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桜舞う陸奥の名城『弘前城』

『弘前城』城主居城から花咲き誇る公園へ

『弘前城』(ひろさきじょう)は、別名『鷹岡城』(たかおかじょう)、『高岡城』とも呼ばれる、日本の『平山城』(ひらやまじろ)です。『弘前城』は津軽地方の象徴として長い歴史があり、陸奥国弘前藩(現在の青森県)初代藩主・津軽為信(つがるためのぶ)により起工し、後を継いだ、弘前藩第2代藩主・津軽信枚(つがるのぶひら)の手により、1610年にほぼ完成しました。
その後、江戸時代を通し明治時代に入るまでのあいだ、歴代の津軽城主の居城となります。
『日本100名城』にも認定されている『弘前城』の景観は、広大な敷地の中に1627年に落雷により焼失した5層の天守にかわり、1811年に完成した3層(御三階櫓・ごさんかいやぐらと称される)の天守があり、これは数少ない『現存天守』の一つで国の重要文化財とされています。天守のほかにも、「辰巳櫓・丑寅櫓・未申櫓」(たつみやぐら・うしとらやぐら・ひつじさるやぐら)の三つの櫓と「三の丸追手門・三の丸東門・二の丸南内門・二の丸東内門・四の丸亀甲門」の五つの門は築城時の姿で残っており、こちらも重要文化財です。
『弘前城』の見事さについて、小説家の司馬 遼太郎(しばりょうたろう)も紀行文集の中で「日本七名城」の一つとしてふれています。

『弘前城』の広大な敷地は現在、弘前市民の憩いの場として、また全国から多くの方が集まる観光の中心地『弘前公園』として有名です。
四季折々のさまざまな表情を楽しめる『弘前公園』では、春には約50種2,600本の桜が咲き誇る日本一の名所として『弘前さくらまつり』が賑わいをみせます。秋には菊と紅葉を愛でる『弘前城菊と紅葉まつり』、冬には大小さまざまな雪像や200基もの小さなかまくらを楽しめる『弘前城雪燈籠まつり』など、年間を通してのイベントも催されます。
なお、『弘前城』は『美しい日本の歴史的風土100選』、『人と自然が織りなす日本の風景百選』、『弘前公園』は『日本の都市公園100選』、『日本さくら名所100選』に選ばれています。

『弘前城』城主に学ぶ名君像

戦国時代を駆け抜け、『藩祖』(はんそ・初代藩主のこと)として弘前藩の基礎を作り上げた初代藩主・津軽為信や、そのあとを受け継ぎ、『弘前城』築城と城下町の整備に心血を注いだ、第2代藩主・津軽信枚。さらに歴代藩主の中で『名君』と呼ばれた人物がいます。

それが陸奥国弘前藩第4代藩主で『弘前城』城主・津軽信政(つがるのぶまさ)です。彼は弘前藩の藩政を確立した『中興の英主』と称されました。
1646年、『弘前城』にて誕生し、父の第3代藩主・津軽信義(つがるのぶよし)死去の後、領内において新田開発や土木治水、産業振興など藩経済の立て直しに尽力。
1710年に没するまで生涯に渡り、文武両道に励み自らを律することで、君主としての道を追求します。その結果、元禄期の大名『七傑』に数えられ、現代においても、「高岡様」と敬意をこめて呼ばれています。

この津軽信政の物語は、統率者となる人物はだれよりも自分への鍛錬を怠らないことが大切なのだと教えてくれます。自分の地位に奢ることなく、心身ともに鍛えることで上に立つ者に相応しい実力と風格を培ったのです。それが現代まで埋葬された地名にちなみ「高岡様」と敬意を持たれるゆえんでしょう。

口で威張り倒すのではなく、自身の生き様そのもので周りに働きかけられるように心がけたいものです。

100年ぶりの石垣工事の見学に『弘前城』へ行ってみましょう

現在『弘前城』では、本丸の石垣が外側に膨らむ『はらみ』が見られ、石垣の一部を修理する工事が行われています。前回の修理は、1915年なので、実に100年ぶりです。内濠(うちぼり)の埋め立てや『弘前城』の曳屋(ひきや・建築物をそのままの形で移動させる方法)など、大規模な工事となり、工期が完了するまでには10年もの時間がかかるとされています。
『弘前城』では、この一大事業の石垣工事の様子を見ることができ、曳屋された移動後の天守も見学することができます。

アクセスマップ

名 称:弘前城
時 間:弘前城本丸・北の郭は4月1日~11月23日 9時00分~17時00分
※さくらまつり期間は7時00分~21時00分
弘前城植物園は4月中旬~11月23日9時00分~17時00分(券販売16時30分まで)
※さくらまつり期間は9時00分~18時00分(券販売17時30分まで)
休 日:弘前城は11月24日~3月31日・植物園は開園期間中無休
料 金:弘前城本丸・北の郭は大人 310円・子供 100円
植物園は大人 310円・子供 100円
住 所:青森県弘前市大字下白銀町1
電 話:0172-33-8739(弘前市役所 公園緑地課・有料区画や各情報など)
※情報は変更されている場合があります。

監修者プロフィール
河合 敦(かわいあつし)
多摩大学客員教授。歴史研究家。1965年東京都生まれ。多数の歴史書を執筆するとともにテレビやラジオなどのメディア出演多数。
代表的な著書に『日本史は逆さから学べ!』(光文社知恵の森文庫)、『もうすぐ変わる日本史教科書』(KAWADA夢文庫)などがある。

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