「高専」という選択…そういえば、どんな学校?

独立行政法人・国立高等専門学校機構は、高等専門学校(高専)のことを知ってもらうために、中学生向けのパンフレットを作成しました。しかし、中学生はおろか、保護者などでも高専のことを、よく知らない人が多いことでしょう。中学生の進路選択の一つである高専とは、一体どんな学校なのでしょうか。

5年一貫教育で高い就職率

高等専門学校という名称から、専門学校(専修学校専門課程)の一種と誤解している人もいるかと思います。しかし、専門学校が高校卒業者を対象としているのに対して、高専は、中学校卒業者を対象に、5年間一貫教育を通じて、実践的技術者を養成する学校です。高校段階の学生も抱えていますが、高専は、大学などと同じ高等教育機関に位置付けられており、全国に57校(国立51校、公立3校、私立3校)があります。

国立の高専は、41都道府県に最低1校はありますが、知名度が低いこともあり、中学生やその保護者の間でも知っている人は少ないのが実情です。このため同機構は、中学生やその保護者にもっと高専のことを知ってもらおうと、中学生向けパンフレット「『高専』という選択。」を作成しました。

もっとも高専の入試倍率は、高校の平均的な倍率よりも高くなっています。高校入試の偏差値ランキングなどで高専を検索すると、その偏差値の高さに驚く人も少なくないでしょう。

高専には機械系、電気・電子系、情報系、建設・建築系など幾つもの学科があり、高専ごとに異なります。卒業すると「準学士」の称号が与えられます。 卒業後の就職率の高さも、高専の大きな魅力です。最近では景気の回復傾向を受けて、大学生の就職率も上昇していますが、国立高専の就職率は一貫してほぼ99%台を維持しています。就職先には有名企業が多いのもポイントです。

卒業者の約4割が進学

すべての国立高専には、卒業生を対象に、さらに2年間の教育を行う「専攻科」という課程が設けられています。最近では国立高専卒業者の約4割が、「専攻科」に進学したり、大学3年生に編入学したりしています。専攻科修了者には大学院入学資格が与えられ、そのまま各大学の大学院に進む者も年々増えています。

以前は、中学校卒業者を対象とする5年間一貫教育は、就職には有利でも、高校卒業と大学進学という一般的なルートに比べると、中途半端という印象もありました。しかし、専攻科を経て大学院というコースが誕生してから、進学面でも高専の印象は大きく変わりつつあります。実践的技術者教育を受けてきた高専卒業者に対する大学などの評価は高く、高専卒業者に対する特別枠などを設ける大学院もあります。

多くの高専には学生寮があり、親元を離れて生活する学生が多いことも特徴の一つです。ただ寮生活には、先輩後輩の強いきずなや規則正しい生活などのメリットがある半面、集団生活になじめない者にはつらいというデメリットもあるようです。
いずれにしろ、中学校卒業後の進路として「高専という選択」も検討してみてはいかがでしょうか。

※中学生向けパンフレット…「高専」という選択
http://www.kosen-k.go.jp/gn_list_1.html

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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