数学+理科=「理数探究」 高校の新科目、新テストでも出題

現在、中央教育審議会で検討している次期学習指導要領のうち、高校や塾・予備校関係者が最も注目しているのは、数学と理科にまたがる新設科目「理数探究」かもしれません。大学入試センター試験に代わって、2020(平成32)年度から創設される「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」に、24(同36)年度以降、出題が見込まれるからです。

「理数探究」を「あれっ、誤植かな?」と思ったかたは、かなり教育問題に関心のあるかたでしょう。そのうえで「いや、おかしくないよ」と思ったかたは、相当の事情通といってよいでしょう。昨年8月の段階で、新科目名は「<数理>探究」となっており、今年3月の高大接続システム改革会議最終報告でも、数理探究のままでした。それが、中教審の特別チームで、「数」と「理」を逆にして「理数探究」とする方向に固まりつつあります。しかし、科目の趣旨が変わるわけではありません。数理というと、「数学の理論」と勘違いされないかという恐れがあるため、理科と数学を表わす「理数」のほうがよい、という判断です。

名称はともかく、新科目では、どんな勉強をすることになるのでしょうか。元々「数理探究」は、高校段階でかなり高度な理科や数学の探究活動を行う「スーパーサイエンスハイスクール」(SSH)の取り組みを参考に検討する……とされていました。一方、昔から一部の高校には、理数系科目を多く履修できる「理数科」という専門学科があり、そこで設置される科目は教科「理数」に位置付けられます。

しかも、理数探究を選択する生徒のイメージを「卒業後に、大学・大学院に進学し、主として数学や理科の分野に向けた学習を継続する意思を有する生徒」としています。やはりSSHのように、かなり明確な目的意識と意欲、そして高い能力を持って履修する生徒を想定しているようです。

「探究」科目ですから、座学では済みません。まずは探究の手法や流れを習得した後、自分で知的好奇心を発揮して課題を設定し、観察・実験を創意工夫して実施し、成果を発表することが求められます。学習を通じて、議論する力や多面的に思考する力、果敢に挑戦する態度なども養います。そうした探究活動を意欲的に行ってきた高校生に、大学でも継続して研究してもらおうと、新テストの科目として浮上しました。2014(平成26)年12月の中教審答申にあった「合教科・科目型」テストの代わりともなるものです。

特別チームでは、理数探究を開設する高校には、理科室や実験器具など、相当な環境整備が必要だとしており、大学や研究機関、企業などからの支援も受けられるようにすることも提言しています。単位数は3~6単位ながら、「ミニSSH」といってよいでしょう。

生徒の側も、「大学入試に有利だから」といって安易な気持ちで履修すると、大変な思いをするかもしれません。一方、理科や算数に興味津々で、観察・実験も大好きな小学4年生以下のお子さん(2022<平成34>年度以降に高校入学)には、待ち遠しい科目になるかもしれません。

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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