ひらがな特集

STEP1.単語を音節に分けるとは?

「ひよこ」は「ヒ・ヨ・コ」という3つの音節からなり、1音節に1文字ずつ対応しますから
「ひ・よ・こ」という3文字で表すことができます。
原則として、ひらがな1文字に1音節が対応するという日本語の特徴のおかげで、
幼児はひらがなを学びやすいのです。
まず、聞いた言葉を音節に分けて、聞き取り、一つの音に一つの文字を当てはめる…
という理解が、ひらがな文字の習得の基礎として重要です。

イラスト STEP1

音節分解をつかった遊び

●頭音あつめ

イラスト 頭音あつめ

「あ」で始まる言葉を集めるという頭音あつめは、3歳くらいのお子さまでも楽しめることば遊びです。
この遊びを通して「あ」は「ア」という音を表しているのであり「あり」の「ア」も「あひる」の「ア」も、ともに「あ」と書くのだということを学ぶことにつながります。

●しりとり

イラスト しりとり

しりとりは、単語の末尾の音を聴き取り、その音が頭につく言葉をさがすゲームです。
音節分解が十分にできていないと遊べないので、頭音あつめよりも高度になります。

STEP2.ひらがなの文字のかたちと音を対応させるとは?

ひらがなの一字一字のかたちと音を対応させて覚え始めることができるようになると、初めはかたちに特徴のあるひらがなから覚え始める傾向があります。
たとえば「ふ」や「ほ」など複雑な形でも特徴のある字は、比較的早く読みを覚えることができます。
一方で、「く」と「へ」、「さ」と「ち」など、単純に見えても似ている字の識別は難しいのが、この時期のお子さまの特徴です。

イラスト STEP2

ひらがなのかたちと音を対応させる遊び

●ひらがな人文字

イラスト ひらがな人文字

体をつかって文字をつくる遊びは、ひらがなの形をイメージするのを助けてくれます。
おすすめの遊びです。体の大きな動きとひらがなを結びつけることで文字の形のイメージが定着しやすくなります。

●看板を読む

イラスト 看板を読む

ひらがなのかたちと音を対応させる力は、身近な単語を読むことでも育ちます。
街中でお子さまが興味をもった文字や目についた看板などを読むことで日々の生活の中で文字のかたちと音を自然と覚えることができます。

STEP3.読むのが難しいひらがなの確認とは?

「拾い読み」ができるようになったら、今度は「ん」「ば(濁音)」「ぱ(半濁音)」や、
小さい「っ・ゃ・ゅ・ょのつく音(拗音)」など、
特殊な読みのひらがな表記に挑戦します。ひらがなの読みの完成を目指します。

イラスト STEP3

ひらがなの読み あやふや度CHECK

(1)絵にあう言葉をつくってみましょう。

イラスト 絵にあう言葉をつくってみましょう。

CHECKポイント

■に入る文字は何でしょうか?
「ぱ」「ん」「だ」の3音を認識しているかの確認です。
「ぱん」「だ」と2音として認識していると答えにつまります。“ん”は文字としては知っているお子さまでも、一文字として認識し表記するのはなかなか難しいものです。

(2)絵にあうただしい言葉はどちらでしょう。

イラスト 絵にあうただしい言葉はどちらでしょう。

CHECKポイント

「っ・ゃ・ゅ・ょ」などの小さい文字(促音、拗音など)は、拾い読み段階のお子さまは大きい文字として認識しがちです。

音と文字を一緒に確認する
『「かつぱ」じゃないね、「かっぱ」だね』など、難しい読み方の文字を見ながら、正しい読み方の音を繰り返し聞くことで、自然と読み方が身につきます。

ひらがなの読み方 Q&A

Q.
単語だと読めるのに、1文字ずつになると読めないのはなぜ?
A.
ひらがなを読み始めのお子さまは、友達の名前や駅名などをひとまとまりの記号として覚えることがあります。
2~3歳のお子さまでも身近な「とうきょうえき」などの表示を見て正しく読めるのは、文字のかたまりのパターンを絵のように認識しているからなのです。
例えば「とうきょう」の中の「き」を取り出して尋ねると読めないということは多々あります。
このように個々のひらがなの音を読み取るには一つひとつの文字についての体系的な学習が必要になります。
ひらがなを一字ずつ読んで単語や文の意味を理解していくのは時間がかかって当然です。
焦らずに読めるひらがなを増やしながら、単語のストックも並行して増やしてあげることが大切です。
イラスト 単語だと読めるのに、1文字ずつになると読めないのはなぜ?
Q.
ひらがながすべて読めるようになったら、絵本はなるべくひとりで読ませた方がいい?
A.
今は正確に読むことよりも、親子でストーリーを楽しみましょう。
特におうちのかたが自然に語り聞かせることが大事です。
ひらがなを覚えたてのお子さまが、ひとりで文字を追いながら、ストーリーの内容まで理解するのはとても難しいことです。また、文字を1字ずつ拾い読みをするくせをつけるのは好ましくありません。
もう読めるという子でも、おうちのかたがぜひ繰り返し読んであげてください。
「象さん、どうしたのかしら」などお話をもとに、親子で自由に会話を楽しむことのほうが大切です。
また、大人が読んであげることで、日本語のリズムや抑揚をお子さまに学ばせることにもつながります。
イラスト ひらがながすべて読めるようになったら、絵本はなるべくひとりで読ませた方がいい?

監 修

沢井 佳子先生
チャイルド・ラボ所長。
静岡大学情報学部客員教授。

お茶の水女子大学大学院修了。発達心理学専攻。
認知発達支援と視聴覚教育メディア設計を専門とする。
幼児教育番組「ひらけ!ポンキッキ」(フジテレビ)制作の心理学スタッフを務めたほか、大学講師などを経て現職。
「こどもちゃれんじ」(ベネッセ)の「考える力」プログラム監修。
幼児教育番組「しまじろうのわお!」(テレビ東京系列)監修。
人工知能学会「コモンセンス知識と情動研究会」幹事。
日本子ども学会常任理事。