小学生の保護者必見! 算数の「時刻と時間」ではここにつまずきやすい【前編】

1年生の算数では時計の読み方を学習し、2年生以降も時刻と時間の学習が続きます。一旦ニガテ意識をもつと、ズルズルと引きずってしまいやすいので注意が必要です。学年ごとに子どもがつまずきやすいポイントと、家庭でできるサポートについて、ベネッセコーポレーションの教育総合研究所顧問を務める八木義弘先生に話をうかがいました。

時刻と時間で多くの子どもがつまずくのはどうして?

時刻や時間の学習は日常生活に密接した内容ですから、大人からするとわかりやすいイメージがあるかもしれません。ところが、子どもにとっては理解しにくく、つまずきやすいポイントがたくさんあるので注意が必要です。

なぜ、子どもにとって時刻や時間の理解は難しいのでしょうか。

まず、長さや体積など他の量と違って感覚的にとらえにくいことが理由です。例えば、長さは「1メートルは両手をいっぱいに広げたくらい」などと体感的にとらえられますが、時間というものは取り出して見せられず、そのうえ数値化しづらい側面があります。楽しい時間は早く、退屈な時間は長く感じるように心理的な影響も受けやすいため、つかみどころがありません。大人になると、「1分間はこれくらい」「1時間はこれくらい」といった感覚が経験的に身につきますが、小学校低学年の子どもはそうした感覚がまだ育っていないのです。

さらに数は10の単位、すなわち十進法を基本として学びますが、時刻や時間の学習では1時間=60分、1日=24時間のように、十進法のしくみになっていないこともわかりにくい理由です。

時刻と時間は、日常会話などを通して家庭でフォローしやすい分野

時刻や時間の単元があるのは1~3年生ですが、当然、そこで学んだ知識は4年生以降の学習でも求められます。特に6年生で多くの子どもがつまずく速さの学習は、時刻や時間の理解が土台となりますから、しっかりと理解を積み上げておく必要があります。

時刻と時間の学習は生活に密着した内容ですから、家庭でサポートしやすい分野でもあります。机に向かって勉強するだけではなく、日常の会話などを通して理解が深まるようにフォローしてあげてください。

それでは、1~3年生の学習内容とつまずきやすいポイントを説明したうえで、家庭でできるフォローをお話しします。

◆1年生

【学習内容】
1年生では日常生活の中で時刻を読めるようにすることを目標として、時計の長針と短針の読み方を学習します。

時刻の学習は、数の学習の進み具合に合わせて、前半と後半に分けられます。前半は30分刻みに「○時」と「○時半」の時刻を読めるようにします。そして後半になり、100までの数を学習し終えた時期に、1分刻みの「○時○分」の読み方を学びます。

【つまずきやすいポイント】
子どもは好きなテレビ番組の時刻は記憶していますが、時刻をほとんど意識せずに生活しています。保護者のかたが時計を眺めるのを見て、時刻を知るための道具だと何となくわかっています。自分で時計を読むとなると何を手がかりにしていけばよいかわからず、難しく感じるようです。

【家庭でできるサポート】
◎リビングなど子どもが多くの時間を過ごすスペースにアナログの時計を設置しましょう。ローマ数字や目盛りのみのものではなく、1から12の数字が大きく読みやすい時計が理想です。そしてことあるごとに時計を確認する習慣をつけると、学習時に頭の中に時計のイメージが浮かびやすくなります。

◎アナログ時計を見ながら、時刻を意識させる言葉をかけましょう。「7時30分になったら好きなテレビ番組が始まるよ」「8時15分になったから学校に行こうね」などと、時計を指差しながら伝えます。

◎100円ショップなどでアナログ時計を購入し、電池を入れないまま、針を動かして時刻に親しませましょう。長針・短針の動きや時刻と時間の違いを感覚的にとらえさせます。

後編では、引き続き、2年生と3年生の学習内容を解説します。

プロフィール



公立小学校校長、東京都算数教育研究会会長などを経て、現在は株式会社ベネッセコーポレーションの「ベネッセ教育総合研究所」顧問を務める。

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