広がるか、自転車の安全対策 「免許」や保険加入

改正道路交通法により、悪質な自転車運転に対する取り締まりが厳しくなったことを契機に、子どもたちへの自転車安全教育の充実が、大きな課題となっています。最近では、子どもの自転車による事故で高額の損害賠償を保護者に命じる判決も出されており、加害者にならない自転車安全教育も求められています。今、子どもと自転車をめぐる問題はどうなっているのでしょうか。

子どもの加害にも高額賠償

2015(平成27)年6月から改正道交法が施行され、信号無視や一時停止違反など14項目の危険行為を3年以内に2回以上繰り返した14歳以上の者に対して、安全講習を受けることが義務付けられました。これを機会に、自転車の運転や事故について全国的に関心が高まっています。

子どもが自転車で歩行者などをけがさせた事故で、裁判所が約9,500万円の損害賠償を保護者に命じるなど、最近では賠償額が高額化しています。13歳以下の小学生や幼児でも、自転車で危険運転をしていたとみなされれば、それだけ賠償金額が高くなる可能性があります。

このような状況を受けて、自転車運転者に対する損害賠償保険加入の規定を盛り込んだ条例を制定する自治体が出始めています。2015(平成27)年10月に兵庫県が、条例で保険加入を全国で初めて義務付けました。2016(平成28)年7月には大阪府、10月には滋賀県が、保険義務付けの条例を施行しています。ただし義務付けといっても、いずれも罰則は規定されていません。義務付けまではいかないものの、東京都・埼玉県・京都府・愛媛県など多くの自治体も、条例により、保険加入を努力義務としています。

これらの自治体の条例に共通しているのが、学校や保護者などによる子どもへの交通安全教育の指導の徹底を求めていることです。

保護者も知らない?交通ルール

警察庁によると、2015(平成27)年中の交通事故のうち、約2割が自転車によるものです。事故の多くが、自転車の交通ルールをよく理解していないことが原因の一つとなっています。

このようななかで注目されているのが、「自転車免許証」です。交通安全講習を受けた子どもたちに自転車免許証を発行する取り組みは、一部の警察署などで行われていましたが、東京都江戸川区が2016(平成28)年度から全部の区立小学校で顔写真入りの免許を交付する「自転車運転免許教室」を実施している他、香川県では高校生全員に自転車免許を交付する取り組みを始めました。神奈川県大和市では2016(平成28)年11月から、小5以上の小中学生を対象に損害保険がセットなった自転車免許証を交付する取り組みをしており、全国でも初めての試みとして注目を集めています。

問題は、保護者が意外と自転車の交通ルールを知らないことです。たとえば、自転車は、車道を左側通行しなければなりません。歩道通行は原則として自転車共用の指定があるところに限られ(13歳未満を除く)、それも車道寄りを走らなければならないとされています。
子どもを加害者にしないためにも、損害保険に加入しているか、自分の知っている交通ルールの知識は正しいか、警視庁などの資料をもとに確認してみてはいかがでしょうか。

※警視庁「自転車交通安全教育用リーフレット」
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotsu/jikoboshi/bicycle/menu/leaflet.html

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール

斎藤剛史

斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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