スピーキングテストはどう評価するの?

2021年1月から実施される「大学入学共通テスト」の英語に関して、外部の英語資格・検定試験が活用されることになったのは、本来の英語運用能力に必要な「4技能」(聞く・読む・話す・書く)のうち、従来の大学入試センター試験の方式では、「聞く」(リスニング)・「読む」(筆記)の2技能しか、直接的に問うことができないからです。ただ、「書く」はともかく、「話す」(スピーキング)をどうやって評価するのか見当もつかないかもしれません。
評価方法は各資格・検定試験によって違いますので、ベネッセコーポレーションのGTECを例に紹介しましょう。

GTECではタブレットを使用

中高生が対象のGTECには、難易度別にAdvanced(高3~高2レベル)、Basic(高2~高1レベル)、Core(中3~中2レベル)の3タイプがありますが、全体の試験時間(Coreは95分、AdvancedとBasicは115分)のうちスピーキングに充てる時間は、いずれも約25分です。スコアは、Coreが840点中210点、Basicが1080点中270点、Advancedが1280点中320点となっています。(※)
スピーキングテストは、受検者一人ひとりに用意されたタブレット端末やイヤホン(もしくはヘッドセット)、イヤピースを使って、画面に表示された問題を見たり聴いたりして、解答音声を吹き込む形で行われます。

問題はReading Aloud(音読)6問、Listening and Responding(質問を聞いて応答する)4問、Telling a Story(ストーリーを英語で話す)1問、Expressing Your Opinion(自分の意見を述べる)1問の、計12問で構成されます。
GTECのスピーキングテストでは、「問われたことに対して明確に応えているか」という観点(=Goal Achievement)と、「より効果的に伝えられているかという観点(=「語い」「文法」「発音」「流ちょうさ」の4観点)で評価をしています。

具体的には、▽Reading Aloud=対話の応答文を読み上げる形式の出題で、状況や英文を理解したうえで、正確な発音で音読ができるかどうか▽Listening and Responding=図示された情報を読み取り、それに関する質問を聞き取った上で、適切に応答する力があるかどうか▽Telling a Story=日常的な出来事について、話の流れを踏まえて相手に伝わるように状況を説明する力があるかどうか▽Expressing Your Opinion=身近なテーマに対して、自分の意見とその意見をサポートする理由が言えているか……を診断します。
※スコアはいずれも2017年度12月以降に検定日受検された場合のものです。

採点は英語話者の視点で客観的に

4技能評価をめぐっては、評価者によって評価が違ってくることが心配されます。全国学力・学習状況調査でも、2019年度に中学校で英語を実施することになっていますが、当初、研修を受けた各学校の教科担任が評価を行うことを検討したものの、フィージビリティー(実現可能性)調査の結果、見送られた経緯があります。
毎年50万人以上が受験する共通テストで、たとえば大学入試センターが一括して採点者を確保し、各大学の個別選抜に耐え得るような評価を行うには、日程的にもコストの面でも相当な困難が伴います。そこで、既に実績のある資格・検定試験を活用することにしたのです。

GTECでは、受検者の音声データを独自開発の採点システムにアップロードし、海外の採点拠点で、英語話者の視点による採点を行っています。採点評価の客観性を高めるためには、各回の問題ごとに採点者の徹底した訓練を行うとともに、一つの音声解答を複数名の採点者が採点する体制を敷いています。
このような評価により、話す力が多角的に測定されるだけでなく、生徒は自分の英語が伝わる実感を持つことができます。また、GTECは受検後にはスコアだけでなく観点別の分析結果なども届けられます。外部資格・検定試験に取り組むことは、単に大学受験のためだけではなく、今後の英語運用能力を伸ばすためにも、大きな役割が期待できるのです。

(渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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