増える「認定こども園」の教育はどうなる?

幼稚園と保育所の機能を併せ持った「認定こども園」が、全国で今年4月1日の時点で、前年同期より1,165園増え、4,001園に達しました。深刻化する待機児童問題の対策として、既存の保育所や幼稚園からの移行が進んでいます。ところで、認定こども園は、保育所の「保育」だけでなく、幼稚園の「教育」をも担うものです。折しも幼稚園では、小中高の学習指導要領と並んで、「幼稚園教育要領」が改訂されます。認定こども園の「教育」は、どうなるのでしょうか。

「教育」も「保育」も両方行う

認定こども園は、2006(平成18)年10月に施行された「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」(認定こども園法)によって制度化されました。現在、「幼保連携型」(2,785園)、「幼稚園型」(682園)、「保育所型」(474園)、「地方裁量型」(60園)の4種類があります。

幼稚園は満3歳から小学校就学前の幼児に、1日4時間を標準とした教育を行う「学校」で、教育時間の終了後には、希望する園児を対象に「預かり保育」も実施していますが、「児童福祉施設」である保育所のように、必ずしも保護者が働いている間ずっと保育ができるわけではありません。それが、認定こども園になれば、3歳未満や、3歳以上でも4時間の教育時間を終えたあとの保育が、連続して可能になるわけです。逆に、既存の保育所が認定こども園に移行すれば、満3歳以上に幼稚園教育が行えるようになります。

就学前の育ちを保障

幼稚園は「学校」として、その教育は、幼稚園教育要領に基づいて行われることになっています。一方、保育所には、児童福祉施設としての「保育所保育指針」があります。これに対して、幼保連携型認定こども園には、別に「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」が定められています。

これらは制度上、別のものですが、いずれも、整合性を図って改訂(改定)されることになっています。保育所保育指針に関しては現在、厚生労働省の社会保障審議会児童部会で、「幼児教育の一翼」を担うものとして、幼稚園教育要領の改訂方針と同様、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を念頭に置いて改定する方向が示されています。幼保連携型認定こども園教育・保育要領についても、内閣府の「幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改訂に関する検討会」で、教育要領と保育指針との整合性を図りながら、認定こども園ならではの配慮事項を検討することにしています。

こうした「整合性」について、どう考えればよいのでしょうか。
認定こども園が制度化される際、中央教育審議会と社保審の合同検討会議で、重要な考え方が打ち出されました。そこでは、幼稚園の教育も、保育所の保育も、そして家庭教育から地域のさまざまな教育活動まで、幼児が生活する場で行われる教育を、すべて「幼児期の教育」ととらえて、就学前の幼児の育ちを保障していこう……とされました。

認定こども園をめぐっては、どうしても待機児童の解消策という側面ばかりに注目が集まりがちですが、教育と保育を総合的に行い、子どもの育ちを支援するものであるという点にも着目し、その充実を期待したいものです。

※認定こども園
http://www8.cao.go.jp/shoushi/kodomoen/news2016.html

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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