「グローバル人材」って…どんな人?

国境を越えて商品や人の移動が盛んになるなか、「グローバル人材」を育成する必要性が叫ばれています。
しかし、そもそもグローバル人材とはどういうものなのか、具体的なイメージが湧かないことも多いのではないでしょうか。グローバル化社会の第一線で活躍する人たちの話に耳を傾けてみましょう。

「インターナショナル」にとどまらない!?

6月1~3日に東京・有明で行われた教育関係者向けイベント「New Education Expo」(NEE) では、最新機器の展示の他、多様なセミナーが開催され、その模様は札幌・旭川・仙台・名古屋・広島・福岡・宮崎の各市にサテライト中継されました。その一つ「グローバル人材を考える~これからの国際社会で必要とされる能力とは?~」での発表が参考になります。

グーグル米国本社の副社長などを務めた村上憲郎氏(村上憲郎事務所代表)は、グローバリゼーションを「社会経済現象が、国家や地域などの境界を越えて地球規模化すること」と定義したうえで、それには(1)インターナショナル(2)マルチナショナル(3)トランスナショナル……の3段階があると指摘しました。

「インター」は、本国にとどまりながら、必要に応じて国境を越える活動を行う段階です。必要に応じて、いつでも出張に行ける準備が求められます。これに対して「マルチ」は、本国の指揮下で、複数の国に拠点を持つ段階です。たとえば「来月からジャカルタ支社に行ってくれ」と言われれば、平然と就労ビザを取得し、海外拠点で働けなければなりません。それが「トランス」段階になれば、既に「本国」がなくなり、あたかも地球が一つの国であるかのように、最も効率的な地域に拠点を置き、他の地域向けの事業も展開します。トランスナショナル人材には、人生の段階ごとに、複数の国に滞在することが当然になります。

いずれにしても、世界の公用語としての英語を身に付けることは必須ですが、仕事のためばかりではありません。ボランティアなど「何をやるにも英語が必須となる」と、村上氏は指摘しました。

主体性や異文化理解も必要

段階によって濃淡はあっても、やはり英語は避けられないようです。では、普段から英語に接する機会が少ない日本にあって、どのような心構えが必要なのでしょうか。

英語を社内公用語にした楽天の葛城崇シニアマネージャーは、JR東日本で車掌を務め、乗務員の訓練シミュレーターの開発に携わった後、グローバルに事業を展開する資生堂に転じて英語を苦労して身に付けたという異色の経歴を持っています。

文部科学省に出向して国際教育課の英語教育改革プロジェクトマネージャーも務めた葛城シニアマネージャーは、政府の第2期教育振興基本計画(2013~17<平成25~29>年度)の記述を引きながら、日本人としてのアイデンティティーや日本文化に対する深い理解を前提として、(1)豊かな語学力・コミュニケーション能力(2)主体性・積極性(3)異文化理解の精神……などを身に付けることだと強調しました。

英語は「ツール」(道具)であり、英語だけを身に付ければよいわけではありません。英語を学びながら、世界で活躍するための態度や知識・スキルを段階的に身に付ける。そんな姿勢が不可欠のようです。

※New Education Expo
https://edu-expo.org/index.html

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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