英語アレルギーの克服 第10回 [Oh,my Gooodness!]

親子で英語圏に住み、現地の学校に行きながら英語を学ぶ……。3歳の娘と母親である筆者は、夫のアメリカ転勤のために、そんな理想的な環境に飛び込むことになりました。果たして本当に「子どもは英語にすぐ慣れるから大丈夫」? アメリカに住みながら英語を学ぶメリットとデメリットとは? 筆者のアメリカ生活をとおして、日本に住むご家庭では、どんな取り組みができるのか考えていきます。
※「Oh,my Gooodness!」とは、「あらまあ!」という驚きを表すことば。

ある日の夕方、テレビのニュースを見ていると、「お母さん、英語はいやだ。消して!」と娘が怒り出した。
やれやれ、やっぱりだめか。「はいはい」と言って私はテレビを消した。アメリカに来て4カ月になろうとしているのに、我が娘は「英語がいやだ」「日本に帰りたい」と言い続けている。保育園だけで、英語はたくさんなのだろう。ときどき洋書の絵本を読んであげようとしても、「いやだ」と言って娘は受け付けなかった。

アメリカに来てからずっと、娘はなんとなく機嫌が悪く、ストレスに苦しんでいるようだった。日本にいたときには保育園が大好きで人見知りをしない子だったのに。無理もない。あるとき私は、保育園の教室で「What are you going to be when you grow up?(大きくなったら何になりたいですか?)」「I want to be a princess.(王女様になりたい)」などと書かれた模造紙を見た。娘のいる3歳児クラスでのやりとりを記録したものだ。その後はともかく、当時は私もネイティブを相手にこんな受け答えが流暢にこなせる自信はなかったので、娘が越えねばならないハードルの高さにため息が出た。
もちろん娘は、「いやだいやだ」と言いながらも、入園して2、3カ月を過ぎたころから先生の指示はだいたいわかっていたようで、「lunch(お昼)」や「snack(おやつ)」といった単語も理解していた。それはそれで嬉しいが、いつになったら「英語はいやだ」と言わなくなるのだろうか? あきらめモードになっていた矢先に、ある変化が起きた。

お昼ごろにやっている『クリフォード』というテレビアニメを私が見つけ、録画して娘に見せてみた。赤い犬と飼い主エミリーのお話だ。私だってところどころ聞き取れないのに、娘は飽きることもなく、ときに笑いながら見ているではないか! 「クリフォかわいい! クリフォ大好き! もう1回見せて!」とせがんで飛び跳ねている。英語でも、別に構わないと言う。その日から娘は、いつも保育園から帰ると、日本語テレビ放送の『おかあさんといっしょ』、そして『クリフォード』を見るようになった。

本屋さんに行くと、クリフォードの絵本は山のようにあった。「これ英語だけど、欲しい?」と言うと、娘は「買って!」と言う。あとで英語のまま読み聞かせしたところ、いやがることもなく聞いていた。このときを境に、彼女の英語アレルギーが少しずつ薄らぎ始めたのだ。

娘は、しまじろうやキティちゃん、ミッキーマウスも大好きである。要するに、かわいい動物がお友達になってくれるイメージは、子どもの心を強くとらえるもので、今回はそれが英語アレルギーの解消に役立ったのだろう。最近は日本でもアメリカの子ども向けの洋書やDVDが手に入りやすくなった。こうした教材には動物を含めてさまざまなキャラクターが出てくる。そのうち一つでも子どもが興味を示すものがあれば、それは英語に親しませる格好のチャンスかもしれない。

プロフィール

山本美芽

音楽・ノンフィクションライター。中学校教諭、養護学校教諭からライターに転身。現在は音楽と教育をテーマに執筆活動を行う。著書に「りんごは赤じゃない 正しいプライドの育て方」「子どものセンスは夕焼けが作る」など。2006年3月より米カリフォルニア州在住。1児の母。

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