子どもの「孤食」、食育で解消を

一日すべての食事を一人で食べている「孤食」が増加しています。
背景には世帯構造の変化がありますが、「仕事が忙しく家族と一緒に食事をする時間が取れない」などの状況も浮き彫りになりました。孤食は栄養バランスが偏りがちになり、長期的に見ると健康リスクにもなります。孤食解消の場として、学校での食育に期待が寄せられています。

誰かと食べると健康に

政府が毎年国会に提出している「食育白書」は、国民の食生活の現状や、学校や家庭・地域における食育の推進などについて、データや事例が掲載されています。5月末に発表された2017年度の白書によると、一日のすべての食事を一人で食べる「孤食」の日が週の半分以上を超える人が15.3%いました。2011年度と比べて、約5ポイント増加しています。

孤食が増えた背景として、単独世帯や夫婦のみの世帯、一人親世帯の増加など、世帯構造の変化が挙げられます。「一人で食べたくないが、食事の時間や場所が合わないため、仕方ない」(35.5%)、「一人で食べたくないが、一緒に食べる人がいないため、仕方ない」(31.1%)と答える人もいることから、仕方なく孤食になってしまう状況が明らかになりました。
食育白書のコラムには、誰かと食事を共にする頻度が高い人は食事のバランスがよく、「塩分を控える」「野菜を多く食べる」など生活習慣病予防の意識が高い傾向が見られるとあります。

最近では「一人で入りやすいお店」の紹介が人気なように、一人の食事をポジティブにとらえる風潮もありますが、それは食べ方を選べる大人の場合です。子どもや高齢者の孤食は「楽しく食べる」「家族や仲間とのだんらん」といった食事のよい面が得られないだけでなく、健康リスクも負うことになりかねません。

学校給食で共食の楽しさをシェア

こうした現状から、孤食解消の場として期待されるのが学校での食育です。
国は2005年度に栄養教諭制度を創設し、学校での食育を推進しています。栄養教諭は給食を「教材」として、正しい食の知識やバランスのよい食べ方を指導する専門の教諭で、現在、全国で約6,000人が配置されています。
文部科学省が食育のモデル校を指定する「つながる食育推進事業」では、この栄養教諭が核になり、地域や家庭と連携したユニークな取り組みを見ることができます。異学年が一緒に食べる「なかよし給食」や、「バイキング給食」で共食のよさを子どもが直接体験するもの、親子陶芸教室で「大皿」を作り、おかずを盛り付けた会食風景を写真で共有するなど、間接的に共食を促すアイデアもあります。

食べることは人間の生存に不可欠な営みであり、本来「楽しいもの」であるはずです。マナーや「感謝の気持ち」も大切ですが、まず楽しく食べることを体験することも、今後の学校における食育の重要な役割と言えるでしょう。

(筆者:菅原直子)

※2017年度食育白書
http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wpaper/h29_index.html

※リーフレット つながる食育の推進に向けて
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1404459.htm

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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