行事や生徒会で <学力>育成!? 世界も注目する日本の「特活」

多くの学校では、夏休みもあと少し。北海道など一部では、既に学校が始まっています。この間、児童会や生徒会などのボランティア活動があった学校も、少なくないことでしょう。秋には運動会や文化祭など学校行事も目白押しで、準備のためには学級会も欠かせません。そんな「特別活動」(特活)について、次期学習指導要領では、教科の授業などと同じように「学力」を育成しようとしています。何より日本の特活は、「海外からも高い評価を受けている」(中央教育審議会のワーキンググループ報告)というのですが……?

「教科」の基盤をつくる「領域」として

特活は、学校教育法施行規則上、各教科や道徳などと並ぶ「領域」の一つです。指導要領では、学級活動・ホームルーム活動、児童会・生徒会活動、クラブ活動(小学校のみ)、学校行事で構成され、それぞれ目標や内容を持ち、授業時間も年間35時間(週1時間相当)が確保されています(小1のみ34時間)。

特活全体の目標は、たとえば小学校の場合、「望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り、集団の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的、実践的な態度を育てるとともに、自己の生き方についての考えを深め、自己を生かす能力を養う」とされています。「集団の一員」の部分は、中高で「集団や社会の一員」に、「自己の生き方についての考えを深め」は、中学校で「人間としての生き方についての自覚を深め」、高校で「人間としての在り方生き方についての自覚を深め」となっており、発達段階によって微妙に表現が違います。

こうした規定に基づいて、全国の学校で、特活が行われているわけです。決して各学校が好き勝手にやっているわけではありません。あくまで、指導要領の目標を達成するため、もっと言えば「人格の完成」を目指す教育基本法の目標を達成するためです。

授業をするにも、クラスの人間関係が良好でなくてはなりません。特活は、そうした集団の基盤をつくるものでもあります。

共通の「資質・能力」発揮の場として

次期指導要領では、学校教育法に規定される「学力の3要素」(知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体的に学習に取り組む態度)に沿って、すべての教科・領域等を「資質・能力の三つの柱」(知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等)で共通に整理し、それぞれの教科・領域をつなげ、学校教育全体で三つの柱を育成して、社会に出てからも「生きて働く力」にしようとしています。教科で身に付けた思考力・判断力・表現力を発揮させる場が特活になることもありますし、特活で育んだ学びに向かう力・人間性等が教科の授業に生かされることもあるわけです。

次期指導要領ではアクティブ・ラーニング(課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び)の導入が注目されていますが、特活はまさにアクティブ・ラーニングの発揮に最適であり、各教科にもよい影響を与えることでしょう。

特活は勉強じゃないから好きだというお子さんも少なくないでしょうが、実は立派な「勉強」なのです。各学校でも今後、他の教科等との有機的な連携を図った指導の充実が、いっそう求められます。

※特別活動(小学校の例)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/toku.htm

※中教審 教育課程部会 特別活動ワーキンググループ
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/066/index.htm

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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