ピコ太郎さんも注目?「SDGs」で人生100年を生き抜く力を

「SDGs」(持続可能な開発目標)といえば、昨年9月に外務省から推進大使を委嘱された歌手のピコ太郎さんのユニークな歌と踊りを覚えているかたも少なくないことでしょう。
何だか難しそうで、教育にも一見関係ないように思えてしまいますが、実は「ESD」(持続可能な開発のための教育)という形で、既に10年以上の蓄積があります。しかも新学習指導要領(2020年度の小学校から順次、全面実施)にも、この考え方が盛り込まれました。

これからの時代を生き抜く子どもたちに必要なSDGsのためのESDとは、いったいどういうものなのでしょうか。

教育がすべての基礎に

「持続可能な開発」自体は、1980年代から提唱されていました。
一方、ESDは、2002年12月の国連総会で日本が提案した「国連持続可能な開発のための教育の10年」(05~14年)が決議され、ユネスコスクール(世界で約1万校、日本では2017年10月現在で1,034校)に指定された学校を中心に取り組みが行われています。
「私たちとその子孫たちが、この地球で生きていくことを困難にするような問題について考え、立ち向かい、解決するための学び」(ユネスコスクールのホームページ)です。

SDGsは、2015年9月の国連サミットで150か国以上の参加により採択された「持続可能な開発のための2030 アジェンダ」(16~30年)の中で掲げられました。「貧困」「ジェンダー」「気候変動」「平和」など17の目標があり、「教育」もその一つです。
それぞれの目標は独立したものではなく、相互に関係するだけでなく、時には相反する価値を追求することもあります。その中で「教育」は、「教育がすべてのSDGsの基礎」(日本ユネスコ国内委員会「ESD推進の手引」改定版)と考えられています。持続可能な社会を担うのは私たちであり、子どもたちです。とりわけ子どもたちには、教育を通じて、その意義を学んでもらわなければなりません。

新指導要領の基盤としても

そうしたSDGsの核となるESDは、新指導要領の「基盤となる理念」(2016年12月の中央教育審議会答申)として、全体に関わる前文に「持続可能な社会の創り手となることができるようにする」ことが盛り込まれました。
一方でESDには、何か各教科の学習などとは別の教育を行わなければならないのではないかとか、ユネスコスクールのような特別な学校でしかできないのではないか……といったイメージが持たれることも少なくありません。

しかしESDは従来から、各教科などを横断的に学習することによって、持続可能な社会づくりに必要な態度や能力を育成することとされていました。とりわけ新指導要領は、教科横断的に(1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力等(3)学びに向かう力・人間性等……の三つの柱で「資質・能力」を育成することを目指しています。
学校で学んだことが、学校の中だけで通用する知識で終わってしまっては、意味がありません。しかもSDGsは企業にとっても重要な課題であり、経済産業省によると各目標の市場規模は70兆~800兆円にもなるといいます。何より環境悪化や貧困・格差の広がりで、社会が持続不可能になってしまっては困ります。ESDは「人生100年時代」の子どもたちに不可欠な教育なのです。

(筆者:渡辺敦司)

※SDGs(外務省ホームページ)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/doukou/page23_000779.html

※ESD(文部科学省ホームページ)
http://www.mext.go.jp/unesco/004/1339957.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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