英語力を今後どう伸ばす? 政府目標に及ばないなかで

中高生の英語力が、政府の定めた目標に及ばなかったことが、文部科学省の調査でわかりました。ますます国内外でグローバル化が進展する社会に出ていく子どもたちにとって、英語を使ったコミュニケーション能力は不可欠です。今後どうやって英語力を伸ばしたらよいのでしょうか。

5年間では着実に向上したものの

国の教育政策をめぐっては、2006年の教育基本法改正により、政府が教育振興基本計画を閣議決定することになっています。第2期計画(2013~17年度)では英語力に関して、中学校卒業段階で「英検3級程度以上」、高校卒業段階で「英検準2級程度~2級程度以上」を達成した中高校生の割合を50%にするという目標を盛り込みました。

文科省が全公立学校を対象にした2017年度の英語教育実施状況調査によると、目標を達成した生徒の割合は、中学生が40.7%(前年度比4.6ポイント増)、高校生が39.3%(同2.9ポイント増)でした。2013年度と比べれば各8.5ポイント増、8.3増と5年間では着実に向上していますが、政府目標には及びませんでした。
ところで、ここで言う英語力とは「聞く・読む・話す・書く」の4技能がバランスよく備わった英語力のことです。指導要領でも、改訂のたびごとに4技能を統合したコミュニケーション能力の育成を重視する方向を強めています。しかし大学入試センター試験が「読む」(筆記)や「聞く」(リスニング)に偏るなどの影響もあって、とりわけ高校の授業がなかなか変わらないと、文科省はみています。調査を見ても、スピーキング(話す)やライティング(書く)のパフォーマンステストを実施しているのは、中学校で96.9%でしたが、高校では63.5%にとどまり、「英語表現」Ⅰ・Ⅱでさえ70%以下でした。

注目される福井県の取り組み

そうしたなかで注目されるのが、福井県です。目標達成率は中学生が62.8%(前年度比16.3ポイント増)、高校生が52.4%(同7.6ポイント増)で、いずれも都道府県別1位でした。
同県では、県教育振興基本計画(2015~19年度)の中で、4技能の力を着実に身に付ける中高英語教育の推進として、▽オールイングリッシュによる英語授業を促進▽ALT(外国語指導助手)を増員して活用機会を充実▽中学生・高校生の外部検定受検を促進▽実践的な英語を話す機会を拡充▽英語教員の外部検定試験の受検を促進——という方針を掲げました。

2021年1月からセンター試験に代わって導入される大学入学共通テストでは、筆記とリスニングに加えて、民間の資格・検定試験(GTECや英検などの9試験23種類)を活用して4技能を評価することにしています。また、国の第3期教育振興基本計画(2018~22年度)では、英検で定めていた目標をCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)に置き換えて、中卒段階でA1レベル相当以上、高卒段階でA2レベル相当以上を50%にするとしています。これを起爆剤として授業改善を期待するとともに、予算措置も含めた生徒への支援も、国や地方自治体には臨みたいものです。

(筆者:渡辺敦司)

※2017年度「英語教育実施状況調査」の結果について
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1403468.htm

※福井県教育振興基本計画
http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kyousei/pub-com_d/fil/151225keikaku.pdf

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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