安全教育は「教科横断」で

中央教育審議会は2月初めの総会で、「第2次学校安全の推進に関する計画」の策定を答申しました。学校安全をめぐっては、事故や犯罪から子どもたちを守るのはもとより、東日本大震災や熊本地震などをはじめとした、自然災害から身を守ることも忘れてはいけません。第2次計画では、何が求められているのでしょう。

今後5年間の推進計画を閣議決定へ

学校安全推進計画の策定は、2009(平成21)年に施行された学校保健安全法(旧学校保健法)に定められているもので、閣議決定により政府全体の方針ともなります。また、同法では各学校にも「学校安全計画」の策定を義務付けており、そのもとにもなるものです。現行の第1次計画は、策定論議が本格化する直前に東日本大震災(2011<平成23>年3月11日)が発生し、そうした災害の教訓も精力的に盛り込んで2012(平成24)年4月に閣議決定されたものです。今年度で5年の計画期間が終了するため、2017~21(平成29〜33)年度の第2次計画を策定することになったわけです。

答申では、(1)学校安全に関する組織的取り組みの推進(2)安全教育の充実方策(3)施設設備の整備充実(4)事故等の防止……の各分野にわたって、計12本の幅広い施策目標を掲げ、国や自治体、学校法人、学校などが、今後5年間で推進するよう求めています。そこでは、すべての学校が学校安全計画や危機管理マニュアルを策定する(施策目標2)だけでなく、評価・検証によって改善も行います(同3)。全教職員が、経験年数に応じた研修を受講することも求めています(同4)。安全教育の実施(同5)や通学・通園路の安全点検(同9)などは言うまでもありませんが、全校に対して、保護者・地域住民(同11)や外部専門家・関係機関(同12)との連携体制構築を求めているのも目を引きます。

地域との関係が薄い高校や私学などであっても、大災害時には学校が地域の有力な避難拠点になります。日頃から地域との連携を強化しておくことは、児童生徒の安全を守るためにも欠かせません。

災害の避けられない日本だからこそ

東日本大震災の「釜石の奇跡」に代表されるように、自分の身は自分で守るのが基本です。安全教育では、そうした資質・能力を身に付けさせることが最重要課題になります。

中教審の安全教育部会では、安全に関する独立した教科を作るべきだという意見も、第1次計画の策定時に引き続き、委員の中には根強くあったのですが、教科再編は行わないという次期学習指導要領の大方針に沿って、そうした意見はまたも見送られました。ただ、だからこそ次期指導要領の眼目である「カリキュラム・マネジメント」によって、学校独自の安全教育を、教科横断で計画・実施してもらう必要があります。

答申でも指摘されているとおり、日本は4つのプレートがひしめき合うとともに、温帯モンスーン地帯にあるため、全国どこにいても自然災害から逃れることはできません。学校事故もそうですが、対策によって被害を防いだり、低減させたりすることはできます。何より将来を生きる子どもたちに、安全に暮らすための資質・能力を身に付けてもらう必要があります。それには保護者や地域住民も、一緒に考えていくことが求められるのです。

※第2次学校安全の推進に関する計画について
http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1383652.htm

※学校安全の推進に関する計画について
http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1320286.htm

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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