子どもの進路で大きく変化する教育費

今年も中学受験の熱いピークを越えつつあります。小学低学年のお子さまをお持ちの保護者のかたの中には、「わが家は中学受験をしようか、高校受験をしようか…」と、迷われている方もいらっしゃるでしょう。
わが子にとって「この進路が絶対正解!」はないかもしれません。しかし進路の選び方によって、必要なお金が大きく変わることは事実です。そこで、今月は「子どもの進路とお金」について見てみたいと思います。

子どもの進路によるお金の違い

下図は、文部科学省の調査による、幼稚園3歳から高校卒業までの15年間の学習費総額(平成28年度)です。代表的な進路にかかる学習費総額が、ケース1からケース6までの6パターンで比較されています。

これを見ると、最も教育費の負担が低いのは、ケース1の全て公立に通った場合(オール公立)の約540万円です。一方、最も負担が高いのは、ケース6の全て私立に通った場合(オール私立)の約1,770万円です。その差額は約1,230万円(約3.28倍)。これを見ると、オール私立にお金がかかるのは一目瞭然です。

つぎに、中学受験と高校受験を比較してみましょう。

中学受験をする場合は、小学校は公立に進み、中学受験をして私立の中高一貫校へ進学するケース5が多いでしょう。一方、高校受験をする場合は、小・中学校は公立で、高校受験をして私立へ行くケース3、4が多いでしょう。そこで、ケース5とケース4を比較してみましょう。

中学受験をするケース5は約1,047万円、高校受験をするケース4は約792万円です。その差は約255万円(約1.32倍)です。
この2つを比較すると、ケース4の小中学校までは公立で、高校受験で私立へ行くほうが、お金はかかりません。さらに高校受験で公立や国立に合格できると、ケース1のオール公立となり、もっともお金がかかりません。

「でも、中学受験と高校受験では、塾代や家庭教師代などに違いが出るのでは…」という声も聞こえてきそうです。この学習費総額の内訳は、「学校教育費」、「学校給食費」、「学校外活動費」です。ですから「学校外活動費」の中には塾代や家庭教師代なども含まれているのです。

子どもにかかるお金はまだまだ続く!

高校卒業以降もまだまだ教育費は続きます。たとえば「高校まではオール公立で、お金がかからなかった」と思っていても、浪人したり、私立大に行ったり、大学院に進むなどの進路によっては思いがけずお金がかかることもあります。

このように大学は私立か国立か、理系か文系か、芸術学部か医歯薬学部かなどの専攻の違い、自宅通いか下宿か、大学院に進むのかどうか、現役か浪人か、専門学校や資格取得はどうするのか…などの進路によっても、お金は大きく変わるのです。

最近は、海外留学に行かせるご家庭も増えています。その場合も、1~2か月の短期の語学留学、1年間の高校留学、大学の交換留学、海外の大学、海外の大学院への留学など、さまざまなケースがあります。それにより必要な費用も大きく異なります。

このように子どもにかかるお金は、中学受験か高校受験かの選択だけではなく、大学受験以降の進路によっても大きく異なるのです。

わが家の収入の範囲内で余裕ある学校選択を!

では、進路の違いによる教育費対策はどうしたらいいのでしょうか。

中学受験までの進路選択は、親の意向が大きく影響します。小学受験や中学受験を選ぶ基本は、我が家の収入の範囲内で余裕を持って払える学校選択です。

つぎに、高校受験や大学受験以降の進路選択は、子どもの意志を尊重しましょう。
そのためには、お子さまが行きたい大学がある、専門分野の勉強をしたいと言い出したときのために、教育費として計画的に毎月一定額を貯蓄しておきましょう。
進路によって異なりますが、一般的な目安は大学時までに1人につき200万円~400万円必要です。児童手当を使わずにそのまま貯蓄したり、貯蓄性のある学資保険や銀行の積立定期など、安全性のある金融商品で積立てるといいでしょう。もし、海外留学に行く可能性が考えられる場合は、別枠で貯蓄する必要があります。

これらの教育費を貯められて、かつ親の収入の範囲内で無理なく行かせられる進路選択をするためには、1年に1度はご家庭で家計プランをたてましょう。さらに長いスパンで考えて、中学受験、高校受験、大学受験、それ以降などのどこにお金をかけたいのか、将来の進路方針をお子様と話し合うことが、お子様の自覚と自立につながると思います。

【ご参考】文部科学省:「平成28年度子供の学習費調査の結果について」
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/12/22/1399308_1.pdf

プロフィール


山本節子

専業主婦の時代、15回の不動産売買の経験をキッカケに、FPや日本証券アナリスト検定会員補の資格を取得。現在は買い手の立場に立った相談業務、セミナー講師、雑誌や書籍の執筆などを行う。(株)リスタート代表。

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