「オリパラ教育」で世界を学ぼう

2020年東京オリンピック・パラリンピックを学校の授業で取り上げて、子どもたちが学ぶ「オリンピック・パラリンピック(オリパラ)教育」が普及してきました。アスリートの話を聞いたり、スポーツを体験したりするだけでなく、国際問題や環境問題など、世界の抱える課題について学べる、実はスケールの大きな活動となる可能性を秘めています。オリパラ教育が始まって1年半。さまざまな取り組みが展開されています。

難民選手の話から平和を考える

スポーツ庁は2016年7月にまとめた「オリンピック・パラリンピック教育の推進に向けて 最終報告」の中で、オリパラ教育の目的を▽スポーツの意義や価値等に対する国民の理解・関心の向上▽障害者を含めた多くの国民の、幼少期から高齢期までの生涯を通じたスポーツへの主体的な参画(「する」「見る」「支える」「調べる」「創る」)の定着・拡大▽児童生徒をはじめとした若者に対する、これからの社会に求められる資質・能力等の育成……と定義しています。

オリパラ教育は「オリパラそのものを学ぶ」ものと、「オリパラを通じて学ぶこと」に分けて考えることができます。前者はオリンピックやパラリンピックの精神や歴史、選手の体験談を聞いたりする学習などを指します。
後者の「オリパラを通じて学ぶこと」とは何でしょうか。オリパラを通して参加する国の文化や言語、歴史などを学んだり、国際平和・貧困・人権・環境など、地球規模の課題を知ったり、その解決方法を考えてみたりすることも、それに当たります。

都内のある小学校では、前回のリオ大会で初めて結成された「難民選手団」の一人として出場した、競泳女子のユスラ・マルディニ選手を招いて講演会を開きました。また、ある中学校では、オリンピックやパラリンピックに参加する国々には、途上国や先進国に関わらず、さまざまな課題があることを「持続可能な開発目標(SDGs)」を通して学習しました。海外からの留学生を招いて、その国の文化や習慣などを学んだり体験したりする学校もあります。

子どもの視野拡大を「遺産」に

これらの授業や活動は、すべてオリパラ教育の一環に位置付けることができます。「これからの社会で必要となる資質・能力」の中には、グローバル社会への理解も含まれるからです。
オリパラ教育では、学校や先生方が独自に企画するものの他に、企業や自治体、大学、非営利団体などが提供するプログラムを活用することもできます。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が提供する「東京2020参画プログラム」で検索すると、多彩なプログラムとその情報を得られます。

1964年の東京大会開催では、新幹線などのインフラが整備されたり、「体育の日」が制定されたりするなど、現代の私たちの暮らしに良い「レガシー(遺産)」が残されました。今度の2020年大会が、遠い将来「人々に大きな影響を与えた」と振り返ることができるよう、オリパラ教育を通して子どもたちの視野を広げ、良いレガシーを残すようにしたいものです。

(筆者:長尾康子)

※スポーツ庁「オリンピック・パラリンピック教育の推進に向けて 最終報告」
http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/004_index/toushin/1375094.htm

※東京2020教育プログラム特設サイト TOKYO 2020 for KIDS 子どもがまなぶオリンピック・パラリンピック!
https://education.tokyo2020.org/jp/

東京2020参画プログラム
https://participation.tokyo2020.jp/jp/

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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