子どもの自己肯定感、どう育む?

政府の「教育再生実行会議」では、新たなテーマとして「学校・家庭・地域の役割分担と教育力の充実」とともに、「子供たちの自己肯定感が低い現状を改善するための環境づくり」を掲げ、検討を始めています。このうち自己肯定感については、どう考えればよいのでしょうか。

諸外国に比べ低いことが問題に

日本の子どもが、国際的に見ても自己肯定感が極端に低いことは、かねてから指摘されていました。
よく引き合いに出されるのは、国立青少年教育振興機構(以前は日本青少年研究所が実施)の「高校生の生活と意識に関する調査」です。米国・韓国・中国との比較で、「私は人並みの能力がある」と回答した割合は最も低く、逆に「自分はダメな人間だと思うことがある」は最も高くなっています。

2013(平成25)年度の内閣府委託調査「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」を見ても、日・米・韓に英国・ドイツ・フランス・スウェーデンを加えた7か国中、日本の若者(13~29歳)は「私は、自分自身に満足している」という回答が45.8%と半数に満たず、いずれも70%を超えた他の国と対照的な結果でした。

もっとも、「自分は役に立たないと強く感じる」の回答は47.1%でしたが、ドイツでは20.9%、スウェーデンでは22.8%、フランスでは29.5%。自己肯定感が高いはずの米国でも46.7%と、日本とほぼ同じ。韓国でも50.4%で(最も高いのは英国の53.3%)、「自己有用感」は他国と遜色ない……と見ることもできそうです。

低いとされる自己肯定感にしても、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の質問紙調査を見ると、「自分には、よいところがある」という回答が徐々に増えています。

「国民性の違い」にも注意

文部科学省では、安倍内閣になって以来、下村博文文部科学相(2012<平成24>年12月~15<同27>年10月)をはじめ、自己肯定感の低さを問題視してきました。小中学校で「道徳の時間」が教科化(特別の教科 道徳)されることになった道徳教育も、その充実の根拠として、自己肯定感や社会参画への意識が低いことを挙げていました。省内に設けられたタスクフォース(特別作業班、TF)では、学力や意欲、規範意識が低いほど自己肯定的な評価も低くなることに着目しています。

一方、日本の子どもの自己肯定感が低いことには、自分を謙虚に表現するという国民性が反映しているという見方もあります。国立教育政策研究所の滝充・総括研究官は、教育再生実行会議の専門調査会で、国民性と、実際に自信がない者が多いという「二つの見方・考え方」があるとしたうえで、後者が多い場合には対策が必要だとしながらも、米国などと違って個人主義的な発想が乏しい日本では、自尊感情が自分本位な形で現れると問題を引き起こす可能性があることを指摘しました。

ただ、滝研究官も指摘するとおり、他者からの評価は高いのに、自己評価が低いため、せっかくの力が発揮できないとすれば、問題です。グローバル化に対応する力が求められる一方、東日本大震災や熊本地震などでボランティアへの意識も高まるなか、自己有用感や自己肯定感を高める学校での実践と、それを応援する施策が期待されます。

※教育再生実行会議 専門調査会(11月14日)配布資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/chousakai/dai1/siryou.html

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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