スマホ育児、注意すべきは?

小さいお子さんをお持ちの保護者の中には、外出時や、家事に追われる中で子どもが泣き出したりすると、スマートフォン(スマホ)を渡して動画などを見せるというかたも少なくないことでしょう。「スマホ育児」の実態は、どうなっているのでしょう。

0~3歳から持たせる割合は減少

情報セキュリティーメーカー「デジタルアーツ」の調査(2017<平成29>年1月現在)によると、子どもに何らかの専用端末を持たせている保護者は、0~3歳で父親60.9%、母親34.0%、4~6歳で各57.3%、38.8%となっています。多いのは「携帯ゲーム機」「子ども用携帯電話」「市販のタブレット端末」「契約の切れた中古のスマートフォン/格安スマートフォン」などです。

0~9歳の子どもを持つ保護者に、子ども専用端末を開始した時期を尋ねたところ、「0~3歳の時」からとの回答が、市販のタブレットで20.9%(2016<平成28>年1月比0.6ポイント減)、携帯ゲーム機で14.0%(同3.5ポイント減)、普通のスマホで17.4%(同8.5ポイント減)、中古スマホで15.7%(同10.2ポイント減)となっています。スマホ育児がマスコミなどで批判されたり、日本小児科医会と日本医師会が「スマホに子守りをさせないで!」というポスターを作ってキャンペーンを行ったりしていることもあって、特にスマホは1年間で大きく減少しています。

スマホやタブレットは、指で感覚的に操作できるため、使用方法がわからない子どもでも、いじっているうちに使えてしまうことが、よくあります。実際、子どもが想定外の使い方をして驚いた経験があると回答した割合(「結構」「時々」の合計)は、0~3歳で父親64.1%(前回調査比9.7ポイント減)、母親68.0%(同12.6ポイント減)、4~6歳で各61.2%(同12.7ポイント増)、52.4%(同6.8ポイント増)でした。0~3歳と4~6歳では対照的な増減で、減った0~3歳にしても、依然として半数を超えています。

具体的には、「動画を見ていた」「カメラアプリを起動していた」「サイトを見ていた」「電話が発信されていた」「SNSを起動していた」などが挙がっています。0~3歳でも少数ながら「メールが送られていた」「ネットショッピングをしていた」という回答がありますから、思わぬトラブルも引き起こしかねません。

大人のリテラシーが先決

小児科医会などのポスターでは、「ムズかる赤ちゃんに、子育てアプリの画面で応えることは、赤ちゃんの育ちをゆがめる可能性があります」と指摘しています。ただ、保護者にとって困った時に、一瞬でも手が放せれば……と、スマホを渡すこともあるでしょう。問題は、その程度です。

ポスターには、「親も子どももメディア機器接触時間のコントロールが大事です」「親がスマホに夢中で……赤ちゃんの安全に気配りが出来ていません」などという指摘もあります。要はバランスであり、保護者がコントロールできているかどうかにありそうです。スマホ育児は是か非か、という二者択一の問題ではないでしょう。

乳幼児に限らず、子どものメディア利用には、まず保護者が注意・管理する「ペアレンタルコントロール」が必要だという専門家の指摘もあります。子どもに機器を渡す以上、まずは大人がメディアリテラシー(活用能力)を身に付けることが先決です。

※デジタルアーツ「未成年の携帯電話・スマートフォン利用実態調査」
http://www.daj.jp/company/release/2017/0301_01/

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

  • がんばっているのに成績が伸びない
  • 反抗期の子どもの接し方に悩んでいる
  • 自発的に勉強をやってくれない

このようなお悩みを持つ保護者のかたは多いのではないでしょうか?

\そんな保護者のかたにおすすめなのが/
まなびの手帳ロゴ ベネッセ教育情報サイト公式アプリ 教育情報まなびの手帳

お子さまの年齢、地域、時期別に最適な教育情報を配信しています!

そのほかにも、学習タイプ診断や無料動画など、アプリ限定のサービスが満載です。

ぜひ一度チェックしてみてください。

子育て・教育Q&A