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日本考古学発祥の地・『大森貝塚』

大森貝塚大森貝塚

モース博士、大発見、車窓から貝塚を見つける

『大森貝塚』(おおもりかいづか)は、縄文時代後期から末期の貝塚で、発見者の名前から『モース貝塚』とも呼ばれています。場所は、東京都品川区から大田区にまたがります。

そもそも貝塚とは、「原始~古代」の人々が捨てた貝殻が積み重なったもので、貝殻だけではなく、獣の骨や土器、焼土や灰なども一緒に捨てられ『堆積層』ができ上がったものです。

『大森貝塚』ができた経緯は、縄文時代後期から始まる寒冷化によって、動物などの食料が減少していきました。そのため、寒冷化の影響が少ない海産物を中心に食べたために、『大森貝塚』ができたと考えられています。

貝塚の発見は1877年6月、横浜から東京へと向かう列車の窓からでした。発見者の名前は、『エドワード・シルベスター・モース』(Edward Sylvester Morse)、アメリカの動物学者です。腕足類の研究のために来日したモース博士が大森付近の崖に貝殻が堆積しているのを列車の窓から発見します。これが、『大森貝塚』です。

発見から3ヶ月後、9月から発掘調査が始まります。この発掘が日本で初めての学術的発掘で、発掘報告書もまとめられたことから、『大森貝塚』は「日本考古学発祥の地」と呼ばれています。

『大森貝塚』には、ふたつの石碑が存在します。ひとつは、品川区側の『大森貝塚遺跡庭園』(品川区大井6-21)、もうひとつは大田区側(大田区山王1丁目)です。
モース博士が詳細な発掘場所を書かなかったことなどにより、長い間、発掘地点について品川区説と大田区説のふたつが存在していましたが、その後の調査によりモース博士が初めに発掘したのは、品川区側ということがわかりました。品川区側の『大森貝塚遺跡庭園』には横書きで『大森貝塚』、大田区側には縦書きで『大森貝塚』とそれぞれの石碑に書かれています。

『大森貝塚遺跡庭園』では、モースの銅像や貝層の剥離標本などがあり、縄文時代後期の『大森貝塚』について学べるようになっています。駐車場のスペースなど用意はされていませんが、JR大森駅北口より徒歩5分と交通アクセスは整っています。また園内では、噴水から霧を発生させるなど幻想的な演出も楽しめます。

『大森貝塚』やモース博士については、『大森貝塚遺跡庭園』に隣接する、『品川区品川歴史館』により詳しくそろっています。

『エドワード・シルベスター・モース博士』に学ぶ継続の力

『大森貝塚』を発見したモース博士は、少年時代から貝類に興味があったようです。13歳のころに採集し始めた貝類の標本は見事で、研究者が見学にくるほど充実していたといわれています。
よく「継続は力なり」と言いますが、モース博士の場合も興味があることを続けてきたので、列車の風景を見ていた時に貝の堆積層だとすぐにわかり、発掘調査の行動へとつなげることができたのでしょう。

物事をすぐ投げ出さず続けるのが大切だということは、誰もがわかっていることでしょう。とはいえ「継続は力なり」と言うように、続けることは何よりも難しいことです。最初は勢いよく始めたものの、途中で断念してしまう人が大半だと思われます。

関心や興味のあることに対して大きな目標をたてるのはとてもいいことですが、いきなり大きな成果を求めても、なかなか叶うものではありません。小さな目標をこつこつ達成していきながら、目標に向かって毎日少しずつ努力を積みかさねていく姿勢が大切なのでしょう。

また、進むスピードは遅くても日々努力を続けている子どもたちに対しては、応援したり、一緒に切磋琢磨していきましょう。

貝塚やモース博士に会いに行ってみましょう。

『大森貝塚遺跡庭園』の近くにある『品川区品川歴史館』は、1985年(昭和60)に郷土資料の保存と活用などを目的に開館しています。『大森貝塚』と、東海道随一として栄えた品川宿(しながわしゅく)を中心にした品川の文化・歴史を多くの資料やパネルで学ぶ場として、また茶道など伝統的文化活動の場でもあります。

アクセスマップ

名 称:大森貝塚遺跡庭園
時 間:7月~8月・9時00分~18時00分
11月~2月・9時00分~16時00分
その他の期間・9時00分~17時00分
料 金:無料
住 所:東京都品川区大井6-21-6

名 称:品川区品川歴史館
時 間:9時00分~17時00分(入館は16時30分まで)
料 金:大人100円・小人50円(※品川区立・区内在住の小中学生、70歳以上の方、障害のある方は無料)
休 日:月曜日・祝日(日曜日と重なった場合は開館、月曜日と重なった場合はその翌日も休館)・年末年始。展示替え、資料室燻蒸などの臨時休館の場合あり。
住 所:東京都品川区大井6-11-1
電 話:03-3777-4060
※情報は変更されている場合があります。

監修者プロフィール
河合 敦(かわいあつし)
多摩大学客員教授。歴史研究家。1965年東京都生まれ。多数の歴史書を執筆するとともにテレビやラジオなどのメディア出演多数。
代表的な著書に『日本史は逆さから学べ!』(光文社知恵の森文庫)、『もうすぐ変わる日本史教科書』(KAWADA夢文庫)などがある。

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