子どもの頭痛とは?【前編】

子どもが「頭が痛い」と言ったら、大人はまず「熱があるの?」と考えがちです。しかし、熱がなくても、激しい発作が起こる片頭痛や、心理的なストレスと関係の深い緊張型頭痛などの症状に悩む子どもも多いことが、近年明らかになってきました。
幼児から思春期の頭痛がご専門の藤田光江先生に、子どもの頭痛とその治療について伺います。



代表的な頭痛のタイプ

頭痛を訴えて、学校の保健室を訪れる子どもは数多くいます。風邪など、原因となる疾患がなくても、頭が痛くなることはあるのです。そのような頭痛の代表的なものが、片頭痛緊張型頭痛です。

●片頭痛
大人の片頭痛と同様、ズキンズキンと脈打つような痛みで、発作的に始まります。発作のときは寝込むほど痛みが強く、吐き気をともなったり、光や音、匂いに過敏になったりする場合があります。頭痛の前に、生あくびや肩こりなどの予兆、見ようとするところが暗くぼけ、その周りが光って見える「閃輝暗点(せんきあんてん)」といった前兆が現れることもあります。
遺伝的要素が強く、家族に頭痛持ちがいれば片頭痛の予測が立ちます。

●緊張型頭痛
頭が締め付けられるように痛むのが特徴です。そのメカニズムははっきりとわかっていませんが、頭や肩、首の筋肉の緊張や、ストレスが主要な原因となります。痛みは片頭痛ほど強くありませんが、家庭での問題や勉強の悩み、学校での人間関係やいじめなど、心理的な要因が関与して慢性化した緊張型頭痛は学校生活に支障を来し、治療に時間がかかるケースが数多く見られます。

また、片頭痛と緊張型頭痛が共存して、より複雑な症状を呈している場合もあります。緊張型頭痛や、緊張型頭痛+片頭痛によって起こる「慢性連日性頭痛」(CDH)については、後編で解説します。



他の病気が原因となっている頭痛(二次性頭痛)

片頭痛や緊張型頭痛のように原因となる疾患のない頭痛を一次性頭痛、他の病気が原因となって起こる頭痛を二次性頭痛といいます。風邪が原因ならさほど心配はいりませんが、二次性頭痛の中には、まれに脳出血や脳腫瘍(しゅよう)などが原因の緊急性を要するものもあります。今まで経験したことのない激痛やけいれん、意識障害がある、ふらつく、物が二重に見えるなどの神経症状がある場合は、すぐに画像検査ができる病院を受診しましょう。

3~19歳を対象にした調査によれば、片頭痛のある男子は平均6.0%、女子は平均9.7%、全体で7.7%となっており、思春期を過ぎると女子に多くなる傾向があります。緊張型頭痛の有病率は、7~19歳を対象にした調査によると、男子が平均10.1%、女子が平均14.5%、全体で13.1%となっています。頭痛に苦しむ子どもは、決して少なくないのです。



子どもが頭痛を訴えたら? まずは痛みを受け止めて

●家庭でできる初期のケア

どんな症状でも、まずは「認めてあげること」が大切です。初期の対応としては、冷却ジェルシートを痛むところに貼ってあげて、様子を見るとよいでしょう。軽い頭痛であれば、冷やされる心地よさと同時に、保護者が痛みをわかってくれたという安心感で、痛みが和らぐ場合があります。片頭痛の場合は音や光がこたえるので、暗くした静かな部屋で寝かせることが大切です。
登校前に頭痛を訴えた場合は、いさぎよく「休ませる」のが正解です。心理的なストレスが原因となっている場合、「学校に行かなくてもよい」という安心感で症状が緩和する場合があるからです。ただし、いくつの子どもでも、本人の意思を尊重しましょう。痛みが治まれば遅刻して登校できるケースも多々あります。



●何科を受診すべき?
前述のような緊急性のある症状でなければ、まずはかかりつけの小児科医を受診しましょう。問診で片頭痛や緊張型頭痛の診断がつけば、CTやMRIなどの無用な画像検査を避けることができます。特にCTは放射線ですから、成長期の子どもに繰り返し受けさせるのは好ましくありません。
頭痛が長引き、学校に行けないなど、生活に支障を来している場合は、子どもの頭痛を診てくれる専門医(小児神経科・神経内科・脳神経外科など)に相談するとよいでしょう。



片頭痛と診断されたら

頭痛を訴えて小児科外来を訪れる子どものうち、圧倒的に多いのが片頭痛です。片頭痛は、発作時の痛みは強いけれど、ふだんは元気に生活ができる病気です。発作はふつう月に2~4回くらいです。
小児の片頭痛では、まずは非薬物治療がすすめられます。片頭痛の誘因となるチョコレートやチーズなどの食物、強い日差し、人込みなどを避けること。睡眠不足も誘因となりやすいので、生活のリズムを整えることも大切です。強い光が誘因となっていたので、教室の席を窓側から廊下側へ移してもらったら、発作が起こりにくくなったケースもありました。
生活に支障を来す強い片頭痛には、薬物治療が必要です。解熱鎮痛薬を、発作が始まったら授業中であろうとがまんせずに、できるだけ早く飲むこと。頭痛に前兆がある場合は、前兆を感じた時点で飲むのがよいのです。ですから、学校に薬を1回分持参し、頭痛時の対応をあらかじめ担任と養護教諭の先生に頼んでおくとよいでしょう。鎮痛薬はかかりつけの小児科で処方してもらったものが望ましいのですが、市販薬の場合、純粋なアセトアミノフェンならOKです。
 
以前小児科を受診されたお子さんのお父さまで、「自分も昔から頭痛があったが、『熱もないのに頭が痛いわけはない』と親に言われて、ずっとその痛みを封じ込めていたことを思い出した。子どもが片頭痛と診断されてほっとしました」とおっしゃったかたがいました。片頭痛というつらい病気とつきあい、克服していくには、周囲の理解が不可欠です。
子どもの頭痛についての概論は、こちらもわかりやすいのでおすすめです。

次回は、頭痛が慢性化し、不登校の原因ともなる「慢性連日性頭痛」(CDH)について解説していただきます。

プロフィール

藤田光江

藤田光江

筑波学園病院小児科、東京クリニック小児・思春期頭痛外来で診療。4人の子どもを育てながら小児科勤務医を続けた経験から『お母さんの悩み相談室』(婦人之友社)を執筆。他著書に『子どもの頭痛 頭が痛いって本当だよ』(メディカルトリビューン)がある。

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