【中国国民革命の進展と日中戦争】右派と左派の違いについて
教科書などをみていると「右派」「左派」と出てきますが，そもそも右派と左派の違いはなんですか？
「左派＝社会主義」と考えるのは間違いでしょうか？
進研ゼミからの回答
【質問内容】
教科書などをみていると「右派」「左派」と出てきますが，そもそも右派と左派の違いはなんですか？「左派＝社会主義」と考えるのは間違いでしょうか？
【質問への回答】
こんにちは。
いただいた質問について，さっそく回答させていただきます。
「右派」(右翼)，「左派」(左翼)の語源は，フランス革命時の議会で議長席からみて，
右側に穏健派の議員が，左側に革命を急進的に進めようとする派の議員が座っていたことにあります。
右派・左派については国や時代によってその内容も違ってきます。
政治についていえば，一般的に右派は一つの政党や団体のなかで伝統や従来の制度や組織，考え方を守ろうとする保守的な一派や人を指します。個人よりも社会の価値を重視します。
また，保守的な考えをもつ政党を右派政党，政権を右派政権といったりもします。
一方，左派は一つの政党や団体のなかで，現状の制度や組織を新しく変えようとする革新的な考え方をもった一派や人を指します。平等や人権の実現を重視します。
また，革新的な考えをもつ政党を左派政党，政権を左派政権といいます。
なお，「左派＝社会主義」かについては，一概にいうことはできません。現状の組織や体制を改革しようとする一派が社会主義を目指しているとは限らないからです。
ここで中国国民革命が進展していた時期の中国国民党の右派と左派についてみてみましょう。
国民党右派は蔣介石が指導し，反共で国共合作を崩壊させます。一方，国民党左派は汪兆銘が代表で，国共合作の維持を主張しました。
このように国民党の右派と左派は共産党に対する姿勢が大きな違いとなっていました。(のちに国民党左派は反共に転じ，国民党右派を集めた南京国民政府に合流しました。)
では，ここで社会主義と共産主義について説明します。
社会主義は，社会的不平等の根源を私有財産にあるとして，土地と生産用具などの生産手段を私有ではなく，社会で共有することで資本主義社会が生み出した貧富の差をなくそうとする考え方です。19世紀末にはベルンシュタインの修正主義があらわれ，革命や武力闘争ではなく，議会闘争や政策によってゆるやかに改革をめざす，今日の西ヨーロッパの社会民主主義が生まれました。
また，20世紀にはレーニンらによるロシア革命でソ連がつくられることで，社会主義が共産主義となって広がっていきました。
狭義には，社会主義・共産主義は生産手段を公有とし，社会主義は生産力の発達が十分でないため，人々が能力に応じて働き，労働に応じて分配を受ける段階で，一方，共産主義は生産力が高度に発達して，能力に応じて働き，好きなだけ消費してよいとされます。
なお，広義には社会主義と共産主義は同義に扱われます。
【学習アドバイス】
社会主義の展開はマルクスを中心に押さえましょう。マルクスに影響を与えた思想，マルクス， エンゲルスに空想的社会主義といわれたロバート＝オーウェンをはじめとする空想的社会主義者，そしてマルクスの著書などに注目してみましょう。
また，この機会に第1インターナショナル(1864～76年)，第2インターナショナル(1889～1914)，第3インターナショナル(コミンテルン・1919～43年)について，結成された都市，結成の契機，崩壊（解散）の原因，そして中心となった勢力を整理しておきましょう。
