英語4技能の育成、中学校の学習がカギ!

国内外を問わずグローバル化が進む社会に生きていく子どもたちにとって今後、国際共通語である英語が使えるようになることは必須です。
高大接続改革の一環として進められている大学入学者選抜改革でも、大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」(2020<平成32>年度から実施)では、外部の英語資格・検定試験を活用することで「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を評価しようとしています(23<同35>年度まではセンターの出題も継続)。
子どもに4技能を確実に身に付けさせるには、何が必要なのでしょうか。

「上」からと「下」からの改革に挟まれて

共通テストの外部検定試験活用をめぐり、実施団体の代表者も加えた文部科学省の連絡協議会が9月に発足しました。その席で、委員の石鍋浩・東京都港区立御成門中学校長は「中学校の役割が非常に大きい」と指摘しました。どういうことでしょうか。

大学入学者選抜で英語4技能が必要になれば、高校でも、既に「英語で行うことを基本とする」とされている英語の授業中で、4技能をしっかり育成することが今後ますます求められます。そうなると、高校入試でも、4技能を意識した英語の出題がなされていくことは必定で、中学校の英語教育にも大きな影響を与えることになります。石鍋校長によると、これが「トップダウン」(上から)の影響です。

一方、新学習指導要領をめぐっては、小学校の高学年で行われてきた「外国語活動」(年間35時間)を中学年に前倒しし、高学年では「外国語科」(同70時間)として教科化します。全面実施は2020(平成32)年度からですが、いずれも18(同30)年度から移行措置で各15時間増の先行実施が行われます。これが、中学校にとっての「ボトムアップ」(下から)の影響です。

上からの英語教育改革と、下からの改革に挟まれて、中学校はその間をうまくつなぎ、4技能を着実に育成する役割を果たさなければいけません。石鍋校長は、中学校教員に対して意識を喚起するためにも「会議の内容を国としてもわかりやすく周知してほしい」と要望しました。

自治体などの支援策も必要

石鍋校長も強調していたように、英語教育改革は、小学校から大学までをとおしたものとして構想が進められてきました。

小学校の外国語活動は、英語に慣れ親しませることを目的に、4技能のうち「聞く」「話す」が中心です。これが教科化されると、5年生から段階的に「読む」「書く」が加わっていくことになります。これに伴って当然、中学校以降の外国語科も、高度化が期待されます。

そこで新指導要領は、中学校(2021<平成33>年度から全面実施)でも、高校と同様に、授業は英語で行うことを基本にします。とはいえ、小学校で十分に4技能の基礎を身に付けた生徒ばかりとは限りません。とりわけ、学区内の小学校から多様な生徒が入学してくる公立中学校では、授業を英語で行うにも相当な配慮と工夫が必要になることでしょう。

自治体の中には、中学校で生徒の外部検定試験の受検料を負担するところもあります。教員の英語力や指導力を向上させることはもちろん、生徒が4技能を活用したいと思うような動機付けを高められるような支援策を、学校の設置者(自治体や学校法人など)が積極的に講じる必要もあるでしょう。

※英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/134/index.htm

※新学習指導要領
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1383986.htm

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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