受験生は要チェック!大学が求める三つのポリシー

「アドミッション・ポリシー(AP)」をご存じでしょうか。その大学が求める「入学者受け入れ方針」のことで、受験生などにとっては、大学側の説明や入学案内などで、今やすっかりおなじみになっています。今年に入って、このAPを詳しく示す大学が増えています。APはもとより、カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針、CP)、ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針、DP)をセットにした「三つのポリシー」の策定と公表が、国公私立を問わず全大学に義務付けられたからです。

卒業生像や教育方針に合った入学生を選抜

試しに、筑波大学の2018(平成30)年度入学者選抜要項を見てみましょう。学類(他大学では学科に相当)ごとにAPが示されています。たとえば生物学類で「求める人材」は、生き物や生物学が好きで、自然科学と語学の基礎学力を持ち、広範で多様な生命現象に対して強い好奇心と探究心を持つ、創造的能力が豊かな人材だとしたうえで、「入学までに学んでおいてほしいこと」として、▽高校の生物の内容を十分に理解していること▽十分な英語の読み書き会話の能力を有していること▽ホームページや電子メール等からの情報の取得、パソコンを用いた文章・表作成などの操作に習熟していること……を挙げています。ICT(情報通信技術)機器の操作にまで言及しているとは、ずいぶん具体的です。
ところが、前期試験の入試科目を見ると、生物や情報は、大学入試センター試験や個別学力検査の、選択科目の一部にすぎません。後期入試の個別面接では生物学に対する考えや理解力などを問うとしていますが、前期なら他の科目で受験しても合格しそうですし、ましてやICTなんか入学後に学んでも何とかなるだろう……と思ってしまいます。
ではなぜ、わざわざAPに具体的なことが書いてあるかというと、「三つの方針」の他の2方針と関わってくるからです。
各大学には、まず、DPを明確にすることが求められます。筑波大の生物学類なら、「自然科学の理解」「生物学の理解」の他、「国際的コミュニケーション能力」「バイオIT(情報技術)能力」などが挙げられており、このうち「問題発見・解決型能力と自己表現能力」の中には、研究成果の要旨のweb公開を通じた科学的表現能力を含めています。
こうしたDPを実現するために、CPを定め、4年間の教育を行います。APに書かれていることは、入学生として当然備えているべきことで、1年次からいきなり、そうした資質・能力を備えていることを前提とした授業が行われるということを意味します。DPやCPと併せてAPをよく理解しておかないと、困るのは入学後なのです。

2021年度からの入学者選抜改革で更に見直し

今までAPの策定はあくまで各大学の裁量で定めるもので、CPやDPと一体にする必要もありませんでしたから、とかく抽象的な表現になりがちでした。
しかし今年度から三つのポリシーを策定・公表することが義務化され、各大学は、三つが整合性を持つよう、策定や見直しをすることが求められました。APの変化は、多くの大学で始まっています。
そして、さらに弾みをつけそうなのが、2021(平成33)年度大学入学者選抜(受験は20<同32>年度中)から始まる大改革です。従来のセンター試験が、思考力・判断力・表現力を中心に問う「大学入学共通テスト」に衣替えし、個別学力検査等でも、知識・技能や思考力・判断力・表現力はもとより、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・協働性)の「学力の3要素」をすべて評価して、入学者を選抜することが求められます。
これに伴う選抜方法の見直しで、旧来のように「入試科目」をどう設定するかではなく、DPやCPに基づくAPを具体化するために、どのような評価方法を取ればよいか、工夫が求められることになります。たとえばICTが必須だとしたら、調査書で情報科の成績を傾斜配分したり、実技を課したりするといった対応も今後、十分考えられるのです。

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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