必要な英語力をつけて入試を突破するには何をすればよいの?

2021年1月から始まる大学入学共通テストの英語では、マークシート式問題(筆記とリスニング)だけでなく、高校3年生の4~12月に2回まで受けた外部の英語・検定試験の結果が、大学入試センターを通じて大学に送られる「大学入試英語成績提供システム」が導入されます。
今後の「入試対策」を、どう考えればよいのでしょうか。

4技能評価のために外部の資格・検定試験を活用

何より忘れてはならないのは、今回の改革が、高校の授業で英語を聞く・読む・話す・書くという「4技能」をしっかり身に付け、そうした高校での学習成果を大学の入学者選抜で評価してもらうことを狙っているのだ……ということです。

従来の大学入試センター試験でも、決して4技能を軽視していたわけではありません。ペーパーテストという形式であっても、間接的な形でも何とかスピーキングやライティングの能力を評価しようと工夫を重ねてきました。しかし実際にはアクセントの位置や単語の並べ替えなどの出題になってしまい、結果的には聞く・読むの2技能しか評価できなかったのも事実です。
その結果、日本の高校生は、話す・書くの2技能に「極めて課題が大きい」というのが、文部科学省の危機意識です。高校の授業も大学入試を意識するあまり、学年が上がるごとに話す・書くの活動が低調になってしまい、4技能をバランスよく身に付けさせてコミュニケーション能力を育成するという本来の姿が、うまく実現できていなかったというわけです。

一方、2006年1月のセンター試験からリスニングを導入したところ、ベネッセコーポレーションのGTEC for STUDENTS(当時)でリスニングの平均スコアが大幅に上昇するなど、入試改善が生徒の英語力向上に大きく関わっていることもわかっています。
そこで共通テストでは何とか実現可能な形で4技能を直接評価したいと検討した結果、既に実績のある外部の資格・検定試験を活用することにしたのです。成績提供システムに参加する資格・検定試験は、3月末にも認定される見通しです。

小学校からの積み重ねでコミュニケーション能力を

外部の英語資格・検定試験を活用することをめぐっては、大学関係者はもとより高校関係者からも不安の声があるのは確かです。それぞれの資格・検定試験は特徴を持っており、必ずしも学校の授業には合わず、まったく別の対策が必要になるのではないか……という不安です。
しかし、資格・検定試験が入試センターの成績提供システムに参加するには、高校生の受検実績や大学入学者選抜での活用実績があることなどが、要件に定められています。

たとえばGTECは、中高生の英語使用場面で思考・判断・表現の力を測定しようとするなど、常に学習指導要領との整合性を図ってきました。また、CEFR(セファール)(ヨーロッパ言語共通参照枠)という外国語学習・教授・評価のための国際標準にも対応するようにしています。
新しい学習指導要領(小学校は2020年度から、中学校は21年度から、高校は22年度入学生から)でも、CEFRのレベル記述に合わせて学技段階別に目標を設定し、4技能を「聞くこと、読むこと、話すこと[やり取り]、話すこと[発表]、書くこと」の5領域で育成することにしました。

つまり今後は、小学校高学年から続く教科としての英語で4技能5領域の活動をたっぷり行い、目的や場面、状況などに応じて英語でコミュニケーションを図る能力を着実に身に付けることが、そのまま資格・検定試験対策にも大学入学者選抜対策にもなるということであり、ひいては国内外で進むグローバル社会に生きる力を育成する、ということなのです。
改善される英語の授業に真剣に取り組むことが、実はこれからの入学者選抜にも直結した能力を身に付けることにつながるのです。

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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