英語4技能は急務! グローバル人材の育成に

夏休みに海外に行ってきたというご家庭も少なくないことでしょう。あるいは国内を旅行して、改めて外国人観光客の多さに驚いたかたも多かったのではないでしょうか。
グローバル化は急速に進んでいて、これからの社会で活躍する子どもたちには、国内外を問わず、英語力などが欠かせません。そんななか、総務省は先頃、グローバル人材の育成について、文部科学省に辛口の勧告を行いました。グローバル人材育成への推進状況は、どうなっているのでしょうか。

中・高の英語力「達成困難」

国の第2期教育振興基本計画(2013~17<平成25~29>年度)では、グローバル人材の育成を目標の一つに掲げ、(1)外国語教育の強化(2)高校生・大学生等の留学生交流・国際交流の推進(3)高校・大学等の国際化への支援(4)国際的な高等教育の質保証の体制や基盤の強化……などに取り組むこととし、具体的な成果指標を設けて、計画期間内での実現を目指しています。計画が今年度で終了することから、中央教育審議会は、昨年行った第2期の反省も踏まえて、第3期計画に向けた議論を本格化させています。

総務省は、このうち、成果指標のある(1)~(3)の13指標の達成状況を調べました。すると、現段階では「おおむね順調」であるものの、5指標に関しては「目標の達成が困難とみられる」としています。特に、(1)の外国語教育では、7指標中、おおむね順調が2指標、達成困難が4指標(他に評価困難1指標)としていますが、いずれも順調なのは大学関係、困難なのは中高関係だったのです。

第2期計画では、中学校卒業時に、英検3級程度以上(国際標準CEFR=ヨーロッパ言語共通参照枠=でA1以上)の生徒の割合を50%にするとしていましたが、2016(平成28)年度は36.1%と伸び悩んでいます。同様に高校も、英検準2級~2級程度以上(同A2~B1以上)は、徐々に伸びているものの36.4%でした。教員の英語力(準1級程度以上など)に関しても、高校が目標値75%に対して62.2%と迫ったものの、中学校は50%に対して32.0%にとどまりました。

困るのは大学に入ってから?

これに対して、グローバル人材育成支援採択42大学で、卒業時の英語力の到達目標(TOEFL iBT80点以上など=CEFRでB2以上)を満たす学生数は、2013(平成25)年度の5,550人から15(同27)年度は7,443人となるなど、「増加」させるとした指標の達成は間違いありません。国際的な研究・教育を行ったり、国内外向けにグローバル人材の育成に力を入れたりする大学では、今後もますます学生の英語力向上に力を入れることでしょう。このままでは、大学に入ってから、英語でつまずくケースも出かねません。

英語力を資格・検定試験で示しているのは、ペーパーテストだけでは測れない「4技能」(読む・聞く・話す・書く)を測るためです。既に中高の授業では、4技能のバランスよい育成を目指しているはずなのですが、実態は先に見たとおりです。

2021(平成33)年度の大学入学者選抜(現在の中学3年生が受験)からは、GTECなどを含めた資格・検定試験を活用した4技能評価も始まりますが、それもグローバル化に対応して、使える英語力を強化するためです。学校や教育委員会にも、子どもたちに4技能を身に付けさせる体制を、早急に強化してほしいものです。

※総務省 グローバル人材育成の推進に関する政策評価
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/107317_00009.html#kekkahoukoku

※第2期教育振興基本計画
http://www.mext.go.jp/a_menu/keikaku/detail/1336379.htm

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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