家庭の「責任」と必要な支援は?

政府の教育再生実行会議が、第10次提言をまとめました。子どもの自己肯定感を高める方策を検討していましたが、学校・家庭・地域の役割分担で、教育力を向上させることを提言しています。このうち家庭に関しては、どんなことを述べているのでしょうか。

改正教育基本法にのっとって

安倍政権は、民主党などに政権交代する前(第1次内閣)の2006(平成18)年12月、教育基本法を改正して「家庭教育」(10条)を初めて盛り込みました。保護者が子どもの教育について「第一義的責任」を持つことを明記し、「生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図る」という努力義務を課しました。そのうえで、「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力」(13条)を関係者に求めています。

今回の提言も、そうした改正教基法にのっとって行われたという性格を持ちます。家庭では「特に、豊かな情操や基本的な生活習慣、家族や他人に対する思いやり、善悪の判断などの基本的な倫理観、社会的なマナー、自制心や自立心を養うこと」が求められるとしています。

一方で、核家族化の進展と共働き世帯の大幅な増加といった子育て環境が大きく変化するなかで、女性活躍社会の実現に向けた取り組みを進めるためには、子育て家庭への支援が必要だと指摘。さらには、経済的援助を受けている困窮家庭が20年前に比べて約2倍に増えていることなどから、「そもそも家庭の教育力に期待することが難しい家庭」もあるとして、引き続き▽幼児教育の段階的無償化と質の向上▽地域における総合的な家庭教育支援の推進に向けた子育て支援との連携▽家庭教育支援員の配置促進による訪問型家庭教育支援の充実▽放課後等の居場所づくりの推進……などに取り組むとしています。

さらには、家庭で子どもと向き合う時間を確保するために、地域ごとに学校休業日を分散化させる「キッズウィーク(仮称)」を提案しています。キッズウィークは、たとえば親子で月~金曜日を休みとして9連休とすることで、一緒にまとまった休日を過ごす機会を創出するものだといいます。

さらに必要な具体策

第10次提言は、そのうえで、幼児教育を充実させるための「幼児教育センター」の設置や「幼児教育アドバイザー」の育成・配置を進めるとともに、乳幼児期からの自己肯定感を育成するためには「保護者又は保護者に代わる存在から愛情を受けることが必要不可欠」だとして、「早寝早起き朝ごはん」など子どもの生活習慣の改善に向けた取り組みを進めるとともに、ICT(情報通信技術) 等を通じて生活習慣に関わる正しい情報を効果的に発信していく方法を検討するとしています。

法律で「第一義的責任」が明確化されたからといって、すべての家庭がその責任を十分に担える状況になれるわけではないことは、第10次提言が指摘するとおりでしょう。学校や地域などとの有機的な連携によって、安倍政権が強調するように「社会総がかり」で子どもを育てていく必要があることは間違いありません。提言を受けて、文部科学省はじめ関係部局で有効な施策を打つことが求められます。

※教育再生実行会議 第10次提言
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/pdf/dai10_1.pdf

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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