高校の学習は<探究>重視へ

高校の新学習指導要領が、近く告示されます(3月15日までパブリックコメント=意見公募手続)。大幅な科目再編が特色ですが、新科目名などに「探究」という言葉が目立ちます。
「習得・活用・探究」は現行の指導要領でもキーワードとなっていますが、高校教育・大学教育・大学入学者選抜を一体とした「高大接続改革」と、2021年1月から始まる「大学入学共通テスト」をにらんで、高校の授業にも探究学習の強化がいっそう求められそうです。

「総合学習」も名称見直し

今回の改訂では多くの教科で科目再編が行われますが、隠れた目玉は「総合的な学習の時間」(総合学習)が高校で「総合的な探究の時間」(総合探究)に名称変更されることかもしれません(小・中学校などは従来通り)。
これは直接には、「理数探究」という科目が新設されることに伴うものですが、高校での総合学習が小・中学校に比べて低調だったという側面があったことも否めません。
各教科の専門性が強いことに加え、どうしても進学をはじめとした進路対策を意識するあまり、全校的な取り組みが進まず、本来目指した教科横断的な学習や課題発見・解決能力の育成までに至っていない問題が指摘されていました。

そこで、昨年告示された小・中学校の新指導要領で示された、比較する・分類する・関連付けるなどの「考えるための技法」を、高校段階では「自在に」活用できるようにすることを明確化。時間の目標は各学校の教育目標を踏まえて設定しつつも、実生活・実社会と自己との関わりの中で、自ら課題を発見することを重視した探究活動を行うことにしました。
一方、理数探究基礎(標準単位数1単位)・理数探究(同2~5単位)は、どの高校も開設できる新教科「理数科」(専門学科の理数科とは別の各学科共通教科)に位置付けられる新科目です。理数系に力を入れる高校を指定した「スーパーサイエンスハイスクール」(SSH、2017年度は全国で国公私立203校)のミニ版とも、総合学習の横断教科を理科と数学に限った科目ともいえる科目です。これらの履修によって、総合探究に替えることもできます。

「理数探究」は共通テストにも出題

むしろ今後は、理数探究のほうが注目を集めるかもしれません。
新指導要領の実施に伴う2025年1月からの共通テスト見直しに伴って、理数探究が出題科目になる予定だからです。特に理数系学部で、理数探究を受験科目に指定する大学が増えるものと予想されます。

ただ、高大接続改革の一環としての大学入学者選抜改革では、共通テストで「思考力・判断力・表現力」、個別大学の入学者選抜では「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」(主体性・多様性・協働性)の評価が重視されます。その育成には、教科を超えて自己と社会をつなぐ総合探究が、大きな役割を期待されています。
高校の新指導要領では他にも、地理歴史科の選択科目名が「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」となるなど、<探究>がキーワードの一つになっています。その要として総合探究があり、高校での学び全体をまとめ上げる役割があると言っても過言ではないでしょう。現行指導要領下で共通テストを受ける生徒にも、決して無縁ではないのです。

(筆者:渡辺敦司)

※学校教育法施行規則の一部を改正する省令案及び高等学校学習指導要領案に対する意見公募手続(パブリックコメント)の実施について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/02/1401394.htm

※高大接続システム会議最終報告(当時の仮称は「数理探究」)
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2016/06/02/1369232_01_2.pdf

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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