大学スポーツも飛躍を! 東京オリンピック・パラリンピックに向け

ブラジル・リオデジャネイロでは、オリンピックからパラリンピックへと、熱戦が続いています。オリンピックのメダルラッシュで改めて目立ったのが、大学スポーツ出身者の活躍です。五輪開催の直前、スポーツ庁の検討会議は、大学スポーツの振興に関して中間とりまとめを行いました。4年後の東京五輪・パラリンピックに向けて、まだまだ大学はその潜在的価値を発揮する余地がありそうです。

総体的な価値を生かし切れず?

大学は、体育の授業をはじめとする教育や、スポーツ科学の研究、さらには部活動など、スポーツに関わる豊富な人材と、充実した施設を持っています。こうした大学が、これまで実業団と並び、我が国のスポーツ界に貢献してきたことは、いうまでもありません。中間とりまとめでも、「大学スポーツはこれからも重要なポジションを占めていく」としています。さらには、スポーツ施設の地域住民への開放や、総合型地域スポーツクラブの運営を通じた国民の健康増進、障害者スポーツの振興・共生社会の実現への寄与、国際交流の推進などにも、期待を掛けています。

一方で中間とりまとめは、大学スポーツを通じた教育・研究と社会貢献の重要性について「学長等の大学トップ層が十分な認識を有しているとは必ずしも言えない」と指摘しています。これだけ大学スポーツが興隆しているなかで、少し意外な気もします。しかし、大学が課外活動としての部活動に予算面などでてこ入れすることはあっても、教育課程内外を含めた「大学スポーツ」総体としての価値を、きちんと認識していない場合が多かったのかもしれません。

かつては全国的に必修だった保健体育の授業も、今は国立で95%を維持しているものの、公立では60%、私立では49%で行われているにすぎません。もっと、その潜在的価値に着目する必要があるでしょう。

社会でさまざまな活躍ができるよう

とりわけ中間まとめで、大学スポーツの振興が「人間性を涵養(かんよう)し社会を形成する人材の育成に貢献する可能性がある」としていることに注目したいと思います。将来、学生が社会で活躍するのに必要なスキルを身に付けるためにも、修学上の配慮とともに、キャリア形成支援の重要性を指摘しています。

大学は何より、学生を教育する場です。その学生を、社会の形成者として社会に送り出す使命があります。だからこそ、いま各大学では、国の旗振りにより、入学者選抜・大学教育・卒業認定を一体で見直す「三つの方針」改革と、大学運営を見直す「ガバナンス改革」が進められているのです。

昔のように、学生が就職活動で「大学では○○部の主将を務めていました」とアピールするだけで採用に有利になる時代では、もはやありません。活動を通じて何を身に付け、仕事にも転用可能な資質・能力になっているかどうかが問われます。

スポーツに取り組みたいと思った子どもが大学に進学し、さらに技能を伸ばすだけでなく、社会で活躍できるようにする……そんな大学スポーツへのさらなる飛躍とともに、4年後にはリオデジャネイロオリンピック以上のメダルラッシュを期待したいものです。

  • ※「大学スポーツの振興に関する検討会議」中間とりまとめ
  • http://www.mext.go.jp/sports/b_menu/shingi/005_index/toushin/__icsFiles/afieldfile/2016/08/02/1375308_1.pdf

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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