教育費が年々大変に? 母親の有職率、増加の一途

厚生労働省は、2001(平成13)年と10(同22)年の出生児の家庭を対象にした「21世紀出生児縦断調査」の結果を発表しました。それによると、4歳の子どもを持つ母親で、出産1年前から「常勤」の仕事に就いていた者のうち、現在も常勤の仕事を継続している者の割合は44.5%でした。子どもが4歳当時の2001(平成13)年出生調査の母親の常勤継続率は32.7%でしたから、この9年間で、働く母親の常勤継続率は11.8ポイント上昇したことになります。

就業状況は「常勤継続」の母親が増加

調査は、2001(平成13)年と10(同22)年に出生した子どもとその保護者を対象に、毎年実施されています。今回の調査時点で、2001(平成13)年生まれは中学2年生、10(同22)年生まれは4歳になりました。

母親の出産1年前の就業状況を見ると、2010(平成22)年出生調査の母親は、常勤が37.6%、パート・アルバイトが19.6%、自営業・内職などが4.8%、無職が37.7%などでした。このうち勤めが常勤だった母親の現在の就業状況は、常勤が55.5%、パートなどが17.0%、自営などが4.0%、無職が23.3%となっています。さらに子どもが0~4歳の間に常勤の仕事を継続していた母親の割合は、44.5%でした。つまり、出産1年前に常勤の仕事をしていた母親のうちの4割以上が常勤の仕事を継続しているということになります。

一方、2001(平成13)年出生調査の母親を見ると、出産1年前の就業状況は、常勤が32.3%、パートなどが16.5%、自営などが5.7%、無職が44.7%。このうち常勤の仕事に就いていた母親のその後の就業状況(子どもが4歳当時)は、常勤が40.1%、パートなどが17.1%、自営などが4.6%、無職が36.8%で、子どもが0~4歳の間に常勤の仕事を続けていた者の割合は32.7%でした。

2010(平成22)年出生調査の母親と比べると、出産1年前から子どもが4歳になるまで常勤の仕事を継続した母親の割合は、9年間で11.8ポイントも上昇した計算になります。働く母親の増加と同時に、まだ十分ではないとはいえ、保育所など働く母親を支援するための態勢が次第に改善されつつあるようです。

年々増加するパート・アルバイト率

しかし、常勤の仕事に就くだけが選択肢ではありません。パート・アルバイト、あるいは主婦などに専念することも選択肢の一つです。

ただ、出産1年前にパート・アルバイトだった母親が、出産後に常勤の仕事に就く割合は、1割以下となっています。これが本人の希望によるものか、それとも常勤の仕事に就けないためなのか、分析が必要でしょう。

気になるのは、母親のパートなどの増加です。2010(平成22)年出生調査の母親の現在の有職率は58.2%(常勤24.8%、パートなど26.3%、自営など7.0%)ですが、子どもが4歳当時の01(同13)年調査の母親の有職率は45.2%(常勤16.0%、パートなど20.8%、自営など8.4%)でした。さらに現在、中2の子どもを持つ母親の有職率は79.3%(常勤23.6%、パートなど47.9%、自営など7.8%)となっています。

子どもが大きくなるほど、そして世代が下がるほど、母親の有職率、特にパート・アルバイトをする者の割合が増加しています。年々増加傾向にある子どもの教育費負担が、母親のパート・アルバイト率の増加につながっている可能性がありそうです。

※第14回21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)及び 第5回21世紀出生児縦断調査(平成22年出生児)の結果
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/syusseiji/14/dl/gaikyou.pdf

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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