世界大学ランキング、進学先選びでも注目!

大学の在り方をめぐって、「世界大学ランキング」が注目を集めています。その代表的な「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」の2018(平成30)年版ランキングでは、東京大学の順位が下がったことが注目を集めました。ただ、ランキングの「読み方」には注意が必要なようです。

日本は国別3位の潜在力

同ランキングでは、東大が前年の39位から46位へと後退し、過去最低となったことが注目を集めました。京都大学は91位から74位に上昇したものの、日本で上位200校に入ったのは両大学だけ。201~250位には東北大学(前年と同じ)と大阪大学(前年251~300位)、251~300位には東京工業大学(前年と同じ)が入っていますが、2023(平成35)年までに日本から10大学以上を100位以内にランクインさせるという政府目標からすれば、頼りない結果のようにも思えます。

ただし、先頃日本で大学関係者向けに行われたTHEとベネッセコーポレーションの「第2回大学改革カンファレンス」で、ダンカン・ロスTHEデータ・解析ディレクターは、ランキングとは参加者の間でプラスマイナスがゼロになる「ゼロサムゲーム」であり、必ずしも順位の高下に一喜一憂する必要はないことを強調しました。重要なのは、そこから各大学の課題をどう読み取り、改善につなげるかです。

それよりも積極的に評価したいのは、ランクインしている大学数の多さです。確かに日本で100位以内は2大学だけで、国別順位も中国・シンガポール・韓国と並んで10位にすぎません。しかし、世界中に約1万8,000あるとされる大学のうち6%に当たる1,102大学しかランキングの対象とならないなか、日本は89大学がランクインしており、国別3位です。しかも、がんばれば2位の英国(93大学)を逆転することも夢ではないというのですから、その潜在力にこそ着目すべきかもしれません。

「日本版」が高校の進路指導室に

近年、国内でもトップクラスの進学校では、最初から国外の大学を目指す生徒も出始めています。ベネッセの海外トップ大進学プログラム「Route H(ルートエイチ)」(2016<平成28>年度は251人をサポート)でも、東大を蹴って海外大学を選んだ卒業生が17人いました。世界大学ランキングは、そうした人たちにとって進学先選びの有力な判断基準になっています。

ただ、世界大学ランキングの対象は「研究大学」に限られ、評価指標も引用論文数など「研究力」が重視され、必ずしも学部段階の「教育力」を測るものとはいえない限界があります。ただ、世界標準で比較しやすい研究力に比べると、教育力は各国の事情に大きく左右されるため、世界ランキングでは評価しにくいのが実情だといいます。

そこで注目されるのが、国別のローカルランキングです。THEでは米国に続き今年3月、初の「世界大学ランキング日本版2017」を発表しました。いずれも「教育力」を重視したもので、それぞれの国内で大学選びをする時、大いに参考となりそうです。実際、日本版の総合ランキングでは東北大が京大を逆転して2位に付けるなど、世界ランキングとは違った大学の実力が見て取れます。

日本版を一覧にしたA2版のポスターは、高校の進路指導室に貼られるなど、早くも大学選びの参考になっているといいます。刻々と大学改革が進むなか、有名大学だけでなく、入りやすいのに評価が高い「お得」な大学が見つかるかもしれません。

(筆者:渡辺敦司)

※THE世界大学ランキング2018
https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/2018/world-ranking
※THE世界大学ランキング日本版2017
https://japanuniversityrankings.jp/rankings/

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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