教会へ 第7回 [Oh,my Gooodness!]

親子で英語圏に住み、現地の学校に行きながら英語を学ぶ……。3歳の娘と母親である筆者は、夫のアメリカ転勤のために、そんな理想的な環境に飛び込むことになりました。果たして本当に「子どもは英語にすぐ慣れるから大丈夫」? アメリカに住みながら英語を学ぶメリットとデメリットとは? 筆者のアメリカ生活をとおして、日本に住むご家庭では、どんな取り組みができるのか考えていきます。
※「Oh,my Gooodness!」とは、「あらまあ!」という驚きを表すことば。

娘が保育園に通い始めたあとは、私の「英語環境」を作る番だった。とにかく、最低限の会話ができないと、何もかも不便でどうしようもない。公園でアメリカ人のママさんに声をかけてもらっても、聞き取れないので結局「Hi」「Really?」「Thank you」「Bye」で終わってばかり。保育園の送り迎えで先生たちと話すだけでは、会話の量が足りないのだ。アメリカ人と友達になれる、英会話のチャンスが転がっている場所を探さなければ。

そこで私は、日曜日に娘を連れて教会に行ってみようと思った。実はその教会を見つけたのは、私の母なのだ。私達と一緒にアメリカに来た母は、2週間ほどこちらに滞在していた。その間に、自分が通っているところと同じ宗派の教会を見つけて礼拝に行き、「すごくよかったわ」と言い残して帰国した。私も子どもの頃に日曜学校に通っていたので、「母がそう言うならば」と、その教会に行ってみることにしたのだ。

そして日曜日の朝、おそるおそる教会の中に入ってみた。「Welcome」とあちこちに表示があって、誰でもどうぞ、と歓迎してくれる雰囲気だ。礼拝ではお祈りの本をみんなで一緒に朗読し、牧師さんのお話を聞き、賛美歌を英語で歌う。誕生日や結婚記念日を迎える人は前に出てお祝いしてもらっている。まるで学校のようだ。教会で話されている英語は、とてもわかりやすく、全部は理解できなくても、落ち着いて聞くことができた。しかも親が礼拝に出席している間、ボランティアの女性がおもちゃがいっぱいの子ども部屋で子どもたちを見ていてくれるのだ。

礼拝が終わったあとは、コーヒーとケーキが控え室に用意してあって、みんなでお茶をしながら和やかに話をする。こういうとき子連れというのは得なもので、誰もが「She is cute!」「How old is she?」と話しかけてくれる。「どこから来たの?」「どこに住んでいるの?」「娘さんは幼稚園に通っているの?」などなど、聞かれることは大体同じ。初めは単語の羅列だったが、少しずつ文章で答えられるようになった。

なかには特にゆっくりしゃべってくれるマダムがいて、しばらく会話を続けることができ「アメリカに来たばかりで、これだけ英語が話せればたいしたものよ」と励ましてもらった。優しい言葉が、じーんと身にしみる。ジャックという精悍なおじいちゃんは、「She is my sweetheart.」と言って、娘をとてもかわいがってくれた。彼は空軍のパイロットを務めたという退役軍人。うちの娘ぐらいのお孫さんがいるそうで、子どもと遊ぶのがとてもうまい。毎週のように抱っこしたり、高い高いをしたりと構ってくれるので、娘はジャックじいちゃんになついて、姿を見ると駆け寄って飛びつくようになった。

教会で少し会話らしいことを始めて、私は「言いたいことがうまく英語で出てこないなあ」ともどかしくなった。そこで、ひとりごとで延々と英語を話したり、英語で文章を書いたりする練習を少しずつ始めてみたのだ。すると、少しずつではあるが、実際の会話のときに言いたいことがスムーズに出てくるようになった。こういう練習はアメリカにいなくてもできるので、日本でやっておけばよかったなぁ……と、反省している。

プロフィール

山本美芽

音楽・ノンフィクションライター。中学校教諭、養護学校教諭からライターに転身。現在は音楽と教育をテーマに執筆活動を行う。著書に「りんごは赤じゃない 正しいプライドの育て方」「子どものセンスは夕焼けが作る」など。2006年3月より米カリフォルニア州在住。1児の母。

おすすめトピックス

子育て・教育Q&A