大学入試の英語、2020年度から「話す」「書く」も対象に

国公立大学の出願が行われ、私立大学では一般入試がスタートするなど、本格的な入試シーズンに突入しています。保護者の中にも受験生時代、とりわけ英語の試験対策に苦労したかたは少なくないでしょう。しかし、これからの子どもたちは、もっと大変な思いをするかもしれません。今年度の中学1年生から(2021<平成33>年度以降の大学入学者)が対象となる「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)の英語では、話す・書く・聞く・読むの「4技能」をバランスよく評価することにしているからです。

昨年12月末に行われた文部科学省の「高大接続システム改革会議」では、国語と数学について記述式問題のイメージ例が示されただけでなく、英語についても、4技能を評価することを確認したうえで、大学入試センター試験の後継組織(いわゆる新センター)が基準を作成し、民間の資格・検定実施機関が作問の原案を作ったり、実施・採点を行ったりする体制を提案しました。その際、試験時間や採点期間を確保するため、従来の大学入試センター試験のような多肢選択式(マークシート方式)のテストより前の日程で、国語や数学の記述式問題と一緒に実施してはどうかとの考えも盛り込んでいます。

  • ※高大接続システム改革会議
  • http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/033/shiryo/1365554.htm

これに関して、同会議の委員でもある吉田研作・上智大学教授は、会議前に行われた上智大学・ベネッセ英語教育シンポジウムの中で「学力評価テストの英語に関しては、4技能テストを行うということで、今のところすべて話が進んでいる」と断言しました。

  • ※上智大学・ベネッセ英語教育シンポジウム2015
  • http://www.arcle.jp/report/2015/0001.html

とりわけ焦点となるのが、シンポのテーマともなった「話すこと」(スピーキング)の測定です。現行のセンター試験では、リスニングは実施していますし、会話場面を想定した出題なども工夫していますが、多肢選択式という制約上どうしても「読む」が中心になってしまい、「話す」に至ってはまったく問われていません。自由に「書く」のも各大学の個別試験に任されていますが、英語で受験しなかったり、「センター入試」を選択したりした場合は、スピーキングの能力が問われないまま、大学に進学していくことになります。最近の大学では、グローバル人材の育成のため「使える英語」にも力を入れていますから、進学してから苦労するかもしれません。

もともと現行の学習指導要領でも、中学校や高校での英語教育は、4技能を総合的に充実させることを目指しており、とりわけ高校では、どの学校でも、英語で授業を行うことを基本としているはずです。しかし、先のシンポジウムでも紹介されたベネッセ教育総合研究所の調査では、依然として音読や発音練習、文法、読解が授業の中心で、ディスカッションやディベートといった活動が、ほとんど行われていないことが明らかになっています。

今後、大学入試自体が4技能重視になっていくとすれば、中学校や高校の授業も徐々に変わっていくことでしょう。生徒の側でも、小学生や中学生のうちから、積極的に英語を使ってコミュニケーションを行おうとする姿勢が、ますます求められることになりそうです。

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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