

次に、中学校での学費を見ていきます。
※表示は年間での金額です。

公立の場合 私立の場合
学校教育費 138,961円 1,071,438円
学校給食費 42,945円 3,731円
学校外活動費 306,491円 331,264円
合計 488,397円 1,406,433円

※学校教育費:制服や通学カバン、体操服、修学旅行など行事費、部活費用、備品、私立の場合は授業料など。。
※学校外活動費:習い事や学習塾、家庭用学習教材など。

中学生になると、高校受験のために学習塾へ通う子どもが増えます。小学校時代に比べると子どもにかかるお金は増えますが、公立中学校へ通うのであれば、収入の範囲内で賄うことはできそうです。

高校の学費

次に、高校(全日制)での学費を見ていきましょう。
※表示は年間での金額です。

公立の場合 私立の場合
学校教育費 280,487円 719,051円
学校外活動費 176,893円 250,860円
合計 457,380円 969,911円

※学校教育費:制服や通学カバン、体操服、修学旅行など行事費、部活費用、備品、私立の場合は授業料など。
※学校給食費:高校は弁当持参なので、給食費はかかりません。
※学校外活動費:習い事や学習塾、家庭用学習教材など

現在、高校生に対して就学支援制度があります。世帯年収の要件に当てはまる高校生は「高等学校等就学支援金制度」によって、年間118,800円(公立高校の授業料相当額)が助成されます。要件としては、目安として年収910万円未満の世帯となっています。(※3)

もう一つ、2020年4月からは「私立高校授業料実質無償化」が始まりました。これは、目安として世帯年収が約590万円未満の場合、最大396,000円の助成が受けられるというもの。私立高校へ通うことになっても、要件に合えば学費の負担が軽くなります。(※4)

大学の学費

大学の学費は、国公立、私大なら文系や理系など、大学によって変わってきます。ここでは、一般的な国立大、私大理系と私大文系の学費についてご紹介します。
以下は、2018年度における大学の初年度納入金の平均額を表しています。

【私大文科系学部】
初年度の学費:
入学金 229,997円+授業料 785,581円+施設設備費 151,344円=1,166,922円
大学1年から4年までに納める学費:約398万円

【私大理科系学部】
初年度の学費:
入学金 254,309円+授業料 1,105,616円+施設設備費 185,038円=1,544,963円
大学1年から4年までに納める学費:約542万円

【国立大学】
初年度の学費:入学金 282,000円+授業料 535,800円=817,800円
大学1年から4年までに納める学費:約243万円

ここでわかるのは、最も学費がかかるのは大学進学時ということです。大学の入学時に合わせて、ある程度の学費分は準備しておきたいですね。(※5)

よく使う子ども保険の専門用語

ここでは、子ども保険でよく使われる専門用語をご紹介します。
はじめての保険選びではよく見かける言葉なので、参考にしてください。

【契約者】
契約者とは、保険会社と保険契約を結ぶ人のこと。子ども保険の場合は父親、もしくは母親が契約者となります。

【被保険者】
被保険者とは保険の対象となる人のことで、子ども保険の場合は、子どもが被保険者となります。

【満期保険金】
契約者が設定した保険期間が終了したときに、保険会社から支払われる保険金のこと。子ども保険の場合、15歳、17歳、18歳、20歳、22歳など満期として設定した年齢を迎え、保険期間が満了したときに、被保険者が生存している場合、満期保険金が受け取れます。

【祝い金】
祝い金とは、保険期間中に被保険者が生存していている場合に、保険会社から支払われるもので、小学校や中学校、高校、大学などへ入学する時期に合わせて受け取れることが多いです。

【死亡給付金】
死亡給付金とは、被保険者が子ども保険の満期を迎える前に、万が一のことが起きて死亡した場合に受け取れるもの。

【育英年金】
育英年金とは、子ども保険の契約期間中に契約者が死亡、あるいは、高度障害状態になった場合に、保険が満期になるまでの間、被保険者へ支払われる年金のこと。

子ども保険のおすすめポイント

子ども保険のおすすめポイント

これまでに子ども保険はどういった保険なのか、そして、子どもにはどれくらいの学費がかかるのかをお伝えしてきました。これまで述べてきたことを踏まえ、まとまったお金が必要となるのは、大学進学時だということもご理解いただけたのではないでしょうか。
ではここで、子ども保険のおすすめポイントを解説しましょう。

貯蓄性がある(返戻率が高い)

子ども保険は貯蓄性のある保険です。払い込んだ保険料の総額よりも受け取れる保険金が多いものを選ぶことで、効率的に教育費を貯めていくことができます。その際、注目したいのが「返戻率」です。

返戻率とは、払い込んだ保険料の総額に対して、受け取ることのできる保険金総額(満期保険金+祝い金)の割合のことをいいます。次のような計算式で求めることができます。

【返戻率(%)=受取保険金総額(満期保険金+祝金)÷ 払込保険料総額× 100】

毎月コツコツと払い続けた保険料の総額よりも受け取る保険金のほうが高ければ、お金を無駄にせず教育費を準備できるということです。よって、子ども保険を選ぶ際は、返戻率が100%を超えるものを選びましょう。返戻率を高くするには、保険料の払込期間を短くして、なおかつ、保険金を一括して受け取るようにするとよいでしょう。

万が一の時の保障がある

子ども保険は親が契約者となり、保険料を払っていかなくてはなりません。その親に万が一のことが起き、保険料を払えなくなったら困りますよね。でもご安心ください。子ども保険では、契約者が死亡、あるいは高度障害状態になった場合は、それ以後の保険料が免除されます。それだけでなく、祝い金や満期保険金も受け取ることができるのです。一家の大黒柱に万が一のことが起きて保険料が払えなくなっても、教育費を用意できるのは安心ですね。

また、被保険者となる子どもに万が一のことが起きて死亡した場合も、払い込んだ保険料に相当する死亡給付金を受け取ることもできます。

特約で医療保障を受けられる

子ども保険の特徴の一つは、子どもの医療保障を特約で付けることができる点です。子どもは大人に比べてケガをしやすく、病気にかかりやすいともいわれます。もしかしたら、病気やケガで入院することがあるかもしれません。そんなとき、子ども保険で医療保障特約を付けておけば、もしものときに入院費や手術代、通院費などを保障してもらえるので安心です。

ただし、医療保障特約を付けるとその分保険料が高くなり、満期保険金の返戻率が下がります。また、子どもには公的な医療助成制度があります。その点も踏まえて、医療保障特約を付けるかどうかを考えましょう。

祝い金を受け取れるものがある

子ども保険では、被保険者となる子どもが小学校、中学校、高校、大学に入学するタイミングで祝い金を受け取れるものがあります。中学や高校へ入学すると、学校の制服や通学バッグ、体操服などさまざまなものを購入しなければなりません。また、高校では教科書や副教材の費用も負担することになります。
このように、入学時は、必要なものを購入するためにある程度まとまったお金が必要になります。そんなとき、子ども保険から祝い金を受け取ることができたら助かりますね。

ただし、祝い金が受け取れる場合、その分満期保険金が少なくなるかもしれません。また、返戻率が下がる場合もあります。
保険金を大学進学時に合わせて一括で受け取るのがいいのか、もしくは中学や高校への入学時に祝い金を受け取って必要な購入品の費用に充てたほうがいいのか、ご家庭の都合に合わせてどのタイミングでお金を受け取るのがよいのか考えてみましょう。

はじめての子ども保険の選び方

はじめての子ども保険の選び方

子ども保険に加入したいと思っても、いつ加入すればいいのか、あるいは、満期は子どもが何歳の時がいいのかなど、契約するときに迷うことが多々あるかもしれません。
ここでは、はじめての子ども保険の選び方についてお伝えします。

いつから加入するか

基本的に、保険は契約期間が長いほど保険料が安くなります。子どもが大きくなるほど保険料を払い込む期間が短くなり、月々の保険料が高くなるのです。保険料の負担を考えると、子ども保険は子どもが生まれたらすぐに加入するのがよいでしょう。また、保険商品によっては妊娠中から加入できるものもあります。出産前から加入すれば、より保険料を抑えられます。

契約者を誰にするか

子ども保険の契約者は父親と母親のどちらでもよいのですが、収入の多い方を選ぶのがよいでしょう。保険料を負担するのは契約者となるため、安定した収入があったほうが安心です。

ただし、子ども保険に加入する際、契約者に求められるのが、健康に関する告知義務です。もし、収入の多い方に健康上の問題があり、保険の加入が難しくなりそうな場合は、健康上問題のない方が契約者になることを検討してもよいでしょう。

保険金額をいくらにするか

保険金額を高く設定すればするほど、月々の保険料が高くなります。家計で負担できないくらい保険料が上がってしまっては本末転倒です。

ここで考えたいのは、どの時点で進学に必要な教育費を保険で賄うかということ。最も多くのお金を必要とする大学の学費を参考に、保険金額を考えるのがよいのではないでしょうか。

この時に考えたいのが、子どもが生まれたら支給される「児童手当」です。これを全額貯金すると約200万円になります。つまり、児童手当を貯めておき大学の学費として使えば、保険金額を減らせます。

特約で医療費への備えは必要か

子ども保険は、子どもの医療保障も付けられることが特徴ですが、本当に子どもの医療費への備えは必要でしょうか?

ここで覚えておきたいのは、健康保険に加入する親に扶養される子どもは「子ども医療費助成制度」を受けられる点です。病院での治療費や薬代などを自治体が代わりに支払ってくれるのです。制度を利用できる子どもの年齢は自治体ごとに異なりますが、最近では中学校を卒業するまでを対象とするところが増えています。

このように子ども医療費助成制度を利用すれば、医療保障はなくても問題はありません。
しかし、子ども医療費助成制度では対象外の差額ベッド代や食事代なども、医療保障特約なら補填でき、入院給付金や手術給付金も受け取れます。
ただ、特約を付けると保険料が上がるので、本当に必要だと考える場合に医療保障を付ければいいのではないでしょうか。

満期をいつに設定するか

満期時期は、最も多くの学費を必要とする大学進学時の18歳に設定すると、入学金や授業料を用意することができ安心です。

ここで注意したいのが、満期日と子どもの誕生月です。
満期日とは、18歳満期でいえば、18歳の誕生日の後、最初に迎える契約日を指します。たとえば、子どもの誕生日が早生まれの3月1日で、子ども保険の契約日が4月10日だとします。この場合、満期保険金を受け取れるのは18歳になった後の4月10日になり、大学入学後になってしまいます。こうなると、入学金などを支払うタイミングに間に合わず困りますよね。このように子どもが早生まれの場合は、17歳満期を選ぶと安心です。

はじめてにおすすめの子ども保険

太陽生命「わくわくポッケ」

この保険の特徴は、学資金を受け取れるのが、所定の年齢に達した直後の10月1日であること。推薦入学の場合でも入学手続きに間に合うところが安心です。また、所定の年齢は17歳6ヶ月に設定されているので、早生まれでも高校3年生の間に学資金が受け取れます。

フコク生命「みらいのつばさ」

この保険は、入学時に祝い金を受け取るステップ型と、大学進学時に祝い金をまとめて受け取るジャンプ型があり、学費が必要なタイミングでプランを選べます。また、きょうだい割引があるので、子どもが2人以上の場合はお得です。

三井住友海上あいおい生命「&LIFEこども保険」

この保険は出産予定日の5ヶ月前から契約が可能です。また、契約者の親に万が一のことが起きた場合、基本保険金額の60%を保険期間が終了するときまで毎年受け取れます。

専門家からはじめての子ども保険選びのアドバイス

最も多くの学費を必要とするのは大学進学時です。そのためにも、大学の入学手続きをする時期に合わせて祝い金、もしくは満期保険金を受け取れるようにするとよいでしょう。そして、保険料を抑えるために、子どもが生まれたらできるだけ早く契約することです。妊娠中からでも契約できるものを選ぶと、さらに保険料を安くすることができます。また、納めた保険料よりも受け取る保険金を多くしたい方は、返戻率を確認してみましょう。

出典:
(※1)子供の学習費調査
(※2)幼児教育・保育の無償化
(※3)高等学校等就学支援金制度
(※4)私立高校授業料実質無償化
(※5)文部科学省「平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果」


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