リオの次は東京!「オリパラ教育」が目指す人材育成とは

熱戦が続いたブラジル・リオデジャネイロのオリンピック・パラリンピックも、終わってしまいました。しかし4年後は、いよいよ東京での開催です。
東京オリンピック・パラリンピックに向けて、学校でも「オリンピック・パラリンピック(オリパラ)教育」が今後、全国的に展開されることになります。

開催地から全国に向けて

開催都市である東京都では、全公立学校でオリンピック・パラリンピックのエンブレムが入ったのぼりや旗が掲げられるなど、既にムードが盛り上がっています。

都教育委員会でも今年1月、「東京都オリンピック・パラリンピック教育」実施方針を策定し、2020(平成32)年度までの5年間、全公立学校でオリパラ教育を推進することにしています。小学4年生以上の児童生徒に「オリンピック・パラリンピック学習読本」を配ったのに加え、夏休み明けには「オリンピック・パラリンピック学習ノート」を配布し、4年間にわたって学習したことや体験・経験したことを書けるようにしています。

一方、スポーツ庁は、リオ大会の直前、「オリパラ教育の推進に向けて」と題する有識者会議の最終報告をまとめました。全国各地にオリンピック・パラリンピックのムーブメント(運動)を普及させることを掲げ、学校教育や社会教育で、オリンピック・パラリンピックに対する知識・理解や関心の向上、オリンピック精神の普及とともに、異文化理解や多様性尊重の促進、「おもてなし」やボランティア精神の醸成、スポーツ実施率の向上といった取り組みを進めていくとしています。

次期指導要領にも関係

オリパラ教育では、具体的にどのような取り組みが行われるのでしょうか。
東京都は、「オリパラの精神」「スポーツ」「文化」「環境」を合わせた四つのテーマと、「学ぶ」「観る」「する」「支える」の四つのアクションを組み合わせた「4×4の取組」を推進するとしています。年間35時間程度(週1コマ分に相当)を目安に、学校全体で組織的・計画的に展開することを求めています。
一方、国でも、各教育委員会にオリパラ教育のプラン策定を求めるとともに、教材や事例集などの作成、体験授業の促進などを行うとしています。
とりわけ東京都・スポーツ庁とも、オリパラ教育を、次期学習指導要領が目指す「資質・能力」の育成と関連付けていることが注目されます。

オリンピックには、「卓越」「友情」「敬意/尊重」という三つの価値が、パラリンピックには「勇気」「決意」「平等」「インスピレーション」という、四つの価値があります。スポーツ庁の最終報告によると、オリパラ教育は、そうしたスポーツの価値を再認識することを通じて、国際的な視野を持って世界の平和に活躍できる人材の育成を目指すものだといいます。それが、知識・技能や思考力・判断力・表現力はもとより、「学びに向かう力・人間性」の育成を目指す、次期指導要領の資質・能力に合致しているというわけです。

オリンピック・パラリンピックの感動を、一過性のものとしてしまうのは、もったいないことです。開催を通じて、子どもたちが社会で活躍できるための学習の糧としたいものです。

※「東京都オリンピック・パラリンピック教育」実施方針の策定について
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/2016/pr160114b.html

※オリンピック・パラリンピック教育の推進に向けて(スポーツ庁)
http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/004_index/toushin/1375094.htm

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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