リビング学習の長所と短所【教えて!親野先生】

【質問】
子どもがリビングで勉強したがります。私はそのほうがいいと思うのですが、あるママ友は「勉強は自分の部屋でやったほうが集中できる。小さい時からそういう癖をつけたほうがいい」と言います。リビング学習の長所と短所について教えてください。それと、リビング学習で気を付けることはありますか?

相談者・セブンエイト さん(小学2年生 女子)

【親野先生のアドバイス】
セブンエイトさん、拝読しました。

リビングやダイニングで勉強する子は多いですね。「お子さまがどこで勉強しているか?」を伺ったアンケート記事によりますと、小学生の半分以上はそうしています。

その長所としては、まず、子どもが安心して勉強できるということがあります。というのも、子どもは基本的に怖がりであり、一人で部屋にいると不安を感じて集中できないことがあるからです。たとえば、窓の外で木がザワザワ動いただけで、「何かいるのかな? 怖い」と感じたりします。これでは勉強どころではありません。その点、家族の気配がする場所なら安心して勉強できます。

次に、勉強への取りかかりを促しやすいという点があります。一人で部屋にいてはいつまでも勉強に取りかからないかもしれませんし、途中で飽きて遊びほうけてしまうかもしれません。

また、わからないことがあったとき保護者にすぐ聞くことができます。
保護者のかたもすぐヒントを出したり教えたりすることができます。
がんばってできたときにすぐ保護者に見てもらうこともできます。
保護者のかたもすぐにほめてあげることができます。

実は、このようにやったものをすぐ見て、ほめてあげるということが、子どもの勉強へのモチベーションを上げるうえでとても効果的なのです。また、学習内容の定着という点でも大きな効果があります。
これを教育心理学では即時確認の原理と言います。
時間が経てば経つほど、ほめられたときのうれしさは減退します。何時間も経ったあとだと、子どもはもう別のことに意識が向いているので、今さらほめられてもそれほどうれしくないのです。
間違っているところがあったら、すぐ教えてやり直させることもできます。まだ子どもの頭の中にメモリーが残っている状態ですから、再度立ち上げやすいのです。
これも、学習内容の定着につながります。

これらのことを一言で言えば、親子でコミュニケーションをしながら、触れ合いを楽しみながら、保護者の愛情を感じながら勉強ができるということです。
このようなリビング学習の長所を生かせば、子どもは勉強が好きになりますし、当然学力も上がります。

では、短所や注意点としてはどのようなものがあるでしょうか?
最大の注意点は、保護者の否定的な言葉が多い場合、今挙げたような長所がすべて短所に替わってしまうということです。

たとえば次のような言葉です。
「そこ間違えているでしょ。何度言ったらできるの?」「もっと丁寧に書かなきゃダメでしょ。もう一度やり直しなさい」「もっとちゃんと問題を読まなきゃダメでしょ」「きちんと繰り下がりを書かなきゃダメでしょ」。

これだと、子どもは保護者の愛情を感じるどころではありません。
逆に、「私はお母さんにあまりよく思われていない」「お父さんはオレのことをダメな子だと思っているみたいだ」「あまり好かれていないのかも。お母さんはぼくのこと嫌いなのかも」などと感じてしまうこともあります。
また、勉強についての否定的な言葉を浴びていることで、勉強そのものが嫌いになってしまうということもあります。
ですから、こういう否定的な言葉はやめて、もっと肯定的な言葉に替える努力が必要です。よいところを見つけ出してほめたり、「○○するといいよ」「○○すると○○できるよ」などのプラスイメージの言葉で伝えたりするようにしましょう。

次に、音についても気を付けてほしいと思います。
テレビの音が気になると子どもは勉強に集中できません。テレビを消す、音量を下げる、パーティションで区切る、などが必要です。

次に、明るさについても気を付けてほしいと思います。
団らんしている時は150ルクスから300ルクスくらいの明るさでよいのですが、勉強に必要な明るさは500ルクスから1000ルクスと言われています。
ですから、リビングの照明だけでは勉強には不十分ということがよくあります。
照明が暗すぎることで、子どもの目に負担をかけてしまうのは避けたいところです。疲れやすくなりますし、視力にも影響が出ます。また、手元が暗くて見にくい場合は、のぞき込むようになって姿勢が悪くなることもあります。
こういったことを防ぐためには、スタンドなどを用意してあげることが必要です。

次に、ダイニングやリビングのテーブルや椅子が勉強に適さない場合があることにも気を付けてほしいと思います。
椅子が高すぎるなどの理由で足が浮いてブラブラしていると、集中力に影響が出ます。テーブルが高すぎたり低すぎたりすると文字がうまく書けませんし、姿勢にも影響が出ます。
こういったことを防ぐためには、テーブルや椅子の高さを調節したり、足元に足を置く台を用意したりすることが必要です。

次に、宿題・勉強に使う教科書・問題集・ノート・文房具などが散乱しやすいということも気になるところです。
これについては、収納する場所を確保してあげる必要があります。

これらの諸問題を解決するためには、子ども用の学習机と椅子をリビングに置き、そこで勉強するのも合理的だと思います。これなら高さの調節もできますし、スタンドも置けます。問題集や文房具などを収納することもできます。

以上のようなことに気を付けて、リビング学習の短所を補う工夫をしつつ、その長所を生かしてほしいと思います。

ところで、自分の部屋とリビングのどちらで勉強するかは、子どもの学年・発達段階・精神年齢・性格・家族構成・家の間取りなどの諸条件によって変わってきます。
また、取り組む内容やその時の気分によっても変わります。
普段はリビングで勉強しているけれど、静かなところでじっくり取り組みたい時や気分を変えたい時などは自分の部屋でするということもあっていいわけです。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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