今後の大学入学者選抜にどう備える? 新指導要領からうかがう

2021年1月には大学入試センター試験が「大学入学共通テスト」に替わるなどの大改革が待っていますが、1月のセンター試験の地理Bで教科書に載っていない「ムーミン」の出題が話題になったように、思考力などを問う改革の先取りは既に始まっていると見ることもできます。今後の大学入学者選抜に、どう備えたらよいのでしょうか。

「出題教科・科目」から「資質・能力」ベースに

来るべき入学者選抜改革は、高校教育や大学教育と三位一体になった「高大接続改革」の一環として構想されました。また、高大接続改革の論議は、学習指導要領の改訂論議と両輪で進められたことも見逃せません。
さらに、学習指導要領の改訂は、学校教育法に定められた「学力の3要素」(<1>知識・技能<2>思考力・判断力・表現力<3>主体的に学習に取り組む態度)をさらに進めて、どの校種や教科等にも共通する三つの柱(<1>知識・技能<2>思考力・判断力・表現力等<3>学びに向かう力・人間性等)で資質・能力を伸ばしていこう……という考え方に基づいて行われました。
とりわけ入学者選抜改革は、知識・技能を高校までにしっかり身に付けさせながら、共通テストでは知識・技能を活用した思考力・判断力・表現力を主に問うこととし、個別大学では「主体的に学習に取り組む態度」を高校・大学向けに「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」(主体性・多様性・協働性)と言い換えたうえで、3要素すべてを評価し、その大学のポリシー(方針)にふさわしい学生を選抜することを目指しています。
従来の大学入試といえば、どの教科・科目を課せば優秀な受験生を多数集められるかという観点から検討されてきたきらいがあります。しかし今後は、教科を超えた資質・能力をベースとして、出題教科・科目や配点比率、提出書類が再検討されることになります。

教科横断的な視点も重要

そうなると高校の勉強も、各教科・科目だけの知識として覚えるだけではいけません。
たとえば新指導要領では、地理歴史科で世界史と日本史を統合した「歴史総合」を新設します。両者を一体で捉えたうえで、近代化・大衆化・グローバル化というキーワードから<逆向き>に歴史を学ぶ切り口にしようとしています。
これにより、従来なら世界史は世界史の知識として、日本史は日本史の知識としてバラバラに暗記すれば「入試対策」になっていた学習の仕方は、根本的な転換を迫られることになります。

しかし歴史学習を通した思考力・判断力・表現力の育成は、現行指導要領でも求められていることですから、今の入試でも、世界史と日本史を関連付けて思考力を問う設問が可能なはずです。そのような先取りが、地理で学んだ地理的な見方・考え方をもとに思考力を働かせて論理的に解答を導き出す「ムーミン問題」として現れたのだと言うことができます。
今後の高校の授業でも、各教科・科目で学んだことを他教科・科目と関連付け、教科横断的な視点で自分なりに課題を発見して解決しようとする積極的な姿勢も求められることでしょう。それがひいては、入学者選抜で問われる思考力・判断力・表現力等や主体性・多様性・協働性の「対策」にもなるのです。

(筆者:渡辺敦司)

※高大接続改革の実施方針等の策定について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/07/1388131.htm

※高校の新学習指導要領案(パブリックコメント)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000958&Mode=0

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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