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飛梅伝説で有名な『太宰府天満宮』とは?

太宰府天満宮ってどんなところ?

『太宰府天満宮』(だざいふてんまんぐう)は、福岡県太宰府市にある神社で、「天神様」の名で広く知られている菅原道真公(すがわらのみちざねこう)をまつる、『天満宮』のひとつです。天神様をまつっている神社は全国に約1万2千社ありますが、『太宰府天満宮』はその総本宮として、多くの人々の崇敬を集めています。

菅原道真公の御霊(みたま)がまつられている『太宰府天満宮』、実は、菅原道真公の亡骸(なきがら)が眠る墓所でもあります。
845年に京都で生まれた菅原道真公は、幼少の頃から学問に秀でた人でした。学者としての最高位であった『文章博士』(もんじょうはかせ)の地位を得てその才を認められ、醍醐天皇(だいごてんのう)の治世では、右大臣に任じられます。右大臣は、事実上行政機関の最高責任者と言える左大臣を補佐する役割です。現代において左大臣を内閣総理大臣と例えるならば、右大臣は内閣総理大臣を補佐する役割、行政機関の内閣官房長官といったところでしょう。その類いまれなる才能を生かして国の政治に貢献していた菅原道真公でしたが、時の左大臣であった藤原時平(ふじわらのときひら)に疎まれ、無実の罪で大宰府に左遷されてしまいます。以後、再び京都に戻ることはなく、大宰府の地で一生を終えました。

当時、菅原道真公の門弟であった味酒安行(うまさけやすゆき)は、埋葬のために亡骸を牛車に乗せて進んでいました。しかし、まもなくして、車を引いていた牛が座り込んで動かなくなります。これを菅原道真公の気持ちであると考えた味酒安行は、その地に亡骸を埋葬しました。その後、菅原道真公を慕う人々によって、お墓の上に祀廟(しびょう・御霊をまつる建物)が建てられ、これが『太宰府天満宮』のはじまりであるとされています。

余談ですが、この菅原道真公と牛にまつわる逸話から、『太宰府天満宮』の境内にある御神牛は、どれも座り込んでいるのが特徴です。御神牛に触れると、触れた部分と同じ体の部位にご利益があると言われています。特に、頭をなでると賢くなるとされていますので、訪れた際にはぜひ、ご利益にあずかりましょう。

『太宰府天満宮』のご神木『飛梅』の伝説と菅原道真公の人生に学ぶ、誠意の大切さ

『太宰府天満宮』にある樹齢千年を超えるご神木の白梅には、「飛梅伝説」が残っています。
左大臣・藤原時平との権力争いに敗れた菅原道真公は、突然の左遷によって、家族との別れを惜しむ間もなく、京都を離れることになります。その際、梅をこよなく愛していた菅原道真公は、自宅にあった梅の木に別れを告げる歌を詠みました。

「東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ」

「東風(こち。春風のこと)が吹いたら、香りをその風に託して大宰府まで送り届けておくれ、梅の花よ。主である私がいないからと言って、春を忘れてはならないよ」という意味のこの和歌には、菅原道真公の梅に対する愛情と、梅の木を置いて行かなければならない悲しさや寂しさが込められています。その想いは梅の木にも伝わっていたようで、主とともにありたいと願った梅の木は、一晩にして、都から菅原道真公が住む大宰府の屋敷の庭へ飛んできたと言います。
この梅が、現在も『太宰府天満宮』にある「飛梅」という名のご神木です。「飛梅」は、主の意を汲んでか、毎年、『太宰府天満宮』の境内にあるどの梅よりも先んじてほころぶそうです。

春と言えば、日本人にとっては桜のほうがなじみ深いかもしれませんが、『太宰府天満宮』を訪れた際にはぜひ、「飛梅」をご覧になってください。「飛梅」は、1月下旬には花開き、2月上旬から中旬にかけて見頃を迎えます。厳しい寒さの中にあっても白い可憐な花を咲かせるその凛とした姿からは、気高い美しさを感じることができます。

幼少の頃から神童と謳われ、学問の神様として有名な菅原道真公はまた、失意の中にあっても最後まで誠を尽くした人として知られ、『至誠の神様』としても崇められています。
自分の才に溺れることなくさらに勉学に励み、ただ国のため、人々のためを思って、善政を行った菅原道真公。大宰府に左遷された後も、衣食もままならない苦しい生活にありながら、ただ皇室の安泰と国家や人々の平安、そして、自身の潔白を神々に祈ったそうです。
その誠の心は死後、天に通じ、朝廷においても無実が証明されて、『天満大自在天神』(そらみつ だいじざいてんじん)という神の位を授かりました。

私たちも、菅原道真公を見習い、不遇な時でも誠意を持って取り組む、という心を忘れずにいたいものです。

「飛梅」を見に『太宰府天満宮』へ行ってみましょう

『太宰府天満宮』は、最寄りの西鉄太宰府駅から本殿まで徒歩5分と、アクセスが良い場所にあります。『太宰府天満宮』の太宰府駐車センター(普通車500円)をはじめ、近隣に有料の駐車場が整備されていますが、受験シーズンなどは混雑が予想されるため、できるだけ公共交通機関を利用しましょう。
また、駅周辺には、ランチや梅ヶ枝餅などを楽しめるお食事処もそろっています。日常から離れた至福のひとときをお過ごしください。

アクセスマップ

名 称:太宰府天満宮
時 間:6時30分~19時00分(春分の日~秋分の日の前日までは6時00分より開門、12月~3月までは18時30分、6月~8月までは19時30分に閉門)
※正月三ヶ日は24時間開門・1月4日の夜は参拝状況により閉門
休 日:なし
料 金:参拝無料
住 所:福岡県太宰府市宰府4丁目7番1号
電 話:092-922-8225
※情報は変更されている場合があります。

監修者プロフィール
河合 敦(かわいあつし)
多摩大学客員教授。歴史研究家。1965年東京都生まれ。多数の歴史書を執筆するとともにテレビやラジオなどのメディア出演多数。
代表的な著書に『日本史は逆さから学べ!』(光文社知恵の森文庫)、『もうすぐ変わる日本史教科書』(KAWADA夢文庫)などがある。

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