学びの姿勢、転換が急務!新テストなど教育改革に備え

教育改革が今、急ピッチで進んでいます。今年の中学3年生から受験する「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の実施方針は近く発表される予定ですし、次期学習指導要領も小中学校分が既に告示され、小学5年生からは次期の高校指導要領(来年3月告示予定)に基づいた大学入試に移行します。しかも、それ以上の学年にとっても無縁ではありません。来るべき改革を先取りした動きは、既に始まっているからです。その備えが、今の学校や児童生徒に十分できているのでしょうか。

受け身的な授業に消極的な態度

独立行政法人国立青少年教育振興機構は先頃、勉強と生活に関して日・米・中・韓4か国の高校生を対象とした意識調査(2016<平成28>年9~11月実施)の結果を公表しました。とりわけ勉強に関しては2009(平成21)年(当時は財団法人日本青少年研究所が実施)と同じ質問をしており、他国との比較はもとより、現行学習指導要領(高校は12<同24>年度入学生から数学・理科で先行実施、13<同25>年度入学生から全面実施)前後の状況も比較できます。

日本の高校生は、平日に学校の宿題を「しない」割合が2009(平成21)年の23.2%から11.2%に半減。学校の授業と宿題以外に「2時間以上」勉強する割合は21.0%から24.9%に増加しました。高校生の勉強時間が増えていることは、ベネッセ教育総合研究所の「第5回学習基本調査」(2006<平成18>年と15<同27>年を比較)でも同様の結果が出ています。学校が宿題をよく出すようになったこともあって、真面目に勉強するようになったことは確かなようです。

ただ、「試験の前にまとめて勉強する」がさらに増え(61.8%→69.3%)、「できるだけ暗記しようとする」のが変わっていない(45.1%→45.0%)のも気に掛かります。「できるだけ自分で考えようとする」(30.0%→33.3%)は伸び悩み、「問題意識を持ち、聞いたり調べたりする」(8.1%→12.3%)、「勉強したものを実際に応用してみる」(8.1%→10.2%)、「教わったことをほかの方法でもやってみる」(6.5%→7.5%)も依然低調です。同機構も、日本の高校は「受け身的な授業が中心」で、生徒も「勉強の態度が消極的」だとしています。

主体性を含めた資質・能力が不可欠

現在の教育改革は、そんな生徒や児童を主体的に学ばせ、意欲的に勉強するようにすることを目指しています。

学力評価テストは、「知識・技能」中心から「思考力・判断力・表現力」中心の出題を目指し、各大学の個別選抜では、ペーパーテスト一辺倒ではない多様な方法で「主体性・多様性・協働性」を見て合否を判定します。その大学が社会に有意な人材を送り出すべく構想した、4年間の教育にふさわしい学生を入学させるためです。既に大学の授業はアクティブ・ラーニング(AL)と呼ばれる能動的な学習にシフトしており、このALを小中はもとより高校でも活発にして「主体的・対話的で深い学び」に転換し、技術革新の激しい21世紀中盤に働き盛りとなる今の子どもたちに、(1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力等(3)学びに向かう力・人間性等……という幅広い「資質・能力の三つの柱」で教育を行おうとしています。

大学の教育改革は、既に始まっています。入試問題の傾向も、徐々に変化の兆しが見られます。新テストが始まる前に受け身の姿勢を変えておかないと、困るのは進学後、さらには社会に出てからなのです。

※国立青少年教育振興機構「高校生の勉強と生活に関する意識調査報告書-日本・米国・中国・韓国の比較-」
http://www.niye.go.jp/kenkyu_houkoku/contents/detail/i/114/

※ベネッセ教育総研「第5回学習基本調査」報告書
http://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=4862

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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