健康診断の新項目「四肢の状態」とは?

「四肢の状態」という学校の健康診断項目をご存じでしょうか。
2016(平成28)年度から新しく学校の健康診断項目に追加されたもので、保護者が書く保健調査票にもあるので、知っているかたもいるかもしれません。四肢の状態とは、具体的に子どもたちの手足の何を見て、どうするのでしょうか。

体力低下や過剰な運動が子どもの体に影響

文部科学省は、学校の健康診断に関する制度改正で、それまであった「座高」の測定と、ぎょう虫などの寄生虫卵の検査を廃止し、代わりに四肢の状態を追加しました。「四肢の形態及び発育並びに運動器の機能の状態」を観察するもので、じっと立っていられずに体が揺れる、まっすぐ歩けない、長時間姿勢を正して座っていられないなど、体力の低下が子どもたちの体に深刻な影響を及ぼしつつあることが背景にあります。体力の低下だけでなく、和式トイレなどにうまくしゃがめないなど、ひざや股間の関節が硬くなっている子どもも増えているようです。

一方、運動不足とは無縁で、小さなうちから積極的に野球やサッカーなどのスポーツをしている子どもも、過剰に特定のスポーツばかりしてきたことに起因して、肩・ひじやひざなどに障害が起きている場合もあり、それを調べるのも目的の一つです。体力不足や関節の硬化などは、幼少期から野外でさまざまな遊びをしていれば、自然に解決するようなことですが、現在の子どもたちは、野外で集団になって遊ぶ機会がどんどん減少していること、運動するにしても特定スポーツに偏ってしまっているということなどが背景にあるようです。

保護者・教員・医師が連携して異常を早期発見

では、四肢の状態の検査は、具体的にどういうふうに実施するのでしょう。文科省が作成したマニュアルによると、まず家庭では、学校から渡された保健調査票を記入しながら、保護者が子どもを観察します。また学校では、学級担任・体育教諭・養護教諭などが「いつも同じ部位のケガで保健室に来る」「走っているときによく転ぶ」「座っているときに体が傾いている」など子どもの健康状態を観察して、気が付いたことがあれば学校医に伝えます。

そして健康診断では、歩き方に左右差がないか、どこか痛がっているそぶりはないかなど、すべての児童生徒に対して視診を行ったうえで、家庭からの保健調査票や教員からの情報を参考にして、問題のありそうな児童生徒に対して問診や身体診察をします。

ここで、学校生活を送るうえで支障がある、今後の発育に支障があると学校医が判断した場合、医療機関を受診するよう保護者にすすめることになります。学校生活に支障がない場合でも、事後措置として体が硬い、過剰な運動をしているなどの日常生活上の注意事項を保護者に伝えます。
四肢の状態という健康診断項目の内容、健康診断に追加された理由などを、保護者も知っておいたほうがよいでしょう。

※健康診断マニュアル
http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1383847.htm

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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