公立小中一貫教育はどんなことをしているの?

全国的に小中一貫教育を導入する市町村が増えています。これに対応する形で文部科学省は小中一貫教育の事例集を作成しました。全国から集めた11件の小中一貫教育の内容をコンパクトにまとめていて、大変見やすいのが特徴です。小中一貫教育は、具体的にどんな教育をしているのでしょうか。

複数あるタイプ、小学校で教科担任制も

小中学校が連携して、学校行事や特別活動などで一緒に取り組んだりする「小中連携」は以前から行われていましたが、小中学校の9年間を通して一貫したカリキュラムを編成する「小中一貫教育」は、学校教育法などの改正によって2016年度からスタートしました。中学校の内容を小学校段階で先取りできるなど学習指導要領の特例措置があるのが「小中一貫」、教科などで教育課程の特例措置を行えないのが「小中連携」と覚えておけばよいでしょう。

また小中一貫教育には、9年一貫の新しいタイプの学校である「義務教育学校」と、既存の小中学校などを組み合わせて一貫教育をする「小中一貫型小学校・中学校」の2種類があります。さらに小中学校の施設の立地形態によって「施設一体型」「施設隣接型」「施設分離型」などに分けられます。
文科省の事例集によると、京都市立東山泉小中学校は、小中学校が別々の場所にある施設分離型の小中一貫型小学校・中学校で、9年間を「5-4」に区切った教育を実施しています。小5からの理科・音楽・家庭科で教科担任制を導入している他、小学校の理科・音楽・図画工作・体育・外国語活動などの授業を中学校の教員が行う「乗り入れ」を実施。教育課程の特例としては、小1から「外国語(英語)活動」を行っているほか、小6で中学校と同様の「50分授業」をしています。

東京都品川区の品川区立品川学園は、施設一体型の義務教育学校で「4-5」を基本とした「4-3-2」の区切りによる教育をしています。小5・6段階の全教科で教科担任制を実施しているほか、中学校段階の教員が小学校段階で英語の授業をしています。また運動部は第5学年(小5)~第9学年(中3)、文化部は第4学年(小4)~第9学年(中3)で実施するなど、小学校段階から部活動をしています。鳥取市立福部未来学園は、幼稚園を加えた10年一貫教育に取り組んでいるのが特徴です。施設隣接型の小中一貫型小・中学校ですが、幼・小・中が入る施設一体型校舎に向け改修・増築中で、2018年度から小中は義務教育学校となる予定です。10年間を「3-3-4」に区切り、学校独自の教科である「みらい科」を実施しています。

背景には学校統廃合も

小中一貫教育では、小学校から中学校への接続が滑らかになり、「中1ギャップ」などの問題が起こりにくいことなどが指摘されています。
しかし、全国的に広がっている背景には、少子化による学校統廃合の影響があります。保護者や知識住民の反対で学校統廃合が難しいケースで、「新しく小中一貫教育の学校をつくります」と言えば、反対意見も少なくなり、学校統廃合がしやすくなるという狙いです。
いずれにしろ、これから小中一貫教育をする公立学校は、さらに増えてくるのは確実です。小中一貫教育とは、どんな教育なのか、保護者も知っておく必要があるでしょう。

(筆者:斎藤剛史)

※小中一貫した教育課程の編成・実施に関する事例集
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/ikkan/1400462.htm

プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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