変わる中学・高校入試にどう対応する!?

今春の入試シーズンも、大学は別として、公立高校でもメインの試験が合格発表の時期に入るなど、既に終盤に入っています。とりわけ首都圏の私立中入試では、思考力や表現力を問うような新型入試が、一種のブームになっていました。何が起こっているのでしょうか。どうやら全国的にも、国公私立を問わず無縁ではいられそうにありません。

AL型授業の導入に対応

<文武両道>の進学校として知られる桐蔭学園(横浜市)は今春から、中学校と中等教育学校の一部入試日程に「AL(アクティブラーニング)入試」を新設しました。映像による講義を視聴して解答する「総合思考力問題」と「算数基礎」を出題。面接と合わせて合否を判定します。

ALは、一斉授業で先生の講義を黙って聞くだけではなく、調査や討論、フィールドワークなど、さまざまな活動も取り入れながら、学習内容を主体的・協働的に深く学ぶ授業形態です。元々は大学で行われていたものですが(「能動的学修」と訳す)、高校以下にも、近く正式告示される小・中学校の次期学習指導要領(2020<平成32>年度から順次全面実施)で導入される見通しです。

同学園では2015(平成27)年度以来、高等教育におけるAL研究の第一人者である溝上慎一・京都大学大学院教授を教育顧問に招き、AL型授業を全学的に導入してきました。今回のAL入試も、そうした授業に対応したものです。

他にも、東京都市大学等々力中学校(東京都世田谷区)の「アクティブラーニング型入試(思考力・協働力テスト)」、東洋大学京北中学校(同文京区)の「『哲学教育』思考・表現力入試」、淑徳巣鴨中学校(同豊島区)の「未来力入試」(思考の基礎力検査、思考の展開力検査)など、思考力等を問う入試が目白押しです。

「高大接続」を意識

各校がこうした新入試を取り入れている大きな理由は、2020(平成32)年度から大学入試センター試験に替わって「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が導入されるなど、大学入試の変化に対応するためです。2020(平成32)年度からの新入試体制の対象となるのは現在の中学2年生からで、今のうちから思考力のある生徒を多く受け入れ、さらに力を伸ばして大学に送り出したい……という意向があります。 ただ、単に大学入試を突破できれば終わるものではありません。

先の溝上教授は、昨年8月に行われた一般財団法人教育調査研究所「教育展望セミナー」のパネルディスカッションで、高校生を「勉学タイプ」「部活動タイプ」「行事不参加タイプ」など7タイプに分けると、行事不参加タイプは、模試を受けても勉学タイプと同じような成績を取れるものの、難関大学に入ったあとに苦労する確率は高いと指摘しました。

小中高大と一貫して、知識・技能はもとより思考力・判断力・表現力、主体性・協働性・多様性(学びに向かう力・人間性等)を育んでいこうというのが、入試を含む「高大接続改革」と、指導要領を改訂する「教育課程改革」の眼目です。国公私立を問わず、今後は高校入試や中学入試も変わっていくことが予想されます。ただ、「入試対策」に浮足立つのではなく、ALを通じて先のような幅広い学力や資質・能力を育てようとする普段の授業に一生懸命取り組むことが、最も着実な道であることを忘れてはなりません。

※桐蔭学園AL入試
https://toin.ac.jp/timeline/gakuen/740/

※高大接続改革(2014年12月の中教審答申)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1354191.htm

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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