小学校英語の必修化、保護者の立場から気になること(1)[英語レポート]

次期学習指導要領のなかでの小学校英語について方向性が固まりつつあります。テレビや新聞で「小学校でも英語が必修に」と報道されましたので、ご存じの方も多いかと思います。ここでは簡単に概略だけをお伝えし、子どもや保護者の立場から気になることを、2回にわたって、ご一緒に考えてみたいと思います。

今回の改訂案の概略

今回示された案は、文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会の外国語専門部会の審議内容をまとめたものです(正確には、まだ案の段階で、決定までもう少しかかります)。その案では、まず小5、6を中心に週1時間程度、英語に関わる活動を行うことが提案されています。「まず」という意味は、今回の改訂ではということで、今後、学年を下げていくことや授業時間を増やしていく可能性が残されています。

教科ではなく、『総合的な学習の時間』、ないし、道徳などと同じ『領域』として実施することになります。「教科でない」という意味は、国が内容をすべて決めるのではなく学校ごとの自由度を高くする、明確な評価(数字などで出すこと)を求めない、中学入試の科目にならないようにといったことが配慮された結果です。

内容は、英語といっても中学の英語学習を簡単にしたものではありません。現在でも、『総合的な学習の時間』で国際理解などをテーマに取り組まれていることを、少し充実させた感じになりそうです。つまり、英語に慣れ親しみ、中学で本格的に学習する素養をつくることに主眼がおかれています。音声、会話技術、文法などのスキル面を身につけることは、場合によって取り組むとしていますが、主な目標にはなっていません。

かなり簡単に言うと、以上のようなことなのですが、保護者とすれば、「これで本当に英語の力は伸びるのか」「逆にマイナス面はないのか」などが気になるのではないでしょうか。そこで、3つの観点-(1)全員対象なのか個別のことなのか (2)年齢(発達) (3)実施される時期-から、考えてみたいと思います。今回は、(1)について、次回は(2)と(3)を取り上げます。

「全員対象なのか、個別のことなのか」という観点から考える

今回の中教審で検討されたのは、すべての子どもに対する小学校での英語教育をどうするかです。文部科学省の調べでは、公立小学校で何らかの形で英語活動を行っている学校は93.6%になっています。しかし、その内容はさまざまです。さらに、私立の学校での取り組みやご家庭で英会話教室に通わせているケースも考えあわせると、多様な広がりができていることになります。
現在、公立小学校での年間の平均授業実施時数は6年生で13.7単位時間(1単位は45分)です。今回の案が週1回程度ですから、年間30単位時間強で足並みをそろえる、それを最低基準に設定しましょうということになります。これは、ある方にとっては「too much」であり、ある方にとっては「不十分」と映ることでしょう。以前のこのコーナーでご紹介した「決まらない小学校英語教育の内容」で、賛成や反対の意見が出ていることは、こうした面も影響してのことではないでしょうか。

次に、「個別」の部分で起きていることに目を向けると、たとえば、教育特区の形で教科として英語教育に取り組んでいるのは55自治体になります。そのなかには、国語以外の教科のほとんどを英語で行う小学校も出てきています(太田市ぐんま国際アカデミーなど)。

それは極端な例としても、ある特定のことを充実させようとすれば、全員対象では難しい場合が出てきます。その是非もありますが、むしろ、子どもや保護者が選択したいと思ったときに利用できるかが重要だと思います。行政レベルでいえば、地域の偏りや、経済的に裕福な層だけが利用するようなことにならないかなどが課題になります。

保護者からすれば、共通で保障されていることと、個別の選択肢として利用可能なことを見極める必要が出てきます。個別の選択肢は、どの小学校を選ぶのかといったことだけでなく、学校での学習にプラスして利用できるサービス(家庭向けの英語教材や英会話教室など)まで幅広く考えたほうが現実的です。つまり、二者択一ではなく、共通で受ける学校教育と選択できることとの組み合わせで考えていくことが必要になります。

先の結論にいく前に、もう少し観点を加えて話を深めさせてください。次回は、2週間後の掲載を予定していますので、この記事にご意見をお寄せいただければ、それも参考に話を進めたいと思います。

<関連リンク>
中央教育審議会 外国語専門部会3月27日議事録
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/015/06032708.htm



小学校英語の必修化、保護者の立場から気になること(2)もお読みください。)

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