小学校は既に「英語も総合も」

2020年度から英語の教科化が始まる小学校では、この4月から、中学年(3・4年生)で年間15時間、高学年(5・6年生)で同50時間の外国語活動(現行指導要領上は年間35時間)が、新学習指導要領を一部前倒しする形で実施されています(移行措置)。いずれも昨年度より15時間分が増えますが、その分は2018~19年度に限り、総合的な学習の時間(年間70時間)を削ってもよいことになっています。しかし、多くの学校では総合学習を削らずに、授業時間数を増やしていることが、文部科学省の調べでわかりました。背景には何があるのでしょうか。

3校に1校が中学年で新指導要領を先取り

調査によると、今年度、総合学習を減らさない計画の小学校は、中学年で71%、高学年で72%を占めます。15時間分を削るのは各26%、25%、1~14時間分を削るのはともに3%でした。2019年度は、さらに4~5%の学校が、総合学習を削るのをやめると回答しています。
新指導要領では、現在は高学年だけに必修化されている外国語活動(年間35時間)を、中学年に前倒しして実施するとともに、高学年では教科(外国語科)として、倍の年間70時間を実施することになっています。今年度の外国語活動の実施状況を見ると、中学年では計35%が年間35時間以上を実施する計画を立てており、移行措置期間であるにもかかわらず、既に3校に1校以上の小学校で新指導要領に沿った授業が行われることになります。16~34時間を実施するのも11~12%ありますから、半数近くが、移行措置で求められている以上の授業を実施することにしているわけです。

一方、5・6年生で70時間以上を実施するのは29%で、51~69時間は8%と、合わせても3校に1校を超える程度です。本格的な教科化には、まだまだ準備が必要のようです。
ただし2019年度は、移行措置で求められる以上の時間数を実施する学校が、いずれも半数を超える見通しです。

どう時数増を工夫するか注視を

新指導要領で外国語の授業時数が増えるといっても、その分、他の教科等の時間が削られるわけではありません。増える時間は、各学校で、1日15分間の短時間授業を重ねる他、▽夏休みや冬休みを削るなどして、年間の授業日数を増やす▽授業コマ数を増やす週を設ける▽60分の長時間授業を実施する……など、相当な工夫をする必要が出てきます。移行措置で総合学習を削って外国語に回すことが認められているのは、そうした工夫に時間が掛かることを考慮してのことです。

しかし総合学習の削減は、あくまで一時的なものです。全面実施になれば、もとに戻さねばなりません。しかも、教科等の枠を超えて学ぶ総合学習は、教科横断的に資質・能力の育成を目指す新指導要領で、ますますその重要性が増すことになります。移行措置でも総合学習の時間を削らない小学校が多いのは、そうした総合学習も大事にしたいという思いの表れとも見ることができます。
授業時数が純粋に増える分、児童はもとより指導する先生方の負担も増加することは必至です。学校でも「働き方改革」が求められるなか、保護者としても、お子さんが通う小学校で授業時数増にどう対応するのか、注視したいものです。

(筆者:渡辺敦司)

※学習指導要領の改訂に伴う移行措置の概要
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/__icsFiles/afieldfile/2017/12/12/1387780_005.pdf

※移行期間中の授業時数調査の結果について
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1404606.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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