外国人留学生が就活のライバルに? 増える日本企業への就職

「グローバル化」というと、海外に出て仕事をすることを思い浮かべがちですが、反対に、日本の企業で働く外国人が増えることも意味しています。実際に、日本の大学・大学院などを卒業したあと、そのまま日本で就職する外国人留学生が急増していることが、法務省の調査でわかりました。大学生の就職活動において、外国人留学生がライバルになるような時代も来るかもしれません。

調査によると、大学・大学院などを卒業後、国内の企業に就職するため在留資格の「留学」から「就労」への変更を許可された外国人留学生は、2014(平成26)年で1万2,958人(前年比11.3%増)と前年より1割以上も増えています。2008(平成20)年のリーマンショック後、外国人留学生の就職者が最も少なかった2010(平成22)年は7,831人でしたから、最近4年間で65.5%も増えたことになります。
日本で就職した外国人留学生を国・地域別に見ると、中国・韓国・ベトナム・台湾・ネパール・タイなどの順で、アジア諸国からの留学生が93.9%に上っています。外国人留学生というと、欧米諸国からの学生をイメージする人も少なくないでしょうが、実態は、ハングリー精神にあふれるアジア諸国からの学生が、ほとんどを占めているようです。

日本で就職する外国人留学生については、その人数の増加とともに就職先の企業、仕事内容の変化なども注目されます。就職先企業を資本金別に見ると、「資本金10億円以上」の企業に就職した外国人留学生が18.8%と1位でしたが、次いで「資本金500万~1,000万円以下」が18.7%、「資本金500万円以下」が17.1%など、資本金の少ない企業に就職する外国人留学生に注目が集まっています。。つまり、大企業が多くの外国人留学生を採用している一方で、外国人留学生を採用する中小企業も増えているということです。就職先の仕事内容は、外国語能力などを生かした「翻訳・通訳」が24.6%でトップですが、「販売・営業」も24.1%と年々割合が増えているのです。

これまで外国人留学生は、大企業や製造業を中心に「翻訳・通訳」「情報処理」「技術開発」など、専門的な分野で採用されるケースが主流でした。それが経済のグローバル化の進展によって、徐々に非製造業や中小企業も外国人留学生を採用するようになっただけでなく、「販売・営業」など、日本人と同じ仕事をするようになりつつあります。これについて企業の人事関係者などの間では、「外国人だから採用した」という例から、「優秀な学生を採用したら、たまたま外国人だった」という例が増えているという指摘も出ています。

政府は現在、関係省庁の連携による「外国人材活躍推進プログラム」(外部のPDFにリンク)を実施し、国内企業を集めた就職面接会の開催などをはじめとする、外国人留学生の就職支援に乗り出しています。大企業や中小企業を問わず、就職したら同僚が外国人だったという時代が近付きつつあるようです。

これからの子どもたちは、たとえ国内のみで仕事をするにしても、グローバル化の波と無関係でいるのは難しい時代を生きていかなければならないことを、保護者も覚悟しておくべきでしょう。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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